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紅い死神の征魔戦争  作者: 雨色 A音
78/83

第78話 集いし魔子達

約半年近く失踪してしまい申し訳ありませんでしたあああ!

上げれなかった原因としまして

・住居が転々としたためにまとまった時間が取れなかったこと。

・間隔が空きすぎて書き方を忘れる。

という体たらくを招いてしまい反省しています。


これからも不定期ではありますが、月一で更新できるぐらいには頑張っていきますので‥‥

それでは本編をどうぞ。



「この馬鹿野郎がァァーー!!」


征魔連合軍ウィザーズ・チャリオッツロシア支部。その支部長室内から敷地内にかけて空の怒鳴り声が響き渡る。


「‥うるせぇな」


「何がうるさいだ! 敷地勝手に燃やしやがって! 挙句別の支部の奴に瀕死の重傷負わせるとか頭どうなってんだよ!」


「いや、瀕死ではないですけど‥空さんもその辺にしておいて下さいよ」


「あ、そこはちゃんと庇うんだにゃ。叶夢」


「ただ単にうるさいだけだよ。防音室篭もって説教してくれるならポップコーン片手に見てやりたいところだ」


怒鳴られているゼノンを横目に、叶夢はコーヒーを口に運ぶ。


「悪かったって‥‥あとは戦果で返してやるよ」


「ほう‥叶夢に負けた癖によくそんな口ほざけるな‥‥」


「俺は負けてねえ!」


「いや負けとるやろ。どの口でそんな言えるねん」


「多勢に無勢だにゃ‥」


ゼノンは服を半分だけ脱いで身体の一部に包帯を巻きながら空と狩耶に食って掛る。既に叶夢に着けられた傷は再生しかけてはいたが所々血が滲んでいたりと完全とはいえなかった。


