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紅い死神の征魔戦争  作者: 雨色 A音
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第48話 蝕みの毒牙

投稿ハイペース行方不明‥‥もっとがんばらなければ‥それでは48話どうぞ!

地下にいた三人は早足でそこを抜け出す。外には先に避難を済ませた征魔士が待機しており、負傷した者。またそれを治療する者などが居たが、全員が疲弊してることに変わりは無かった。


「一日目でこれかぁ‥大丈夫かしら」


「ここが予想以上の蟲ノ巣だってことだろ。桐原の指示で全員適切な行動はできてるが」


「隊長と違って随分と頼りになるな。そっちの副隊長‥ゲホッゲホッ!」


叶夢は膝をつき苦しそうに咳き込む。口を抑えた指の隙間から吐血が漏れる。


「ちょっと叶夢!? あんたまでくらってたの!?」


「なあに‥‥大した事ねえよ‥」


叶夢はズボンのポケットから青い液体が入った注射器を取り出すと、それを自分に打ち込んだ。


「これで幾分かマシになった」


「お前何打ったんだよ‥‥」


「あぁ、これか? リアムさんから持たされた感覚を弄るアドレナリンバーストっていう薬品なんだが‥‥」


「なんでそんなものを、よりによってこいつに持たせるんだあの人は!」


「あー心配するな。みんなの分も完備してるぞ」


叶夢は腰のホルダーバックの中身を朔夜に見せる。


「いらねえよ! というかそんなもの使うくらいなら早く解毒薬を作って打ってもらえ!」


「うちの先輩そんな仕事早くないから」


「叶夢くーん。聞こえてるよー」


「あ、やべ」


「やれやれ‥災難ね」


ベロニカは顔に手を当て溜息を漏らす。少し間を置いて深呼吸をするとベロニカは全員に目を合わせて口を開いた。


「注目! 予想以上に負傷者が増えたので今日は拠点の方に帰るわよ!」


「拠点の方はここから西に歩いた場所にある、宿舎の方を使います。動ける方は負傷者に肩を借すなどして、助け合いながら移動の方をお願いします」


「それじゃ出発!」


ベロニカの号令の下に全員は移動を開始する。約十五分ほど西に歩き続け、拠点である宿舎にたどり着いた。


「到着〜。部屋割りの方はっと」


「こちらのプリントです。ブリーフィングは一階の会議室で行いますので。時間まで部屋でお休みください」


ベロニカの行動よりも早く、オズワルドが説明を行なう。全員はそれに従い、部屋に足を運ぶ。


「ふっ‥あたしが行動するまでも無かったわね」


「隊長は休んでください。さっきの戦いでちょっと無茶しましたよね?」


「なんで分かるのよ?」


「なんとなくです。ですから早く休んでください」


「はーいはい。じゃあ恒例のマッサージもお願いねー」


「え〜! あれですか‥‥」


ベロニカは帽子をオズワルドの頭に被せながら、部屋に向かっていった。


ーーーーー


「ほーら豹助。すぐに楽になるからな」


「ふざけんにゃやめろバカ!」


部屋に戻った第31小隊はその体をゆっくり休めていた。負傷者二名を除いて。


「もう二人とも静かにしてください! 叶夢も余計なことをしないでくださいよ。それを打たなくても白鳩が解毒薬を作ってる最中じゃないですか」


「ほら千夜もそう言ってるにゃ! てめえの変なヤクキメなくても余裕なんだにゃ!」


「そうは言っても、豹ちゃんもう少しで魔力切れを起こす頃じゃないの? そうなると時間停滞が切れて一気に毒が‥‥」


「奥さん。そんなわがままな子にもアドレナリンバーストは有効ですよ? 魔力も回復しますし」


「それがやばいって言ってるんだにゃ! 完全に法タッチしてんじゃねえか!」


豹助は部屋の隅にまで後退する。


「とにかく! 俺は白鳩の解毒薬が完成するまで耐えてやるにゃ!」


「じゃあほい」


「おっと危にゃ!?」


豹助に何者から注射器が投げられる。中には叶夢が持っていたものとは違う、赤い液体が入っていた。


「随分と早かったにゃ。白鳩」


注射器を投げた相手は白鳩は、叶夢にも注射器を渡していた。


「まったく‥二人とも随分と無茶したね」


「さんきゅーな白鳩。お前がいてくれて助かった」


「運が良かっただけだよ」


白鳩はソファに横になり、腕で目を隠す。


「スパイダーデビルに寄生された死体自体に毒が残っていたから、そこから血清を作り出すことができた。この死体がなきゃもう少しかかってたし、なんなら豹助くんは地獄を見てた」


