表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/414

23 スライムさんの登山

「こんにちは」

「いらっしゃいませ!」

 と私を迎えてくれたスライムさんは、カウンターの下で、なにやら用意をしていた。

 カバンにいろいろな物を入れている。


「なにしてるの?」

「きょうは、おみせをおやすみして、おでかけをしようかと」

「お出かけ? どこに?」

「あれです!」


 スライムさんは外に出て、落ちていた小枝で遠くを指し示した。


「山……?」

「どうしてやまにのぼるのか……。そこに、やまがあるからですよ!」

 スライムさんが、ビシッと決めた。

「山にのぼるの?」


 ここから見ると、山は遠く、また山肌は灰色の岩山に見えた。


「危ないんじゃない?」

「ふふ、おんなこどもは、いえでまっていたほうがいいかもしれねえな……」

 スライムさんは小枝をくわえて、すぱー、と口で言っていた。


「寒くないかな。スライムさん、また凍っちゃったりしない?」

「へっ、そこまでのやまじゃあ、ねえなあ……」

「山のぼり、得意なの?」

「やったか、やっていないかといわれれば、やったことはねえな。だがよう。のぼろうとおもったことは、やまほどあるぜ。やまだけにな!」


「やめておいたほうが」

「やってやるぜ!」

 私が止めようとすればするほど、スライムさんのやる気を引き出してしまっているようだった。


「スライムさん、なにか魔物が出てくるかもしれないし」

「だいじょうぶです! ひさく、があります」

「秘策」

「そうですよ」


 ふっふっふ、と言いながら、スライムさんはある箱を持ってきた。

 スライムさんがちょうど入るくらいの大きさの箱が二つだ。

「これがなんだかわかりますか?」

「箱」

 私が言うと、スライムさんは箱に石ころを入れた。

 すると、もう一個の箱からその石ころが。


「あ、これ」

 私が言うと、スライムさんはにやりとした。

 私が手品をしたときにスライムさんが出してきた、転送の箱、だ。


「この前のより大きい」

「このはこをつかえば、わかりますね?」

「どうするの?」

「きょうぼうな、まものにであってしまったり、やまのいちばんうえまでのぼって、かえるのがめんどうになったりしたとき、どうしますか? そう、このはこにはいればいいんです!」

 スライムさんは言って、箱に入った。

 もう一方の箱から出てくる。


「どうですか! これで、あんしんあんぜんでしょう!」

「……この箱って、なくなってもいいの?」

「だめですよ! きちょうなものですから!」

「でも、入った箱ってどうするの?」

「はい?」

「この箱に入って帰ってくるなら、その場所に、この箱は残っちゃうんだよね? それを取りに行かないと……」

「……」


 スライムさんはしばらくかたまっていた。



 今日は薬草の生えている裏庭の手入れをするというので、私はそれを手伝うことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