第七話 ー 『コランクル』
物語も終盤です。
目が覚めると、明るい日差しが私を照らしていた。
「おはよう、シェミィ。」
「あ…おはようございます。」
聞く所によると、私は布団も敷かず、まるで倒れたかのように寝ていたという。
「体調は平気か? もう少し休憩しても構わないが…。」
「いえ、平気です。頑張ります!」
「わかった。ただ、あまり無茶はするな。頑張り過ぎはよくない。夕べは流石に驚いたぞ。」
布団も敷かず毛布もかけず…。
ラクネスさんが布団に寝かせ、毛布をかけてくれたようだ。ありがとうラクネスさん。
宿で朝食を取っている最中、ラクネスさんが、
「後は二鳥だけか…。」
「時間が過ぎるのって早いですね。ここまであっという間でした。…リザベルスを見かけないのが不思議です。」
「…まだわからないが、四鳥を追うという説が間違っているのかもしれないな。とりあえずやるだけやってみよう。」
「はい!」
宿を出てーー
「オッハヨーゥ! 皆元気かーイ! 僕はこの通りだよ☆ ハハッハー!」
少し経って、リーグさんも出てきた。
「…リーグ、寝坊したな?」
「そんなぁ、責めないでェエ」
そんなやり取りが続き、
「今日はどこに行くんですか?」
私が尋ねると、今日は以前私が言ったコランクルという森に行ってみるとの事。
かなり遠くにある為、まずは金策と買い物をする事になった。
以来を受け、飛び立つ。 依頼ももう慣れてきた。
そのせいか、短時間でお金を貯める事ができた。
「次は買い物だな。」
ラクネスさんの言葉に頷く。
「僕もそろそろ新しい杖買いたいナ☆」
「奇遇だな、私も剣を新しくしたいと思っていた所だ。シェミィ、君は平気か?」
「はい、この杖で充分です。」
「わかった。もうすぐ着く。私とリーグはギルドへ向かう。 シェミィ、買い物を頼めるか?」
「はい!」
こうして私達は、街に降りて別行動をとる事になった。
「食べ物に、あとは回復剤…ええと」
私が戸惑っていると、
「シェミィちゃん、旅してるんだって?」
「え、は、はい。」
戸惑っていたからか、まさしく戸惑った返事になってしまった。
「以前は毎日のように顔を見せてくれたのに…。つらい事はないかい?」
「つらい事…。」
ふ、とレイさんを見殺しにした事が頭を過ぎる。
旅の前の話だけど……
ーー自分を責める事は、少しは減ったかな。
「最初はあったんですけど、今は旅には大体慣れました。」
「そうかい、頑張って進むんだよ。」
進むーー
…今の私は、少しでも先に進めたのだろうか。
お金を払い、
「では私はこれで。」
「はいよ、いってらっしゃい。」
ーーお姉ちゃんにルアリー、街の人々。
勿体ない位、私はいろんな人に背中を押されている。
…頑張ろう。 仲間は沢山いるのだから。
*
「お待たせしました!」
息切れする程超特急で私がかけこんだのは、ラクネスさんやリーグさんのいるギルドだった。
「ヘーイ! その荷物はナンダイ? 僕の袋にいれなヨ☆」
「すまない、力仕事をさせて。」
「いえ、平気です。 リーグさん、お願いします。」
荷物をリーグさんに渡して、魔法袋に入れてもらう。
「お二人共、武器は買えましたか?」
一息ついた私は、そう問いかけた。
「ああ、最近切れ味が悪かったからな。」
「僕は何となぁく変えてみたヨ☆」
「…リーグ、旅費を無駄に使うな。」
「そんなぁ、気分転換だよう~」
「…わからないでもないが。」
私は思った。
凄い、ラクネスさんが押されている!、と。
リーグさん恐るべし。
「よし、コランクルへ向かうぞ。」
「はい!」
「アイアイサー!」
コランクルはここから随分離れた所にある森だ。
もし四鳥がいるといえば、色的にグリーンバードだろうか。
呑気に考えていると、森らしきものが小さく見えてきた。
「あそこか。確かに遠いな。」
「ヤッフー!☆ 加速しちゃう?」
「少しだけスピードを上げよう。」
