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404 スライムさんと線状降水帯


 私は、通りの道から、スライムさんのお店につうじる道に曲がった。

 そこからある異常があった。

 私はその異常から逃れるために、慎重に上を見ながら歩いた。

 異常はお店までずっと続いていた。


 私は、ぬれないように、さっ、と素早くお店に入った。


「こんにちは」

「いらっしゃいませ、えいむさん!」

 スライムさんがカウンターの上にのった。


「おや? かみのけに、みずがういていますね」

 雨だろう。

 私は、髪の毛の上にのっているいくつかの水滴を想像した。


「外、ちょっと降ってたから」

「まだふってますか……」

 スライムさんは、むん、とふくらんだ。


「変な雨だよね?」

「あれは、せんじょう、こうすいたい、です!」

「戦場こうすいたい?」

 なんだか危険なひびきだ。


「危なそうだね」

「はい。ひどいときは、ししゃが、でることも」

「やっぱり」

 私はうなずいた。


「でも、きょうの、せんじょうこうすいたいは、そんなでもないです」

「そうなんだね」

「はい」

 私たちは外に出た。

 出るとき、私はスライムさんを抱えて、さっ、と出たのでほとんどぬれずにすんだ。


「ありがとうございます!」

「いえいえ」

「これが、せんじょうこうすいたいです!」


 雨の道ができている。

 ごく細くて、スライムさんくらいの幅しかない。

 それが一列になって、お店の前から通りまで。


 空の雲は高すぎるのかよくわからないけれど、とにかく雨が降っている場所が続いていた。


「せんじょうこうすいたいは、ずっとふりつづけて、こうずいになったりも、するそうです!」

「へえ。でも、今日はおだやかな戦場だね」

「ふふ。うんが、いいです」

 スライムさんは、にやりとした。


「日頃の行いがいいのかな?」

「ふふ」

「これがひどくなると、戦いのような雨ってことだね」

「? はい!」

「じゃあ、これからひどくなるかもしれないよね」

「! たしかに!」

「大雨になってもいいように、対策しておこうか」

「はい!」

「なにをしたらいいのかな」


 私たちは考えて、お店の入口に、低い壁をつくった。

 板を持ってきて置いた。かんたんにまたげる高さだ。

 そして、入口と、板の間を埋めるように、袋に入れた土を置いた。


「これなら、大雨になっても大丈夫そうだね」

「はい!」


 そのとき、空の様子が変わった。

 私たちはまた外に出た。

 戦場こうすいたいが、横に動いている。


 お店の入口をそれて、裏庭に向かっていた。

 薬草の畑のほうだ。


「スライムさん! 薬草が戦場になるかもしれないよ!」

「はい!」


 私たちは、戦場こうすいたいを追った。



 





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