「怖いこと言うにゃよ‥‥ッ」


豹助は腕に注射を打ち、肩を落とした。


「はぁ‥‥楽になったにゃ」


「お疲れ様です。白鳩さん、こちらコーヒーです」


「ありがと。村雨ちゃん」


「では全員揃ったことですし、私達が得た情報の整理をしましょう」


千夜は全員の前にコーヒーを置き終わると、席に着いた。


「まずは今回の魔族の巣を守っている魔族ですよね」


「蜘蛛の魔族‥‥第七位魔族アラクネか。そうなると必然的に巣には観測所の比にならない量の魔族がいることになる‥少なく見積もっても百体はいるな‥」


叶夢が頭を悩ませる。


「それをたった十五人で? 無理ゲーだにゃ。解散解散」


「豹ちゃん。真面目に」


「はーいはい‥そんでどうすんだにゃ?」


「そっちは集まった時にでも話そう。もうひとつの問題は‥‥あの警官が言ってた子供についてだね」


白鳩は印刷した地図をテーブルの上に広げる。


「さっきリアムさんに聞いてみたけど、この警官の同僚達が言うには彼らはエリア3の警備に当たってたみたいなんだ。女の子もそこで目撃されている」


「追った人数は?」


「その警官含めて二人」


「少なくないかにゃ?」


「そこは人の慢心さ。女の子なら二人で足りると思ったんだろうね‥‥結果は悲惨なものに終わったけど」


白鳩の表情が曇り、自然と拳を震わせていた。


「その女の子の行方は分かってないんですか?」


紫以奈が不安な表情で白鳩に質問する。


「あぁ‥‥でも希望はある」


「希望‥かにゃ?」


「着いて行った同僚が言うには、彼女はエリア2の方向に走っていったみたいなんだ」


「なんで見ただけなんだにゃ‥せめて助けに行けにゃ」


「その証言聞いた場所が『病院』って言ったら、豹助くんも同僚がどう言う状況だったか分かるんじゃない?」


「ッ‥‥そういうことかにゃ」


「その人、怪我が酷くて途中で気を失ったらしくてね。目覚めた時には病院だったんだって」


部屋の空気が一瞬で重くなる。同時に全員の心には焦りが走り始めた。


「つまり探せるのはここにいる私たちだけってこと‥‥」


「ブリーフィングで皆さんに協力を求めましょう。作戦時間も早めてもらって‥‥」


「ったく‥‥あの二人を説得するのは時間かかるぞ」


叶夢達第31小隊はコーヒーを飲み干し、急ぎ足で部屋をあとにした。


ーーーーー


「それではブリーフィングを開始します‥‥」


「zzzz」


「隊長起きて下さい!」


「‥‥あーんそこは‥」


会議室に集合した十五人はそれぞれ隊に別れ席に着いていた。一番最初に来たベロニカは退屈が極まり、机に突っ伏して寝ていたため、オズワルドがそれを起こす作業で会議は幕を開けた。


