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紅い死神の征魔戦争  作者: 雨色 A音
36/83

第36話 言葉無き悲鳴

約3ヶ月の失踪申し訳ありませんでした!

いろいろな事情が重なってしまい、中々小説を書くことが出来ませんでした…

ここからペースを戻して行きたいです!


後書きに用語説明を加えておきますので

どうぞお楽しみください!

「始まったか…桐原。第一小隊は頼んだ。行ってくる」


「はいはーい。さっさと連れ戻してきな」


「何だよ‥あれ‥」


「本当に叶夢‥なのか」


モニターの向こうで呆気に取られる2人を気にも止めず、朔夜はモニター室を走って抜け出し、通信端末を使いながら支部長室に向かった。


「神座さん!緊急事態だ!」


「朔夜‥その反応は‥まさか」


「そのまさかだ! 超魔族(デスロード)だ!」


「っ…あの野郎! すぐに船を出す!

朔夜! 来い! 日本支部の指示は桐原に任せてさっさと行くぞ!」


超魔族(デスロード)。この言葉に反応した神座は剣を持つと一目散に支部長室を飛び出し、オペレータールームのドアを開ける。


「緊急事態!楔島でランク戦続行中の全小隊。並びに日本支部に残ってる他の小隊に告げる!

現在、楔島にて刀堂 叶夢が魔族化を起こし暴走中!位はおよそ第七位!

ついては全小隊に指示を出す!

楔島に残ってる小隊は、叶夢を地下都市エリアに幽閉!そして俺が着くまで待機だ!それまで絶対に手を出すな!

そして本部に残った小隊は戦闘待機をして、予想される危険に備えろ!

繰り返す!…」


朔夜は神座の指示が終わるのを待ちながら、過去の経験を模索する。仲間が超魔族になった際の対処。自分が超魔族になったときにはどうするか。


「朔夜!言われた通りの指示はしたぞ!」


「‥どうすりゃいいんだよ。あいつに限って暴走のリスクはどの作戦でも入れておかなきゃって思ってたのに‥くそっ‥」


「朔夜?」


手がない(・・・・)。自分の不甲斐なさに朔夜はイラつきを覚え、噛み続けた爪をにはヒビが入っていた。


「朔夜!」


「!‥神座さん‥指示は終わったんですか?」


神座の呼び声に朔夜の意思は外に戻される。


「あぁ、終わった。他には待機命令を出した。さっさと島に行くぞ」


「船はあるんですね?」


「幸運にも一つだけ余ってるのがある。さっさと港に向かうぞ! 作戦は船の中で聞く!」


「わかりました…」


朔夜は自分の無力を嘆きながら、神座の後ろを走っていった。


ーーーーー


〜 楔島・叶夢暴走から30分経過 〜


「待機命令かにゃ…くそっ!」


「豹ちゃん,落ち着いてよ…」


待機命令の出された小隊達はそれぞれ別々のエリアでの待機を余儀なくされていた。

征魔士の魔族化。全く予想できなった事態に島にいる全員が困惑の色を見せた。

恐れてエリアから離れた者。血気盛んに戦おうと言いだす者。どうすればいいかと迷い泣き叫ぶ者。

そう言った様々な感情が渦巻く中で千夜達、第31小隊はどうすることも出来ず、遊園地エリアにある建物の一角に引きこもっていた。


「叶夢が魔族‥しかも第七位?

悪い夢なら覚めてくれよ‥」


「…」


白鳩は壁にヘタリ込みながらブツブツと独り言を繰り返し、イラつきを抑えられずに壁を叩く豹助とそれを止めて宥めようとする紫以奈。また千夜はそれらを黙って見ていた。


「‥私のせいで‥」


「千夜のせいじゃないよ!」


「私が‥皆さんに言うのを躊躇ったから‥」


沈黙が破られた千夜は涙を零しながら、後悔を呟く。自分の行動1つで叶夢が化け物となりもしかしたらあのまま討伐されてしまうかもしれない。


ブーブー


「千夜‥通信入ってる‥」


「通信‥朔夜隊長!」


千夜は縋るようにその通信を繋げる。


『千夜さん!? 怪我はないか!?』


「はい! 無事です!

