アキラとリーゼントさんの約束
AM10:00
紅河原
リーゼント「ちぇっ!偽モンローのやつデートすっぽかしやがって
タキシードも家に居ねえし…
遊園地のチケット換金すっかなぁ
ベーシストは金がない、これ通例」
主婦A「レインボーカフェの息子さんでしょう
口がきけないんだってね、自閉症っていうの?」
主婦B「出てったご主人のDVが原因じゃない?
そういうの子供は敏感だから」
リーゼント「お!アキラじゃん」
アキラ「…」
リーゼント「こんなとこで何してる
学校は?」
アキラはしゃがんだまま動かない
アキラは何かで地面に絵を描いていた
リーゼント「⁉︎」
リーゼント「お、おま、それピカデリー(人気バンドのベース)のピックじゃねえかああ‼︎」
アキラはコクリと頷いた
リーゼント「くれ!俺にくれ!」
アキラは無心に絵を描いている
リーゼント「よし、交換条件だ
遊園地に連れてってやる」
リーゼント「ハイホー♬ハイホー♬声を合わせー♬」
アキラがジェットコースターを指差した
リーゼント「あれは危険な乗り物だよアキラやめとこう」
アキラはリーゼントの手をぐいぐい引っ張ってジェットコースターに向かおうとする
リーゼント「ほら、アキラ、あっちにクマさんがいるよ!
あの乗り物はやばい、よしよし、わかったメリーゴーランド!
メリーゴーランドならなんとか乗れるだろうアキラも」
アキラは一心不乱にリーゼントの手を引っ張りジェットコースターに向かう
リーゼント「ほ、本当にピックくれるんだろうな?」
アキラはコクリと頷いた
リーゼント「俺もベーシストの端くれ、
決めたぜ、コーヒーカップに乗ろう」
アキラは首を横に振りジェットコースターを指差す
少女A「あのリーゼントの人かっこよくない?
若いお父さんなのかな?」
少女B「私もあんなお父さんがいいな」
リーゼント「アキラ、ビビることはないぞ
さあ行こう」
ー皆さま、シートベルトをしっかり着用して…
リーゼント「しっかりってなんだよしっかりって!怖すぎるんだけど
アキラあああ死ぬときは一緒だ!」
アキラはわずかに微笑んだような顔をしている
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン
がががががが
ガーーーーーーー
リーゼント「ぎょわああああああああ」
アキラ「ッ!」
アキラの息が少し弾んだ
リーゼント「やめてえええええええ
神様ああああ
ほがああああああ
おかあちゃああああん
」
ジェットコースターがくるりと円を描いた
リーゼント「ひええええええ
こんなことなら偽モンローのGカップ揉み揉みするんだったああああああ」
レオンのマチルダが言ってたね
お腹のあたりで恋してるかわかるって
僕たちどこからきたの?
僕たちどこからうまれたの?
きっとおとうさんがおかあさんのドアをノックしたんだね
ぐちゃぐちゃに崩されたウェディングケーキみたいに
愛し合ったんだろうね
そしてキノコ雲みたいなお花が咲いたんだ
肌って素敵だな
エレファントマン「呼んだかな?」
リーゼント「呼んだ!呼んだ!エレファントマンたすけて!
うわああああああ
ぎゃああああああ
アイアムヒューマンビーーーーーン!!」
がががががが…ガタンッ
ー皆さまご搭乗お疲れ様でした
足元にお気をつけて…
お写真いかがですかー?
アキラが記念写真をせがんだ
リーゼント「動かぬ証拠になっちまうからダメダメ!」
アキラは写真売り場から離れない
リーゼント「誰にも見せるなよ⁈」
アキラは深く頷いた
ーはい、こちらがお写真になります
リーゼント「ふふ、お前少し笑ってるじゃん」
アキラはまじまじと写真を眺めていた
アキラはポケットからピックを取り出し
リーゼントの手に渡した
リーゼント「ありがとな、
ピック大事にするぜ
ハイホーハイホー♬」
アキラはぎゅっとリーゼントの手を握った
リーゼント「な、今日のことは俺とお前だけの秘密な?
約束だぞ!」
アキラはコクリと頷いた
リーゼント「夕焼け小焼けで日が暮れてー♬
よし、ワッフル奢ってやるよ」