「わかりました! ミスちゃん、いける?」
「きゅきゅ。」
私達は少しだけ加速しながら、森の方へと飛んでいった。
「そういえば、このミスルヒーラという獣は、人の言葉を理解できるのだったな。」
ラクネスさんが頭の方を撫でると、
「きゅきゅきゅ!」
ミスちゃんは嬉しそうな声で応えた。
「召喚獣は大体従えられるんですけど、この子だけは特別で。誰かが乗っていないと動けないんですが、買い物もできるんです。」
「買い物まで…。 本当に賢いな。」
ラクネスさんが感心している。
私は苦笑して、
「とは言っても、買い物は大体ジェスチャーも多いですけど、」
私は続ける。
「私の、大切な親友の一人です。」
「召喚獣の親友か、いいじゃないか。」
「はい、小さい時からの親友です。」
いろいろ話している内に、コランクルへと到着した。
リーグさんは、
「あ、やっと来た~!☆ ココだヨォウ☆」
先に森に到着し、手を振っていた。
「リーグさん、早かったですね!」
「イェーイ! 僕位強いとこれだけの速度がでちゃうのサ☆」
「ですが『森』だと、四鳥は目立ちますよね。」
「ああ。 見える所には何もいないがな…。リーグ。」
「ハーイ☆ えっとねー…中央辺りにゾロゾロいるヨーゥ!☆」
「中央か。行ってみるぞ!」
近くに魔物を発見した。
中央付近に近付いている証拠だ。
「はあっ!」
この魔物は、ラクネスさんが一撃で葬る。
「シャッハー! もうすぐダヨウ☆ 皆走って☆」
リーグさんの言うように、徐々に中央へと駆けていく。
その先にはーー
…緑色の、沢山の小さな鳥がいた。
「なんでしょう、ぞろぞろと…」
キイイーーッ!
「二人共、警戒しろ!」
ラクネスさんが叫んだ。
声と同時に小さな鳥が集まってーー
グリーンバードへと、変貌した。
「そういう事か…。これでは普段は見つからない訳だ。シェミィ、リーグ、気を付けろ!」
ラクネスさんは一歩だけ後退し、再び地面を蹴った。
しかし、グリーンバードが巻き起こす猛烈な風に吹き飛ばされてしまう。
「ッ、ぐっ…」
「ラクネスさん!」
私は素早くミスちゃんを召喚し、転げ落ちていくラクネスさんを上手くキャッチする。
「平気ですか!? 怪我は!?」
「ありがとう、シェミィ。怪我はそれ程ではない。リーグは?」
「浮遊魔法で応戦中です。」
「そうか。私達も急ごう。」
私は頷き、頂上へと急ぐ。
「みんなぁ、待ってたよ☆」
リーグさんの声が聞こえてくる。
すると、ふっと体が光る。
「回復魔法とは気が利くな。礼を言う。」
「イヤッハー!☆ 僕ってやっぱり天才☆」
私はミスちゃんを召喚解除し、大型の龍を喚び出した。
「必要でしたら乗って下さい。」
「助かる、シェミィ。」
そう言って、ラクネスさんは龍に乗る。
そしてまた素早くグリーンバードに乗り移った。
「グリーンバードちゃんは色敵に炎が弱点カナ? でも山火事になっちゃうから今日は雷魔法でいっくヨーゥ☆」
ドドドドッ、と直線に放たれたリーグさんの魔法が、グリーンバードに真っ直ぐに直撃する。
「リーグ、私を巻き込むなよ!」
「ハイハーイ☆ わかってるヨ☆」
ゴウゥッ
それにしても、物凄い風だ。
私はラクネスさんとは違い、中々近付けない。
少し離れた所で召喚する。
「狐さん、出ておいで!」
私は以前召喚した、大型の狐を呼び出した。
これでも、何とか風を凌げるだろう。飛ばされる心配は無さそうだ。
リーグさんは、相変わらずかなり高い所から攻撃していた。
ラクネスさんも、かなりグリーンバードに攻撃している。
狐さんは突進していたりと、私も少しだけ戦闘している。
「シェミィ、出番だ!」
私ははっとした。
「ーー聞け、緑輝く光る獣よ。 我が命に応えよ。」
グリーンバードは静かになった。
「我が名はシェミィ・ユミアル。いざ、我がものとなり、従え!」
グリーンバードは緑の光になって、私に吸収されていくのだった。