他の隊員にも怪我はありません!」


『なら良かった‥しかし本当に昨日の電話の通りになるとは‥』


「電話かにゃ?誰の?」


『そこにいる千夜さんのだよ。

明日、叶夢が何かやらかすかもって連絡よこしたんだよ。』


「え!?」


『その反応だとやっぱり聞いてなかった見たいだな。』


「‥すいません!叶夢くんに口止めされてて‥」


『無理もない。あいつならそうすると思った。』


朔夜は知っていた。叶夢(あれ)は仲間の事を思っているようで全く思っていない。所詮、叶夢の心の根底にあるのは

『早く彼奴に会いたい。』

という一心。


「それで朔夜隊長。いい策は思いつきました?」


『君に言われた通り考えはしたが‥』


「やっぱり一夜では厳しかったですかね?」


『いや‥それは大して問題じゃない。それよりも今一度君たちに聞きたいことがある。』


朔夜が叶夢を嫌う一番の理由。それは叶夢の生き方自体が矛盾しているからだ。誰かを守ろうとして自分が傷つく。誰かの為を語る自己犠牲。自然とそれは憤りに変わる。


「は、はい‥」


『みんな。本当に叶夢を救いたいか?』


「え?」


朔夜の口から出た言葉にその場にいた全員が困惑の声を漏らす。


「突然何言って…」


『残念だが、今の枷が外れたあいつをお互い五体満足で安全に人間に戻す策は無い』


「ッ!‥なんでそんなこと言いきれるんだにゃ!」


『見てるからだ。超魔族はなった時点でゲームオーバー。抑制剤を打っても少し動きを止める程度だろう』


「…」


『あいつも自分の手でお前らを殺すことを望んでいない。だったらあいつの意思を叶えてやるべきなんじゃねえか?』


「‥駄目です」


千夜が絞り出すように小さな声を吐く。


『駄目‥とは?』


「それじゃ根本的な解決になっても、結局は叶夢くんが死んでしまいます!」


『別にいいんじゃないか?あいつ自身もそれわかった上での‥』


「自分が死ねば解決するなんて頭のイカれた考えが治らないままなんですよ!?」


『…は?』


予想外の答えに朔夜は呆気に取られる。


「結局それで解決したら、叶夢の考えが正しかったことになります。明らかな間違いが正解として立証されることになるんですよ?」


『‥ちょっと待って。頭の整理させて千夜さん‥』


「もし生まれ変わりがあったとして、生まれ変わった元叶夢は同じことをしでかすでしょう。

わかりますか?

馬鹿は死んでも治らないんですよ!?」


『馬鹿は死んでも治らない‥』


「千夜ちゃん、言い方言い方。」


気が立った千夜を紫以奈が背中を撫で宥める。千夜の気が立ってから何処と無く場の雰囲気が変わった気がした。


『だが‥』


「ッ‥」


「ち、千夜?どうしたのその顔‥」


千夜の訴えかける顔が、怪訝そうな顔に変わる。


「はぁ‥もういいです。少しでもあなたに望みを持った私が馬鹿でした」


『ん!?‥え?千夜さん?』


朔夜からの困惑の声が出る。


「だいたい、何がゼルリッチの魔子一の頭脳ですか!?結局殺してるじゃないですか!

そんなの脳筋と大して変わりませんよ!

寧ろ相手の動き読んでる分叶夢くんの方が利口ですよ!」


『‥』


「はははっ。こっ酷く怒られてんなぁ。」


朔夜は力が抜けたように船の座席に寝っ転がる。その様子を見た神座は電話越しの千夜の怒鳴り声を聞きながら笑っていた。


「どうする。言われっぱなしじゃ終われないよな?」


「‥全く、あいつに感化され過ぎなんだよ‥」


朔夜は船の壁を殴る。行き場のない怒りをぶつけるように。そしてその怒りは同時に朔夜の頭を動かす。


「神座さん。一つ確認していいか?」


「何だ何だ?」


「楔島の中央制御室って勝手に開けてもいいものか?」


「ダメに決まってんだろ。あそこには魔法制御のためのアリアドネ封魔石の制御盤があんだぞ」


「わかった」


「え、何が」


『千夜さん。そこまで言ってくれるならいい作戦がある。今思いついた取っておきのがな。』


「取って‥おき?」


『あはは‥ものすごく嫌な予感がする。』


神座の苦笑いを横目に朔夜は得意気に語り出す。


『まず超魔族にはフェイズ1からフェイズ4までの段階がある』


「段階…ですか?」


『現在の叶夢はおそらくフェイズ1だ。何せ俺らの身体はフェイズ3まで耐えれる身体にしてる割には、フェイズ1で止まる仕様に改造されている。そのリミッターがこわれて無ければあいつはフェイズ1で止まってる』