「ふぅ‥‥おはよう」


「せめて起きて出迎えろ」


「あたしも疲れてるのよ」


「早速だが俺から報告させてもらう」


朔夜は立ち上がると一呼吸置いて喋り始めた。


「俺たちは二階で職員の日誌を見つけた。それによるとデトロイト襲撃前の数日は魔族がほぼ確認されなかった。前日には全くいなかったときた」


「それって‥‥」


「つまり朔夜、サクリファイスには魔族の統率能力があるってことか?」


「現にデトロイトには数百体の魔族の襲撃があった。民間の征魔士が対処しきれない量を、ここで集めるとしたらそれしか無いだろ」


朔夜は日誌のコピーを全員に回す。


「朔夜がそう言うのも分かるけど、魔族達が人の油断を誘うために自分でやったっていう可能性は?」


「人も食えてない魔族たちにそんな脳があると思うか?」


「思わんな‥‥」


「そういう叶夢。あんたの毒は大丈夫なの?」


「問題ない。解毒剤を作ってもらって今はピンピンしてる」


「だからって毒をくらっていいって言う判断は出来ないからね。じゃあ次は僕ら」


白鳩は叶夢の隣に立ち、口を開いた。


「まず、敵の魔族の正体だね。これはスパイダーデビルがいた事から僕らはこいつを第七位魔族 アラクネと断定。ここまでは多分二人も知ってると思う」


「ふむふむ‥‥予想は当たりね」


「ただ問題は、アラクネがどこの巣にいるかだ。悪い知らせとしてリアムさんからの連絡でエリア2で子供が行方不明になっている」


「はぁ! どこから入り込んだのよ‥‥」


「身元が不明な以上はどうしようもない‥‥それでこれから数時間後にエリア2に捜索に行きたいんだけど」


「うーん‥‥助けたいのは当たり前だけど、如何せん情報が少なすぎるわ」


白鳩からの提案にベロニカは頭を悩ます。


「もう出てるって考えてもいいんじゃないか? 行方不明者のリストからその女の子を割り出してからでも」


「それは探しに行かなくていい理由にはならないぜ朔夜。それにそんなこと見つけてからでもできる」


「やけにやる気だな叶夢」


「うっかり戦場に入られたら邪魔なだけだ」


「なんというかお前らしいわ‥‥わかった」


朔夜は呆れて首を縦に振る。


「ちょっと! その前にあたしの報告が残ってるわよ!」


「あ、忘れてた」


「全く‥‥あ。あたしも女の子探しに行くから!」


「いわなくてもやらせるつもりだった。そうした方がお前も満たされるだろ?」


「わかってるじゃない」


「両隊長少しお静かに‥データ送り終わりました」


オズワルドは自らの口の前に人差し指を立て、静かにするよう二人に促すと送ったデータをタブレットに現した。


「これは‥‥航空写真?」


「はい。これは一階にあったPCからサルベージしました」


「観測所の職員がそれぞれ監視用のドローンを飛ばしたみたいで、そこから送られてきたデータよ‥‥それでこれが」


ベロニカはオズワルドからタブレットを掠め取りある写真を見せる。その航空写真には中心に巨大な白い塊が写っており、それから伸びた白い糸が根のように地面に張り巡らされ固定されていた。


「これが魔族の巣?」


「最初は私も驚いたわよ。こんな前例が無いんだから」


「通常、魔族の巣は全ての魔族に共通して虚空に黒い穴が穿たれた形状をしています。ですがこれは‥‥」


「叶夢がアラクネの情報を持ってきてくれたおかげで確信できたわ。これはアラクネが魔族の巣を守ってる状態よ」


「全部の巣がこうなってるのかにゃ?」


「いいえ、エリア3だけは普通の魔族の巣よ。でも叶夢が言ってた女の子がまだエリア2にいるとしたら、アラクネが巣に籠ってる今がチャンスなんじゃないかしら?」


「‥‥皆様体力は大丈夫?」


叶夢は苦笑いで全員に顔を向ける。


「何今更言ってんのよ。うちの小隊がそれぐらいで潰れると思ってるなら、あんたの目相当節穴よ?」


「征魔士である以上、一般市民の命は常に最優先事項だ。どんな状態でもやらなきゃならないからな」


朔夜とベロニカが快諾し、同時にそれが全員の意志であると叶夢は確信した。


「ありがとな‥‥それじゃ、18時30分にここを出る。何よりも早く見つけ出すぞ!」


「「了解!」」


全員の了承の声を聞き、叶夢達第31小隊は足早に会議室をあとにした。

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