第25話 宛先目的不明
神座 頼光と新キャラのキャラ設定を後書きに書いておきますので、ご自由にご確認ください!
叶夢はドアの前で深呼吸をしていた。本来なら普通にドアを開けて「ただいま」を言えるはずなのに。
(今普通にドア開けたら‥
1.「ただいま」を言い切った後に
氷塊が飛んでくる。
2.「ただいま」を言い切る前に
氷塊が飛んでくる。
どうあがいても絶望)
千夜に言われた帰宅時間が18時。しかし今叶夢が携帯を確認すると現在の時刻は19時と表示されていた。
「やらかした。俺が今開けようとしてるのは玄関のドアじゃなくて、棺桶の蓋なんじゃないか?」
叶夢は言い訳を考え込む。まるでテストで悪い点を取ってしまったときの子供のように。
「腹を括った。よし行くか。
1.言い終わった後の氷塊。か
2.言い切る前の氷塊。か
どっちでも来やがれ!」
叶夢が決心を固めてドアノブに手を伸ばした瞬間だった。突然ドアが開きそこから細い手が伸び叶夢の腕を掴んだ。叶夢は瞬間的に理解にする。それが誰の腕なのかを。
「正しい答えは
3.有無を言わさず氷塊。
です。おかえりなさい、叶夢くん。遅帰りお疲れ様です」
「ただいまです‥千夜さん‥‥ああああああ! 凍ってる凍ってる! 右腕が先に棺桶の蓋を開けてる!」
不安に満ちた叶夢を出迎えたのは、その不安の原因。根源。村雨 千夜本人だった。
「私書き置きしましたよね? 早く戻って来てってね」
「いや‥‥先輩方の熱い指導を受けておりまして‥‥ね?」
「はぁ‥‥ならいいです。早く入ってきてください」
千夜は凍った右腕ごと、叶夢を部屋に引きずり込んだ。
「なぁ、悪かったっておでこにキスでも何でもしてやるからさ」
「何ですかその偉そうな謝罪。変なこと言ってるとほんとに右腕もぎ取りますよ?」
千夜は叶夢の腕を掴んだままリビングのドアを開けた。リビングには既に白鳩 豹助 紫以奈の三人。そして見慣れないもう一人の姿があった。
「んで何であんたがここにいるんだよ。神座」
「何でお前はいつも俺に敬意が無いんだよ。叶夢」
「もう取り繕うのもめんどくさいから、この態度なだけだ」
「ついに開き直りやがったな。潔過ぎて、怒る気も起きてこない」
日本支部の司令である神座 頼光の姿があった。彼は31小隊のリビングにあるソファでコーヒーを飲みながら叶夢 千夜を除く三人と談笑をしている最中だった。
「あぁ、叶夢くん遅帰りお疲れ様」
「さて、何でそんなに遅かったのかを吐いてもらうにゃ」
「あぁ、10小隊の先輩と会ってただけだよ」
「えぇ!? マジかにゃ!?」
「どうしたその反応!?」
予想外な豹助の大声に叶夢が驚く。
「誰と会ったの?」
「えーと‥繰実沢先輩に翔真先輩。あと龍之介先輩に白銀先輩かな」
「ほえー珍しい。あの四人が一気に集まるなんて」
「わざわざ叶夢の為に予定を空けたんだと‥‥あいつらも物好きだな」
「だとしてもその四人に一気に会えるなんて、めっちゃくちゃ羨ましいにゃ!」
「そんなに珍しいことなのか?」
「そりゃあの四人はうちの支部が誇る主戦力とも言える征魔士だからにゃ! ほとんどここに帰らずに任務続きなことが多いから、人によっては会うことも無い存在なのがにゃ‥‥」
豹助が目を輝かせながら、早口気味に語り出したのを見て、叶夢はその迫力に気圧された。
「こいつにここまで言わせるとは‥‥」
「あの四人に会ったということは朔夜隊長とも会ってきたんですね」
「それに関してはやむを得なかった。ま俺らがランク戦にに挑むには情報が少なすぎるな。本当はあいつに会うのも頼るのも死ぬほどやだったけど!」
叶夢はポケットの中から小さなUSBメモリを取り出して見せた。
「それに島の情報が‥‥」
「だいぶランク戦について考えてるようだな叶夢」
「当たり前だろ。つか今回の見て現実見せられたから、ますます考え込むよ」
昼に見たコロシアムの戦い、これまでの自分にとっての征魔士のイメージを拭う結果となりここでの自分は決して強くないんだと現実を突きつけられた。
「それに、白銀先輩と握手した時に思わずビビっちまった。あの目、まるで路傍の石を見るような冷たい目だった」
白銀が零した自分の評価は少なからず聞こえた。あの時の言葉は自分の弱さが浮き彫りになったのをさらに示す言葉だった。
「俺は強くなりたい。どんな形になったとしても。いてっ!」