「よくわかんないにゃ」


『そこの説明からだな…

まずフェイズ1。超魔族といっても素体の大部分が人間の体を残している。強いて言うなら腕や足。人間に元からついてる部位を魔力の塊で覆って強化してる』


「朔夜隊長‥もう少しゆっくりお願いしますか?メモをしておくので」


『ん?あぁ、わかった』


紫以奈が手帳とペンを取り出し、メモを取り始めた。


『次にフェイズ2。この場合はさっきの特徴に加えて、放出した魔力の塊で明らかに人には無い部位を作り出す』


「人には無い部位かにゃ? 翼とか尻尾とか」


『正解だ。一応考えられるのはそこまでだろう』


「3と4は?」


『後日、あいつから聞いてください』


「叶夢‥からですか?」


『当たり前だろ。以上で超魔族の軽い説明は終わりだ』


一息ついた紫以奈はある程度の推測と共にメモした事を軽くまとめる。



・超魔族の侵食には4段階あり、段階が上がるほど人の形を残さなくなり、魔族に近い姿になる。

・フェイズ1

魔力の塊で身体の一部を覆って強化している。

・フェイズ2

魔力の塊で人には無い部位を作り出す。

(凶暴性も上がる?)


「なるほど、まさに人と魔族の融合体。混ぜるな危険っていうやつだね」


「紫以奈?メモの確認終わったかにゃ?」


「うん、大丈夫。話を続けてください」


『あぁわかった』


朔夜は座席に半ば寝ていた体制からゆっくり立ち上がり、船の座席に深く座り直した。


『次に超魔族から人間に戻す方法だが、2つある』


「2つ…ですか?」


『1つは生命活動の停止。こいつには少し抜け道があって、仮死状態でも解除される。

だが正直いってあの化け物を仮死させるのは非現実的だ。加減するとこっちが死にかねないからな』


「仮死‥確かにそれはこっちが死にかねませんね」


『そんでもう1つ。魔力切れだ』


「そうか!それなら安全に叶夢を‥」


『白鳩さん。喜んでるとこ悪いですけどそれの方がありえません。超魔族(デスロード)の最大活動限界は最低6時間。最大24時間もあるんすから。』


「「24時間!?」」


全員が驚愕した。あんな化け物が最悪1日中地下都市に放たれているのかと思えばたまったものでは無い。


「それじゃ神座支部長が来るまで待った方がいいですかね?」


『それが最善だ。船の手配も早かったし思ったより早く着きそうだ。おかげでさっき考えた最終手段を使う必要も‥』


プルルルル


朔夜の話を遮るように、神座の端末に着信音が鳴る。神座は船のハンドルを片手に通信端末の画面に出た青色のボタンを押す。


『もしもーしこちら神座……はぁ!?