「にしてもゼノン‥あんだけ戦ったのに、もうダメージ再生してんのかよお前。さすがに魔族化進みすぎだろ」


「テメェにだけは言われたくねえよクソ叶夢ィ!」


「あーはいはい‥貧弱な人間様は大変だねぇ‥」


「なんで喧嘩売ってるんだにゃお前‥‥」


「おうおう、相変わらずやってるわね」


「全く‥馬鹿が二人に増えやがったか」


「え、朔夜にベロニカ! にゃんでここに?」


呆れ混じりの笑いとともに入室してきたのはベロニカと朔夜だった。喧嘩を始めようとした叶夢とゼノンもその姿をみてゆっくり座り直す。


「まぁ作戦に参加するからな。俺達も」


「にしても凄いことになってたわね。あんたらが戦ってた場所」


「環境破壊もいい所だ‥‥というか相変わらず仲悪すぎだろ。ゼノン、叶夢」


「そもそもこんな非常事態じゃなきゃ俺がゼノンと手を組むなんて有り得ないからな‥‥」


「俺もだよバカ叶夢。てめえだけが嫌とか思ってんじゃねえ」


「はぁ‥‥もう一回倒さなきゃ黙らねえか負け犬」


「また始まりました‥‥叶夢、辞めてください。こっちが恥ずかしいです」


やり取りに呆れた千夜が軽く叶夢の肩を叩く。叶夢が溜息をつきながら千夜の目を見ると、それはいつもの千夜からは考えられないほどの冷ややかな視線が向けられていた。


「‥‥すいません」


「次やったら破局ですからね」


「おぉー怖っ‥‥千夜っちガチじゃん」


「むしろそれでも足りないぐらいだ‥‥叶夢のバカを止めておくにはな‥で、サクリファイスの様子はどうなってるんです?」


「そうだった‥‥こいつの説教で忘れるところだった」


空は溜息をつきながら、机に座り直すと目の前のPCの電源を付け直す。朔夜はそれを見るとバックからとある書類を取り出し、目を通し始めた。


「しかし、上も本気のようですね。名簿に目を通してみても聞いたことある名前ばっかり。第一小隊に至ってはほぼ全支部から揃ってるじゃないですか」


「そりゃ、何年も追ってた魔族だからな」


「民間の征魔士まで居るのね‥‥うわ、気まずいメンツも居るし。朔夜ー、マフィア時代にお世話になった人もいるわー」


「顔見知りがいることに越したことはないんじゃないの? ベロニカちゃん」


「違いますよ白鳩先輩。私らが言う顔見知りはマフィア時代の顔見知りって事です」


「あー‥‥」


白鳩の苦笑いに、ベロニカは自嘲気味の笑みで返す。


「叶夢。くれぐれも揉め事は起こしてくれるなよ?」


「俺じゃなくてそれはゼノンに言うべきだと思うぜ? 俺には優秀な彼女件ブレーキがあるからな」


「誰がブレーキですか!」


「いって!」


叶夢の発言に怒った千夜は、小さな氷塊を生成するとそれを手に取り叶夢の頭を軽く叩いた。


「にしてもサクリファイスにここまで動きがないのも気になるなぁ? どう思っとるん? ゼルリッチの魔子達の思っとること聞きたいんやけど」


「‥‥正直、今の状況はどの手を取ってもサクリファイス側の損がないって言うのが現状です」


「朔夜の言う通りだな‥‥」


「どういう事だよ叶夢」


「全ての征魔士が集ってるんだろ? 惹き付けるだけ惹き付けてトンズラすればがら空きになった場所に襲撃し放題だからな。街一つは壊滅させられるんじゃないか?」


「確かににゃ‥‥ってなると、サクリファイスはもう去ってるんじゃ‥」


「そうなった場合の対処ならある。今回の戦力に関してなんだが、もちろん俺たち本隊の他にも動く部隊はいる。サクリファイスが他の場所に現れた場合の国外側の部隊。そして様子見の為の先遣隊だ」