叶夢の決意を否定するように、神座は叶夢の頭に軽くチョップをした。
「叶夢にしては合理的な考えだ。だがな、最後の言葉でマイナスだ。そんなのゼルリッチの魔子にいた時の頭空っぽでナイフ降ってた頃に戻ればいいだけの話だ」
それを話している時の神座の顔は、いつもの兜を外してリラックスしてる時の顔ではなく、最初の任務で自分達を激励した険しい顔になっていた。
「お前は人のままで強くなれ。
もう二度と気安く紅い死神に戻るな。」
今自分がすべき事。曖昧だった答えを神座は引きずり出した。しかしそれは叶夢にまた新たな現実を突きつける。四人もその会話を聞いて昼に話された内容を思い出した。
「ゲームのテストプレイに付き合って欲しい?」
「そうなんだ。ただ情報が来てないから詳しくは言えないが‥‥」
叶夢が朔夜達と会っている同時刻。叶夢以外の31小隊の四人は神座からの呼び出しにより司令室にいた。
「なるほど、それなら事前に連絡が来たのも納得です」
昨日のデートを終えた夜、千夜の携帯に神座から連絡が入った。
『明日ゲームしようぜ!』
「!?」
言われるままに任務内容を聞くこと無く千夜は了承した。自分の意思ではなく、パニクって抜けた意思で。
「本当、あのメッセージが来た時はいたずらかと思いましたよ」
「さすがにあれはノリが軽すぎたな‥‥それでどうする? やるか?」
「面白そうだしやりたいにゃ!」
隊員の意見を聞かずに豹助が先に答えを出した。
「ちょっと豹ちゃん。大丈夫なの? 叶夢隊長に許可なく勝手に答えて」
「別にアイツに許可なんて求めなくていいっしょ。それに、たまの気分転換って言えばあいつだって納得するはずだにゃ!」
「まぁ確かにそうだね‥‥楽して金が入るって言い方は悪いけど、それなら叶夢くんも説得できそうだし。村雨ちゃんはどう?」
「わ、私ですか?」
蚊帳の外にいた千夜が会話に引き戻され、少し考え込んだ。
「いいんじゃないんでしょうか? 最近激務が続いてましたし」
「んじゃ決まり! 俺らでテストプレイ受けるにゃ!」
「いい返事だ。近頃の若者はこうした明るい態度が出来なくなってきているからな‥‥」
豹助の了解を得ると、神座はスマホを取り出し画面上に指を滑らせ始めた。
「そういえば今頃だと、叶夢くんは朔夜隊長に会ってる頃でしょうか」
「叶夢くんの事だよ。どうせランク戦なんか余裕だーみたいな涼しい顔して帰ってくるよ」
「どうかな」
神座がいつもと違う声のトーンで呟いた。表情も何処と無く寂しさを漂わせていた。
「寧ろ逆かもしれない。現実を知ってフルボッコで帰ってくるかもだぞ」
「神座司令にしては冗談が下手ですね」
「いいや。こいつは冗談でもなんでもない」
四人の目の色が変わった。これから聞くのが自分達の隊長の弱い面だということを知る由もなく。
「叶夢は確かに強いよ。征魔士としての実力なら彼奴はほぼ負け無しだ。でも決定的に欠けてる部分があるんだ」
「決定的に‥‥欠けてる?」
「あぁ。あいつは自分の弱さに蓋をしてる」
「え?」
神座は再び四人に目を向ける。案の定彼らは首を傾げていた。
「お前らはさ、無理だ。諦めよう。みたいな弱音とか吐くよな?」
「それはまぁ‥‥割と」
「数ヶ月の間、叶夢からそれを聞いたか?」
「いえ全然‥‥村雨ちゃんとかは?」
「私も‥豹助さんと紫以奈さんは?」
「俺も聞いたことないにゃ」
「むしろ叶夢隊長は過酷な状況を楽しんでましたし‥‥弱音を零すなんて考えにくいですけど」
四人の目に映っていた叶夢は強く、どんな事があっても辛い顔一つ見せずに笑って状況を打破していた。しかし、神座は呆れながらもそれに疑問を投げかける。
「お前ら‥‥それが異常だって気付かないか? それとも勘づかせない叶夢がよっぽど芝居上手なのか‥‥」
「異常? ですか?」
「初めての環境。初めての仲間。それにワクワクするのも楽しむのも正常だ。だが確実に不安もあるはずだ。あいつはそれを弱さごと自分の中に押し込んで戦ってるんだ」
「それって‥」
「押し込んだモノが大人しくいる訳もない。いつしか溢れ出る。時間稼ぎでしかない。そうなったときが一番危ないんだ」
神座が思い返すだけでも、そういう人間を何度も見た。仲間に心配をかけまいと強く振舞った人間を。しかしそういう人間に限ってある日突然に消える。空気入れ続けた風船が破裂するように。どんなものにも限りがある。例え実体を持たないメンタルでさえも。