何してるんだよ!…あぁわかった。こっちで手を打つ。だからそこで大人しくしてなさい!』


神座が呆れ気味に通信端末から耳を離し、朔夜に目を合わせた。


『朔夜。緊急事態だ。待機命令出してた一部の小隊が命令無視して地下都市に行きやがった‥』


『嘘だろ!?何で!?』


『取り残した仲間がいたそうでな‥いても立ってもいられなくなったそうだ。』


『クソが!余計な事しやがって!』


朔夜の悲痛な叫びが、千夜の端末越しに響く。具体的な内容は聞こえなかったが、よからぬ事が起きたのだろう。


『‥神座さん。とりあえず作戦の方をアイツらに伝えるので、一緒に聞いててください。』


『嫌な予感するけどわかった。』


朔夜は再び端末を耳につける。


『4人とも。どうやら待ってる訳にも行かなくなった。とりあえず突入及び叶夢を人間に戻す作戦を伝える』


「それって朔夜隊長が考えて使わないって言ってた最終手段のことですか?」


『そういうことだ。

安心しろ。責任は全部神座さんに行く』


『ん? 朔夜、さらっと聞き流せないことを言ってなかった?』


『時間がねえから簡単に説明する』


嫌な予感を覚えた神座を無視し、朔夜は作戦を話し始める。


『まずは地下都市エリアに行って、勝手に入ってきたやつを避難させろ。取り残して来たやつも同時にな。あと戦おうなんて馬鹿げた考えをするやつも‥』


「つまり私達以外は避難させろって事ですね?」


『そうだ。そのあとは叶夢を制御室まで惹き付けてくれ』


『おいお前!? さっき俺そっち行くなって言ったよな!?』


「え?どうして‥」


千夜は考え込む。何故そんな場所に叶夢を誘導させるのか。そこは島の心臓部であり、そんな所で戦闘すれば寧ろ被害が増えるだけだ。


「な~るほど。そういうことかにゃ!」


『分かったのか?豹助』


「あぁ、ただ全員がわかったわけじゃ無いから予想ってことで話してもいいかにゃ?」


『いいぞ。というかそれしかない』


「叶夢を封魔石にぶつける!」


「「へ?」」


『正解だ』


「「えええ!?」」


白鳩と紫以奈が全く同じ反応をする。


『アリアドネ封魔石は近寄れば近寄るほど効果をより強く受けやすくなる。ましてやあのデカさだ。直撃なんかすれば魔力なんてものは一気に蒸発するだろうからな』


「朔夜も言ってたにゃ。超魔族は魔力の塊で身体を覆ってるんだろ? なら魔力の鎧もそれで外せるはずだにゃ」


「けどその間にダメージを与えても‥」


「矢岬ちゃんの言う通りだ。結局、魔族としての本能が出されているんじゃすぐに再生されるんじゃ‥」


『いえ、それだからいいんです』


豹助以外の3人は考える。しかし痺れを切らした豹助が口を開いた。


「その再生が自動的なら、人体をコーティングした魔力の塊は解除され、回復のためにそこに再び魔力が流し込まれる。

そうなれば叶夢は知らずのうちに魔力が枯れるまで回復する

そうなりゃ叶夢がガス欠になって超魔族を解除できる。違うかにゃ?」


『あとは弱り切った叶夢に抑制剤でも打ち込めば、任務は成功。異論があるものは?』


『ちょっと待て! 仮にやったとしてその責任がどこいくか知ってるのか!?』


船を運転していた神座から焦った声が聞こえた。


『神座さん‥悪く思うな‥』


「私からもお願いします。どうかこの作戦に許可を」


『はぁ‥仕方ないな‥白鳩、お前が決めろ』


「え? 俺がですか!?」


意表をつかれ文字通り鳩が豆鉄砲をくらったような反応を見せた白鳩に四人の視線が集まる。


『この中じゃお前が1番キャリアが長い。

ならお前が判断を下せば最もだろ?』


「白鳩さん‥」


「‥わかりました。俺の意向を伝えます」


白鳩は深く息を吸うと四人に目を合わせる。


「まず第七位魔族とこの戦力で正面切って戦うのは無理だ。確実に死ぬ。だけど‥」


「だけど‥なんだにゃ?」


(神座さん‥ごめんなさい‥だけど今回だけはもう誰も‥死なせたくないんです)