「すっげーにゃ! もう世界のどこにも逃げ場が無いって事かにゃ?」


「そうなるな‥‥国外の部隊の面子はどうなってるんすか? 空支部長」


「征魔連合軍の全ての支部。民間の征魔士達、そして他の十二帝達に着いてもらってる」


「超ガチで包囲しに来たわね‥‥ま、第九位狩るならそれぐらいはするわよね」


「空さん。そこまでやって、こちらの面子は大丈夫なんですか?」


「心配するなよ朔夜。こっちの面子には俺と狩耶、そして先遣隊に秘密兵器を投入してある」


「秘密兵器‥‥ですか?」


白鳩が不思議そうに空の顔を見る。


「それは見てからのお楽しみだ。さて、お前らには先に明日に出発してもらうから支度しておけ」


「先にって‥‥他に誰か来るのかな? 」


「‥‥あ、私わかっちゃったかも‥紫以奈っち。耳貸して」


「‥‥何もしませんか?」


「しないしない! 初対面のあれはごめんって!」


「何かしたら撃ちますからね?」


紫以奈はホルスターから銃を取り出すと、ベロニカの頬に銃口を突きつけながら渋々ベロニカが自らの耳に近付くことを許す。


「‥確かにそれなら納得です」


「ね? ね? まともな事言ったでしょ?」


「そうですね‥‥」


「矢岬さん。そいつに接近許す時点で負けてるぞ」


「え、朔夜隊長‥‥それってどういう」


「キスが駄目なのよね?‥‥はむっ」


紫以奈の銃口が外れた瞬間に、ベロニカはそのまま紫以奈の耳に甘噛みをする。


「っ!‥‥ベロニカ隊長!!」


紫以奈が照準を合わせる前にベロニカは軽いステップで離れる。


「おっと、ごめんごめん。あまり無防備だとからかいたくなっちゃうのよね」


「彼氏いる奴にそれやるなよ‥‥手痛いし返しくらっても知らないぞ?」


「確かに朔夜が相手だったら私何度も雷くらってるしねー。ま、あんたは相手を探すところからだと思うけど」


「全く‥‥叶夢、話がある。ついてこい」


「お、どうした朔夜。彼女の作り方でも習いたくなったか?」


「黙って来い」


朔夜が圧のある低い声で言い放つと、叶夢の襟元を掴んで部屋の外に出た。


「てて‥‥なんだよ話って」


「さっき言ってた先遣隊の話。お前はどう考える?」


「どう考えるって、そりゃあ『嘘』だろ」


叶夢は窓に寄りかかり、朔夜の問いに答える。


「恐らく上は先遣隊を本隊として、俺たちはトドメをさせなかった時のための補欠。じゃなきゃ俺たちを主戦力だなんて言わねえし」


「やっぱりそうなるか‥‥」


「十二帝を主戦力に添えた方が確実だからな‥それにベロニカが話してたのもその件だろう」


叶夢は端末を取りだしてあるデータを開くと、それを朔夜に見せる。


「‥‥居た。雷霆様の名前だ」


「頼光支部長‥‥やっぱり先遣隊に派遣されてたのか」


「全く、余計なことしてくれるな‥‥」


叶夢が見せた先遣隊の名簿の中には、誰もが聞いた事のある名前に並び、『神座 頼光』の名前が記されていた。


「余計なこと? ここでサクリファイスが仕留められるなら」


「朔夜、仕留め切れなかった時を考えろ。指揮だだ下がりになるだろうが」


「仕留め切るつもりでこのメンツじゃねえのか?」


「あいつが戦闘に特化してるなら、頼光が負けることは無いだろう。だがサクリファイス はそうじゃない。あいつが長けているのは逃げる事だ」


「‥‥確かにそう考えると厄介だな」


「先遣隊の戦闘が始まるのは今から一時間後。そこから俺たちが合流するのが二十四時間後だ。そこまでにやることは」


「最悪のパターンを想定して動きを作る。だろ?」


「理解が早くて助かる。頼んだぜ朔夜」


叶夢は朔夜にそう告げると、寄りかかった背を壁から離す。


「どこ行く気だ」


「どこって、便所」


「‥‥この空気でそれ言うかお前」


「ゼノンと戦ってる間ずっと我慢してたんだよ。もう漏れる寸前だ」


「どうでもいいわ! 早く行け!」


朔夜の怒鳴り声に叶夢はイタズラな笑みを浮かべながら、廊下の奥に歩いていった。


ーーーー


「‥‥埃っぽいな。ま、悪の親玉が住んでるにはお似合いの物件か」


同時刻。ツングースカ某所の廃屋の中を歩く一人の影があった。剣を腰に構えつつも、その剣に手を置こうとせず、ただ静かに周りを見廻す。その行動を場所を変えて、行動の繰り返しを数時間続けていた。


「こちら頼光。魔力感知には何も引っかかってない‥‥駄目だ、お前らは待機だ。何かあった時のためにてのもあるが、俺の魔法じゃお前らの身の安全は保証できないからな」


通信機に待機命令を告げて、電源を落とす。耳を澄ませ、周囲の音に耳を向ける。


「‥‥足音。誰だ」


その中であるはずの無い足音を頼光の耳が拾う。頼光が足音の鳴る先に目を向ける。


「クク‥‥ココマデ 早ク 私二到達スルトハ‥‥現代ノ征魔士ハ優秀ト思エル」


目の前に見えたのは異質。声は無機質なノイズの混ざった声。視界を確保するのがやっとの暗さで、淡く白いロウソクのような色の羽織り纏ったような身体に、それと同じ色の目の無い頭。口の部分は黒い歯茎が剥き出しになっており、視線を戻した胸部の中心には巨大な目が見えていた。


「言語機能まで搭載とはな。だいぶ人間喰ったのか、それとも‥‥素体が人間なのか」


「ソンナ事ハ ドウダッテイイ。貴様ハ何ヲシニ ココヲ訪レタ?」


「討伐しに来た。それ以外にあると思うか?」


「私ヲ殺シニ来タト?」


「叶夢達には悪いが、お前はここで仕留める。本隊にやってもらうのはお前の討伐じゃなくてロシア観光にしてもらう予定だ」


頼光は腰の鞘から刀を抜き、サクリファイスに向けて構える。刀身には青白い電流が走っており、頼光自身の魔力によって満ちていた。


「減ラズ口ヲ‥‥良イダロウ。戯レニハ丁度イイ」


サクリファイスは前方に構えた右手に禍々しい魔力を収束させる。それを見た頼光は口角を吊り上げ、前項姿勢になりながら刀を構える。


「さぁ‥狩ろうか」


頼光は静かに呟くと、暗黒に包まれた空間に一筋の光が走った。

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