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召喚士、頑張ります。  作者: 泉あられ
9/9

最終話 ー 「ありがとう」

最終話です。

いつもより少し長めです。


『我が食を邪魔する者は誰だ…?』


 寒気を感じ、私は思わず息を呑む。


 リザベルスは、一瞬縦にひゅん、っと飛んだ後、海の上に広がっていった。


「気を付けろ、覆われたら終わりだ! 常にリザベルスより上に!」

「はい!」

「勿論☆ スリル満々☆ ヤッシャー!」


 私もリーグさんも上昇する。

 リザベルスは、球体魔法で攻撃してきた。主に、私が乗っているイエローバードに。


「ひゃっ!」


 私は思わず声を上げる。



『我が食をよくも…』



「シェミィ、平気か!? 言っておいて難だが、二人乗りが安定しないのであれば、怖いだろうがいつもの鳥でも構わない!」


 同乗しているラクネスさんの声。

 確かに怖いけど、一番信用できるミスちゃんじゃないとできない事もある。

 それに今は狙われている為、安定しない。

 私はミスちゃんを召喚すると、ラクネスさんをミスちゃんの方へと誘導する。


「すまない。」

「平気です、私が囮になります!」


 相次ぐ攻撃に、リーグさんは魔法で抵抗する。


「弱点属性わかんない☆」


 言いながら光魔法を発動し、リザベルスを貫いた。


『無駄な事を…』


 リザベルスはびくともしていない。

 それどころか、貫いた穴が再生している。


「うっそぉ」


 あのリーグさんの魔法が全く通用していない。

 リーグさんは驚き過ぎて顎が外れている。



「(近接攻撃は溶かされるだけだ。剣士である私は…)」



 私はどうするべきか、先程から考えていた。


 私にできる事はーー


………。






「遅いぞ、ラクネス。本当に人々を救いたいのか?」

「ごめんなさい、師匠。もっと頑張りますから。」

「じゃあ納得するまでだ。もっと早く!」

「はい、師匠!」




 …私だって、守りたい。

 師匠も復讐など望んではいない。


 私もーー



 人々を、救いたいんだっ!




「うおおおぉぉっ!」


 ラクネスさんが、剣を振りかざした。

 ズシャアッ、と音が響き、剣気でリザベルスが半分に切り裂かれた。


『何…だと。』


 引き裂かれた部分は、海へと落下していった。


「ミスちゃん!」


 私の声に反応し、体勢を崩したラクネスさんをミスちゃんが上手く乗せる。

 先程の剣気は凄まじいものだった。

 ラクネスさんの全力だろう。

 ミスちゃんに乗ったラクネスさんは、片膝を付き、息を切らせ、


「すまない…後を任せた。」


 そうして、彼女は回復剤ポーションを一つ飲み干した。

 体が光っている。

 リーグさんがあの時分けてくれなかったら、危なかったろう。



「リーグさん! いつまで顎外してるんですか!」


 バキバキッ


 …バキバキ?