「朔夜くんの作戦を使えば、誰も死なずに済みます。今回の俺達の目的は叶夢の無力化です。ならわざわざ戦う必要はない。ましてや勝つ必要もない」


白鳩は声を震わせながらも言葉を続ける。


「だからこそ神座支部長。この作戦実行の許可をお願いします」


神座の真摯な声に、神座はどこか心が折れたように笑みをみせた。


『よし!白鳩!指揮はお前に任せる!行ってこい!』


「は、はい! 了解ですよ! 神座支部長」


白鳩は強く自分の胸を叩いた。


『ただしだ!危なくなったら怪我する前に戻ってこい。それが出来なかったら‥後々考えておくか。よし作戦開始だ!』


全員が置いておいた自らの武器に手をかけると、迷いない目でその部屋から出て行った。


「神座支部長、すいません」


『おいおい、なんで白鳩が謝るんだよ』


白鳩は外に出る前に立ち止まり謝罪を神座は失笑しながら返す。


「本来なら俺はここでみんなを止めるべき人間です。その俺がこいつらを止めれなくて‥」


『ったく考えすぎだよ‥

それにお前に二度(・・)も同じ悲しみを味わってもらうのは俺も嫌だ』


「もしかして‥俺にそれを決意させるために‥」


『そこら辺は帰ってきたら教えっから、早く行ってこい‥俺も後でそっちに向かう』


「‥はい!」


白鳩の返事と共に通話が終わる。


「はぁ‥こっぴどく怒られるぞ〜‥」


神座は船のハンドルに頭をつける。


「まぁまぁ、怒られるで済んだらいい方何じゃないすか?」


「そうだけどよ‥」


「それにあんたは結局止めなかった。元から止めるつもりが無かったとも見える」


「俺が叶夢に対して肩入れしてるとでも?」


「そこまで言ってないが、自分で言うってことはそれなり肩入れしてるつもりなのか?」


「‥朔夜。下手な詮索はするな」


神座の声が少し低くなる。朔夜は直感的に口を噤んだ。

船の窓の外からは島の方向に向けて黒い雲流れ込み、まるでこれからの運命を示すかのように暗雲が立ちこめていた。


ーーーーー


「おい! 大丈夫か!?」


「くそっ‥あの化け物め!」


「 ーーーーーー!!」


光が届かぬ廃れた都市を模したフィールドに人を捨てた化け物の叫びが響き渡る。深く被った紅いフードの中に見える眼は赫赫と憎悪の焔を燃やしているようにも見えた。


「どうする‥早く撤退するしか」


「命令に逆らっておいてそれは無いだろ! せめて俺達だけでもアイツをやれるって‥」


「?」


閉ざされた空間に残酷にも響いた怯えた征魔士の声は化け物の耳に届いてしまった。


「まずい‥気づかれた!」


「ーーーーー!!」


衝撃音が聞こえた同時に、化け物の姿が消えた。


「ど、何処だ?」


「お、おい! 前!」


「え」


征魔士が視界を化け物がいた地点に戻すと、消えたはずの化け物が目の前に現れ腕を振り上げていた。征魔士は死を直感し目をつぶった。


凍てつく壁(ブリザード・ウォール)!」


「ん?‥冷たっ!」


「?‥?」


征魔士が恐る恐る目を開けると化け物の身体が巨大な氷塊の中に閉じこめられていた。


「大丈夫ですか!」


「え、あなたは」


「話はあとです! 早く入り口まで逃げてください!」


「わ、わかった!」


声の方から現れたのは村雨 千夜だった。また入り口の方には負傷した他の征魔士達が集められおり、千夜に助けられた征魔士もそこに向けて走りだした。


「白鳩さん! これで全員です!」


「よし! 31小隊集まって!」


白鳩の号令と共に、避難に当たっていた紫以奈と豹助が戻ってきた。


「‥‥ーー! ーーーー!!」


4人が集まると同時に千夜の氷の中から、化け物が這い出てきた。


「さーて顔が闇魔法みたいなやつで覆われてるけど‥あの紅いフードは叶夢くんで合ってるよね?」


「顔と腕を鎧のように形成した魔力の塊を見るあたり、まだフェイズ1のようですね」


「紫以奈、リロードしといた方がいいにゃ。引きつけるのは俺の役目だしにゃ」


「それじゃ行くよ、叶夢くん」


白鳩は叶夢を睨みつける。叶夢は四人の姿を見つけると、黒い顔から口を開き人の口を引きずり出す。


「ーーーーーーー!!」


叶夢の絶叫を合図に四人は叶夢に武器を向け、走りだした

超魔族

人から魔族になったモノ。または人の因子を手に入れた魔族。姿そのものを変えるものもいれば、人間の姿を留めるものもいる。

基本的にその強さは最も弱い種でも第七位魔族に相当している。なぜ人の身でその身体を魔族に変えたのか。

捨てられた自我は悪夢の底で苦しみ、のたうち回る。

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