「本当に強いやつは自分の弱い部分と真正面から向き合って強さに変える。そういう過程でガス抜きをする時に弱音がでる」
「じゃあ叶夢くんの今の状況って‥‥」
「俺は隊員全員と向き合った上で小隊の格上げや格下げを行ってる。だからこそ、どんな結果を残しても少なくともそんないつ壊れるかもわからないハリボテ隊長が引っ張る小隊を持ち上げるつもりは無い」
「‥‥」
神座の言葉に嘘はなかった。
事実叶夢は打ちひしがれてこの場に立っていた。
「死神じゃなくて‥人としてか。マジでゼロからのスタートだな」
「俺からのアドバイスは以上だ。少しは自分がクソザコな事に気づけたか?」
「は、冗談。あんたもたまにはまともな事言あえるんだなって‥‥‥いてててて!」
神座は笑いながら叶夢にぐりぐりをかました。
「たまにはってなんだ? いつもだろ?」
「ぐわああ! パワハラ、パワハラ!」
「はぁ‥‥もういい」
「げひゃ!」
気が済むまで叶夢をぐりぐりすると、そのまま叶夢を床に落とし、息を整えた。
「それで神座。何であんたがこの部屋に?」
「そういえばお前には言ってなかったな…この四人には説明したんだが、ちょっくらお前らにはゲームのテストプレイに付き合ってもらいたい」
神座はテーブルに置かれたダンボールを指さした。叶夢を除く4人はそのダンボールを開けて中身を確認した。
「これって‥‥今話題のVRってやつかにゃ?」
「そうだ」
箱の中に入っていたのは丁寧に包装された五つのVR用のゴーグルだった。
「神座司令、これってゲームカセットは」
「そのVRに入ってるみたいだ」
「すごい、本物は初めて見た」
「以外ですね、白鳩さんは割とそういうのは詳しいのかと」
四人は初めて目にする最先端のゲーム機にすっかり釘付けになってしまった。そんな中、紫以奈が疑問を口にした。
「というか、どうして今更ながらテストプレイの仕事なんて?」
「あぁ、知り合いからの頼みはどうにも断りづらくてな」
「知り合い?‥‥え!?」
「どうしたんだにゃ紫以奈」
ゴーグルを隈無く見ていた紫以奈が突然大きな声を出した。豹助が紫以奈の視線の先を見てみると、前面の中心にロゴとして書かれた『Alcatrazz・company』という文字ががあった。
「Alcatrazz…何て読むんだにゃ?」
スペルを読むのに精一杯だった豹助はさらにクエスチョンマークを頭に増やす。白鳩と千夜はそんな二人を見て、自分達もそのロゴを見た。
「…ええ! いや、これって‥神座司令!」
「?‥白鳩さんどうかしたんですか?」
「何だよ! お前ら隊長の俺放置か! てかそんなゲーム機ごときに驚く要素があるわけ」
床で横になっていた叶夢が突然に立ち上がり、テーブルの上のゴーグルに手を伸ばしロゴを見た。
「アルカトラズ・カンパニー? ここって確か」
「征魔士関係の武器を作ってるアメリカの大企業じゃないですか! 何でそんなすごい会社が」
「知り合いが会社の役員やっててさ、近いうちにそれ使った訓練用の戦闘シュミレーションゲームを開発するみたいでそれの実験というか‥‥正直な感想が欲しいんだとよ」
「そんなのよく横流しに出来たな」
アルカトラズ・カンパニー。元は征魔連合軍とほぼ同時期に立ち上げられた対魔族武器を扱う組織だった。通常の武器と異なり、武器にも魔力回路を通したことにより魔族の殲滅率を上げた功績を元に、征魔連合軍のスポンサーになる形で会社として独立。
「確か、去年社長が変わったんですよね」
「よく知ってるな白鳩。今は息子の方‥‥リアムが会社のCEOだからな」
「リアム・アルカトラズ‥‥なるほど、あんたの元同僚か。道理で横流しに出来たわけだ」
「その横流しって言い方やめろよ。こっちが後ろめたい気持ちになるだろうが!」
「リアム‥‥誰でしたっけ?」
会話についていけなくなった千夜は頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。ため息を出しながらその質問に叶夢が答えた。
「リアム・アルカトラズ。征魔連合軍アメリカ支部総司令及びアルカトラズ・カンパニー二代目CEO。そして元十二帝の鋼帝と呼ばれた征魔士。うちの総司令よりエリート街道爆走中の人だよ」
「最後の言葉余計だろ! 気にしてるんだからやめてくれ‥‥」
