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364 スライムさんとタイトセイバー

「こんにちは!」「いらっしゃいませ!」

 私たちはほとんど同時にあいさつをした。


「私のほうが早かったね」

「やりますね!」

「ふふ」

「じゃあ、とくべつに、かわったけんを、みせてあげましょう!」

「変わった剣?」

 スライムさんが奥から出してきたのは。


「これって、なにもついてないけど」

 私は剣の柄と思われるものを持った。

 つばがあって、柄がある。でも、剣のいちばん大事なところだと思われる刃がない。

 持ちやすいけれども。


「それは、たいとせいばーです!」

「タイトセイバー?」

 なんだか体にぴったりフィットしそうな名前だ。

「しかるべき、ひとがもつと、けんがでます」

「にょき、って?」

「はい!」

 私はタイトセイバーをしっかりと持った。


 なにも出てこない。

「でませんね」

「出ないね。つまり、私は、しかるべき人じゃないってことだね」

「しかるべきって、なんでしょうね」

「わかんない」

 しかるべき。

 注意されるべき、という意味ではないだろう。


「スライムさんは出た?」

「ぼくは、もてないので」

「じゃあこれで」

 私はスライムさんの頭にタイトセイバーを置いてみた。


 にゅっ。

 刃があるべきところからなにかが生えてきた。

 薬草だ。

「薬草が出てきた」

「ほんとうですか?」

 スライムさんの、前髪のような位置に薬草が出てきていた。


 もぐ。

「あっ」

 スライムさんが薬草を食べている。

「どう?」

「やくそうです!」

「私もいい?」

「はい!」


 ちぎって、口に入れてみる。

「……薬草だ」

「でしょう!」

「スライムさんは、薬草が出てくるんだね」

「はい!」

「しかるべきスライムさんだったんだね」

「はい! ぼくはしかるべき、すらいむです!」

「これで、もう薬草をとりにいかなくてもいいのかな」

「むげんやくそうです! ……」

 スライムさんが真顔になった。


「どうしたの?」

「なんだか、つかれました」

「! 薬草を出したからかな!」

 ものを出すということは、運動などよりも、ずっとつかれるのかもしれない。


「う、そんなこと、ないです……」

「でも」

「つかれてないことにすれば、ずっと、らくができます……」

「スライムさん! 現実を見て!」

「うーん。でも、ちょっと」

 スライムさんが、薬草を食べた。


「! 元気になりました!」

「よかった」

「はい! これからも、やくそうをだして、それをたべれば、もんだいないです!」

「そうだね?」

 合っているような合っていないような。


「でも、おいしい分だけ、得かもしれない」

「はい!」

 私は、自分の分を裏庭にとりに行った。


 もぐもぐ。

「つまみぐいです!」

 様子を見に来ていたスライムさんに見られてしまった。


「しまった」

「しまってないです! つまみぐいして、いいです!」

「いいの?」

「ぼくもします!」


 私たちは、裏庭でつまみぐいパーティーをした。

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