シャークの憂鬱
AM0:45
ー地下鉄マッケンチーズ駅のホームー
ホームレス「にいちゃん、金おくれや」
シャークは一瞥して小銭を投げた
トルゥルルル
シャークの妻デイジー「はい、もしもし」
シャーク「俺だ」
デイジー「…あなた、どうしたの?公衆電話から?」
シャーク「ああ、電池が切れてね」
デイジー「わたし…わたしも今…話したかったのよ」
シャーク「帰ってから聞くよ、それより」
遮るようにデイジーが震えた声で言葉を放った
デイジー「マフィンを焼いたわ
あなたの好きなマフィン…ぐすっ…う…」
シャーク「また情緒不安定だね
帰りにホットチョコを買って帰るから」
デイジー「ゔ…ひっ…ひっ…」
シャーク「発作の薬は飲んだ?」
デイジー「離婚したいの」
シャーク「…まただね、忙しいのは謝るよ
離婚には応じない
僕以上、君を愛せる人間などいない」
デイジー「毎日死んでるみたいなの!
贅沢させてもらってるわ!
だけど息ができない!許して
出て行くわ」
シャーク「僕はお前しかいないんだよ
わかってくれるまで、何だってする、話も聞くよ」
そこに一匹の犬がホームに飛び込んだ
アキラ「パーティー‼︎だめだよ!
待ってね、今助けるから」
シャーク「愛してるよ」
ガチャ
シャークは一瞬の迷いもなくホームに飛び込み
犬をホームに投げ上げた
ヒューン
貨物列車が猛スピードで通過した
アキラ「うわあああ‼︎」
パーティー「キュウン…」
アキラ「うわあん‼︎
人が‼︎人が死んじゃった‼︎
パーティーパーティーパーティー
人が死んだよ‼︎」
離婚するまもなく
デイジー夫人は未亡人となった
絶対に泣かないレッドブル大佐が喪主を務めた
「あ、シャークは
僕の…」
全員が初めてレッドブル大佐の涙を見た
「右腕であり
よき相棒…酒が足りねえな
実に良い後輩で
もういい、ジャン喪主を務めてくれ」
ジャン☆G☆ピエロ「鮫肌の兄貴には
頭が上がらないです
来世とか言うやつがあるなら
俺はまた子分になりたいです」
デイジー夫人はその場にいなかった
北へ向かう列車だけが行先を知っていた