「おっと、失礼☆ 治ったヨ☆」


 私は何とも言えなかった…。

だけど、ラクネスさんが相手の幅をかなり削ってくれたお陰で、危険性は少なからず減ったといっていいだろう。


『よくも…。』

「次は、私達の番だよ。」


 私は不安ながら勇気を出して言ってみせた。

しかし、私は空中戦は苦手だ。

 リザベルスは覆ろうとどんどん上昇していく。

 それに伴い、私達も皆高く上昇する。


「うりゃあ!」


 リーグさんが回転する十字形の雷撃を放つ。


『ぐっ…』


 これは効いたようだ。


「オーケイ! この魔法主体に攻撃してくよォオ☆」

「はい!」


 私が囮になるので、その合間合間にお願いします、とリーグさんに伝えた。

 思えば私とリーグさんが連携をとるのは初めてのような気がする。


 ビュンッ


「ッ!」

「そこだネ!」


 バチバチィッ


 リザベルスが襲ってきては、その隙にリーグさんが十字形魔法を使う。

 こうやって繰り返していけば、いつかはーー


 …と思った時、


 ドシュッ


「ぐえ」


 リザベルスの球体魔法がリーグさんに直撃し、リーグさんは落下しそうになる。


「リーグさんっ!」


 あのリーグさんですら…

 私は悲鳴のような声を上げた。

 すぐさま私の方へとリザベルスを寄せ、離れた所にいるミスちゃんにリーグさんをキャッチしてもらう。

 瞬間、ミスちゃんは素早くリザベルスより上に飛行する。

 ラクネスさんがリザベルスを小さくしてくれていなかったらと思うと、ゾッとした。


「この僕が…バリアすら発動できないなんテ…ぐぅっ」


 ラクネスさんがリーグさんにポーションを飲ませている。

 二本持っていなければ危険だったろう。



『残るはお前だけだ…。』

「くっ…。」


 それでも私は退かない。


『喰われてもいいのか…?』


 私は退かない。

 だって、もう決めた事だから。




 ーーふと、また頭に過るものが。


 コワクナイノカ? ミゴロシニシタトイウノニ?

 タダノフクシュウヲ、セイトウカシテイルノデハナイカ?



 …私はーー



 お姉ちゃん、ルアリー、ラクネスさん、リーグさん、街の人々。

 私はただーーー守りたいッ!


 パアアア…

 魔法陣から、溢れるような光と共に物凄く巨大な鳥が現れた。



『まさか、かつて我を封印した、あの伝説の鳥ーー

取り込んだ四鳥しちょうの能力をフルに使い、集約して、おぼろげながら、喚びだしたのかー』


 私は、残りの三鳥さんちょうも召喚した。


「皆! 完全に呼び起こすよ! あの聖なる鳥を!」


 私には、全ての四鳥が頷いたように見えた。



「黄、赤、緑、黒。ーー白き鳥よ、四つの輝きを集約せよ! 」


 光が強くなってくる。


「目を覚ませ! 偉大なる白き神聖なる鳥ーー、”ホーリーバード”ッ!」



 猛烈な光と共に、巨大な鳥が確かなものとなった。


『やめろ! その鳥を使役するな!』


 リザベルスは球体魔法でホーリーバードに攻撃していたが、そんなもの受け付けない。

 焦っているのが見てとれる。


 ーーいくよ、皆!



「”ホーリーシャウト”ッ!」



 光がリザベルスを覆い尽くす。


『やめろ、やめーー』


 やがてリザベルスは粉々になり、そのまま海へと落下していった。


 召喚が自動解除され、私はミスちゃんに拾ってもらう。







「平気か、シェミィ!」

「う…平、気です…。」


 私はポーションを一つ飲む。


「終わった…のか?」


 ラクネスさんが怪訝そうな顔で辺りを見回す。


「はい…何とか。」


(四鳥の皆、ありがとう。休んでいてね。)


