407 スライムさんとしんせんぐみ
私たちは、お店で薬草を食べていた。
「今日も新鮮だね」
「はい! ん?」
スライムさんがなにか思いついたようだった。
「しんせんぐみ、ってしってますか?」
「新鮮組?」
「そうです」
「……とれたてってこと?」
新鮮から連想するのは、やはり、とれたての野菜。
「とれたての、やくそう、みにいきましょう!」
裏庭にある畑から薬草をとったら、それはそれは新鮮だろう。
私たちはお店を出た。
「でも、新鮮組っていう、その、組ってどういうことかな?」
「どういうことですか?」
「新鮮なのは、私たち? それとも、薬草?」
「ほほう……」
スライムさんは、おごそかに言った。
「なかなか、むずかしいはなしですねえ、えいむさん」
「スライム先生!?」
「くみ、ということばをひんとに、かんがえてみましょうか」
「はい先生! たぶん、私たちのことを言っていると思います!」
「ぼくも、そうおもいますよ……」
スライムさんのおだやかな目が、いつもの元気な目にもどった。
「というわけで、ぼくらが、しんせんぐみです!」
「私たちは、新鮮組だった……!?」
「はい!」
「なるほどね。新鮮組は、なにをするの?」
「しんせんの、ちあんをまもることです」
「新鮮の治安?」
「はい。しんせんであることをまもる。それが、しん、せん、ぐみだ!」
スライムさんは宣言した。
「私たちの場合は、新鮮な薬草をとる活動をすればいいのかな?」
「たぶんそうです!」
裏庭の薬草が青々としている。
私が手をのばそうとしたら、スライムさんが口を開いた。
「しんせんぐみっぽい、とりかたで、おねがいします!」
「新鮮組っぽい取りかた?」
「はい! しんせんぐみなので!」
「うーん」
新鮮、と名前がついてる人たちのやりかただから、なにかこう、特別な取り方があるような気がする。
「……はっ、はっ、はっ!」
私は手早く3つ、とった。
「おおっ!?」
「三段取り。どうかな?」
「いいですね!」
スライムさんは、ぴょん、ととんだ。
「お気にめした?」
「とても、めしました! ……じゃあ、ぼくは……」
スライムさんは考えている。
そして、薬草を観察していて……。
「あっ!」
「どうしたの?」
「これです!」
進んでいったスライムさんは、ひとつの薬草を指した。
正確には、スライムさんは視線で示していたので、見たところを私が確認した。
そこは、薬草が生えている数がすくない場所だった。
「五角形だね?」
薬草が5つ、五角形になったような位置で生えていて、その中央に薬草が生えていた。
「なんだか、しんせんを、かんじます!」
「そうだね」
私も、なんとなく新鮮な気がした。
中央の薬草をそっと取って、土を払う。
「ぼくも、しんせんを、とれました!」
「これで、ますます新鮮組だね!」
「はい! ……」
「どうしたの?」
「ほかの、しんせんも、やってみたいです!」
「いいよ。どんなの?」
「しんせん、ぜろしき!」
スライムさんは、生えている薬草にぴったりくっついた。
「これは?」
「やくそうに、くっついて、せんどをみます!」
「なるほどね」
たしかに、鮮度は近くで見たほうがわかりやすいだろう。
「私もなにか、他の新鮮を探したいなあ」
「さがしましょう!」
私たちは、スライムさんと新鮮を探した。




