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97 スライムさんとサングラス

「こんにちは」

「いらっしゃいませ!」


 よろず屋に入ると、スライムさんがいつものように……。


「あれ? なにそれ」


 スライムさんが、顔に変なものをつけていた。

 メガネだけど、レンズの部分が真っ黒になっている。


「ふっふっふ。これは、さんぐらすです」

「サングラス?」

「ふっふっふ」

「どういうものなの?」

「これをつけると、よくみえなくなる、めがねです」


 スライムさんは不思議なことを言った。


「ふうん?」

「えいむさんも、かけてみますか?」

「いいの?」

「どうぞ!」


 私は、スライムさんがかけていたメガネをかけてみた。


「うわっ、なにこれ」

 まっくらだ。


 メガネを外して見てみる。


 レンズが入っているはずのところには、薄く、形を整えられた黒い板が入っているだけだった。


「これが、さんぐらすです!」

 スライムさんは言った。

「ふうん?」

「あげましょう!」

「え? どうして?」

「よくみえませんし! ぼくには、ひつようないものですので!」


 私にも必要ない気がする。


「どうしましたか?」

「でも、高いものなんじゃ?」

 いちおうきいてみた。


「たかくないですよ!」

「そっか」

 そうだよね。


「なにに使うんだっけ?」

「まぶしいときに、べんりです!」

「なるほどねえ」


 だったら、手で目を隠せばいい、と思ったけど、それが面倒だというときにはいいかもしれない。


 ……どういうときだろう。




「こんにちは」

「いらっしゃいませ!」

 翌日、よろず屋に行くと、今日のスライムさんはふつうだった。


「そうだスライムさん、サングラス!」

「どうしましたか?」

「お母さんがあれ、気に入ってた」

「そうなんですか?」

「あれをつけて、昼寝をするとちょうどいいんだって」


 揺れる、ゆったりできる椅子に体をあずけて、母がサングラスをかけていた。


「まぶしくなくて、いいんだって」

「そんなつかいかたが……。さすが、さすがえいむさんのおかあさんです!」

「そうかな?」

「そうです! これはやられました……。よるはくらいですけど、ひるねに、ぴったり……。やられました! さすが、さすが、さすがです……!!」


 スライムさんは心から感心していて、私はなんだか、私もすごいみたいな気持ちになった。


「でも、うっかり寝返りをうつときに、顔があたって起きちゃうって言ってた」

「いたいかもしれませんね!」

「うん」

「だったら、ぬのでつくると、いいかもしれません!」

「あ、そっか」


 目が、ちゃんとまぶしくないようにすればいいんだから、メガネよりも、やわらかい素材のほうがいい。


「スライムさん、名案だよ!」

「そうですか?」

「うん。さすがスライムさんだね!」

「そ、そうですか? そんなことないんですけどね。そんなこと、ないんですけどねえ!」

「じゃあ、お母さんに、スライムさんの分も作ってもらう?」

「いいんですか!?」

「うん」

「やりました!」


 スライムさんはカウンターの上でぴょん、ととんで、くるくるまわっていた。

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