「勝ったの…? シェミィ、一人で倒しちゃったの…? イエーイ!Congratulation (おめでとう)! 」

「一人じゃないです、皆さんがいてくれたからです。」


 ラクネスさんは安心した様子で、


「よかった…、本当によかった。皆が無事で。それに、最後の召喚は見事だった。まさか本当にあの伝説の召喚士、メイス・クロイスが召喚した鳥を喚びだすとは…。」

「そんな事ないです、皆のお陰です。それに、四鳥の皆が導いてくれたんです。ホーリーバードの事を。」


 そう言いつつも、あのメイスさんが召喚した鳥を実際に喚びだせたのは、召喚士として嬉しかったりする。


「そうだったのか…。シェミィ、君も一人で疲れたろう。」

「ヘイ! 今なら少し使えるよ☆ 回復魔法、それ☆」


 全員の体が緑に光る。


「ありがとうございます。」

「ありがとう。」

「ま、また出てきたりしませんよね?」


 私は戸惑い気味に問いかける。


「あれ程粉々になったんだ。封印した訳でもない。平気と言って構わないだろう。…はは、言っておいてまだ実感が沸かないよ。」


 ラクネスさんは笑った。

 私も笑う。

 リーグさんも笑っている。


 最初に言葉にしたのはラクネスさんだった。


「皆ーー」



「「「お疲れさま。」」」






 私はミスちゃんにラクネスさんを乗せ、リーグさんは魔法陣の上に乗りながら、街へと飛んでいく。



 一旦地上に戻ってからーー


「…お別れの時だな。そういえばシェミィ、君は最後まで丁寧語だったな。」

「そ…そうですね。緊張してしまっていて。」

「はは、構わない。」

「お別れ、ザンネン…。」

「皆さん、これまで本当にありがとうございました。」


 私は深々と礼をする。


「礼を述べるのは私の方だ。二人共、本当にありがとう。」

「二人共アリガト。うぅ…寂しいヨ。 」

「平気です。 私とミスちゃんがいつでも会いにいくので!」

「そうか、それならば嬉しいな。是非来てくれ。」

「イヤッホー! また会えるじゃないカ☆」



 ラクネスさんが目を伏せながら、


「また何かあったらーー」

「ウン☆」

「はい!」



「「「また一緒に、旅をしようね。」」」







「(花を買ってから神殿へ行こう)」


 二人と別れ、私はミスちゃんと一緒に花屋に寄り、その後神殿へと向かった。


 神殿は、溶けた部分だけ取り除かれ、平地になっていた。

 私は花を手向ける。

「…レイさん、終わったよ。もう誰もリザベルスに溶かされる心配はない。…私、守れたよ。」

 涙をぐっとこらえ、私は手を合わせる。


「きゅ…。」


 ミスちゃんもひとみを閉じた。


「レイさん、またここに来るからね。一人じゃないよ、レイさん。」







「街の皆さーん! リザベルスの恐怖から逃れました!」


 私はまたミスちゃんに乗りながら、街の人々に声をかけて進む。

 住民がざわざわとし始めた。


「本当かい、シェミィちゃん!?」

「平気ですよ!」


 街の人々が話かけてくる。


「うっそ!? 本当なのシェミィ!?」

「あ、ルアリー! 勝ったよー!」

「そんな、へ、あ、凄いじゃん!」


 ルアリーは相当驚いたようで、一分言葉になっていない。


「シェミィ!」


 お姉ちゃんは涙を流しながら、私を抱きしめた。


「よかった…よかった、よかった。無事で本当によかった。」

「お姉ちゃん…。心配かけたね。心配してくれてありがとう。でもお姉ちゃん、ちょっと苦じ…」


 お姉ちゃんはぱっと私を離すと、


「ご、ごめん!」


 こっちの台詞セリフだよ、お姉ちゃん。ありがとう。

 

「シェミィ、私も心配したよー! もう無茶すんのは駄目だからねー!」


 ルアリーは、指で×を作っていた。


「でも、親友が戻ってきて本当に嬉しい! リザベルスなんて化け物、よく倒せたね! さっすが特待生!」

「あはは…そんなんじゃないよ! 偶々運がよかっただけだって!」


 それにーー


 信頼できる、強力な仲間がいたしね。



 私は、旅の事を思い出す。

 最初は怖かった魔物、金策、野宿、四鳥との戦い。

 頼りになる仲間の存在。

 今の私がこうしていられるのは、皆の支えがあったからだ。

 本当に、


 皆ーーー




 ”ありがとう”。





 明日は何をしようかな?

 皆の顔を見たら、疲れが吹っ飛んでしまった。

 そうだ、明日は早速仲間に会いに行こう。

 あれ、でも二人共疲れているだろうから邪魔かな?



「シェミィ!」



 いろいろ考えていると、親友の声が聞こえた。

 私は振り返る。





「遊ぼう!」




 平和になったこの世界。

 少しだけ、浮かれていてもいいだろうか。




「うん!」




 私は、満面の笑みで応えた。



ここまで読んで下さった方、いらっしゃったら本当にありがとうございます。

以降は暫く読み専になろうかと思っております。

よろしくお願いします。

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