神座が叶夢の発言に凹んでる間に五人は説明書を見て使用方法を確認すると、みなゴーグルを手に取った。
「VRというよりはMMOの端末みたいなものだにゃ」
「ゲームはもうあるみたいだしさっさと済ませようぜ。ほら神座さっさと起きろ。ゲームのテストプレイ始めるぞ」
「お前さすがに少し私語が多過ぎるぞ‥‥仮にも俺はここの総司令なんだからな」
「自分で仮とか言って悲しくならないか?」
五人はソファに寄りかかるとゴーグルをつけて、下にあるスイッチを押して起動させた。
「あとは寝るだけ‥おやすみ」
「「おやすみ~」」
睡眠の挨拶から少しすると、微かに寝息が聞こえ始めた。神座はそれを確認すると、静かにテーブルに戻りコーヒーを飲もうとカップに手を伸ばした。
「ん?‥‥リアムからか」
神座の胸ポケットにあった携帯に連絡が入る。電話の主はリアム・アルカトラズだった。
「やっほー頼光。送ったゲームはプレイしてもらえた?」
「あぁ、長々スリルあったぜ。あのピラミッドのアスレチック」
「あぁ、『爆走ピラミッド』やったのね。頼光らしいや」
「どういう意味だよそれ」
他愛もない会話に花を咲かせており、話は31小隊の話に変わる。
「そういえばテストプレイに付き合ってくれる子見つけたの?」
「あぁ、今プレイさせてる。ゲームタイトルは確か」
神座が立ち上がりゴーグルの全面のディスプレイを確認すると、奇妙な事に気づいた。
「あれ‥『無題』? こんなゲーム入ってたか?」
「そんな名前のゲーム入れた覚えないけどなぁ‥‥バグかな?」
「お前どんなゲーム入れたんだ?」
「えーと『shiren』と『仮免ライダー』とか‥‥」
「何でそんな商標登録に引っ掛かりやすい名前にしてんだよ‥‥まぁろくなゲームじゃないってのは分かった。さっさと外しておくか」
「あ、ちょっと待ってよ。それ試作段階のやつだからプレイ中に強引に外すとどうなるかわからないよ」
「それ早く言えよ! 危なくやる所だったぞ!」
「頼光が危なっかしいんだろ!」
神座は五人の脈などを確認しつつ、無事を確認した。
「リアム、ゴーグルを追加でもう一つ送ってくれ。転送装置使えるだろ?」
「了解。大至急日本支部に」
神座は部屋を出る為に急ぎ足で玄関のドアまで向かった。途中端末の向こうから聞こえた急ぎ足の音声を聞き流しながら、神座がドアを開けた。
「送った」
「うおっ! てか早!」
ドアの向こう側にいたのは今まで自分が電話していた相手。長め白髪に水色の目の青年。リアム・アルカトラズだった。
「いや、これがしたくてずっとスタンバってた」
「日本に来てるなら先言えよ‥‥」
「それじゃ面白くないじゃん。人生は驚きがあってこその神ストーリーだよ。んじゃお邪魔しまーす」
「はぁ‥‥俺の部屋じゃないんだけどな」
神座が招き入れるよりも先に、リアムは我が物顔で部屋に入りゴーグルの前面にあったディスプレイを覗き込んだ。
「ほんとだ‥‥無題になってる」
「ゲームのペアリングはできるんだよな」
「今やってるよ。しかしまぁ、これだから新しい事っていうのは止められない。失敗も成功を彩る装飾品って言うのを理解してくれる人が少ないのはどうかと思うんだけどね」
「その失敗に命をかけるなよ‥‥ましてや俺の仲間に」
「めんごー。まぁ、これだから人生は面白い。期待を裏切る展開の数々、思いもよらない伏線回収。人によって違うジャンル。血なまぐさいものだったり、純愛に満ちたものだったり」
「じゃあ俺達のジャンルは何なんだ?」
「さぁね。ネタバレを理解するのは面白くない。ほら」
リアムはVRの設定を終え、ゲームのペアリングを終えた端末を神座に渡した。神座は苦笑いをしながら受け取った。
「そういえば何で日本に?」
「時間が出来たのと‥舞白ちゃんの手料理が食べたくなったからかな。」
「あぁ、多分舞白ならお前を快く受け入れるだろうな…昔からそうだし」
「え、そう? ならワンチャン?」
「何のワンチャンだよ!?」
「お付き合い」
神座は一瞬固まる。リアムが平然とした顔でとんでもない事を口走ったからだ。そもそも周知の事実ではあるが、神座はスゥーと息を呑み
「舞白は俺の嫁ってのを知った上で言ってるよな?」
「自分で嫁って言っちゃうんだ‥痛々しい‥」
「もっと詳しく言ってやろう! 既婚済み。初夜も過ぎて新婚ウハウハ。そんな彼女の夫は俺ですが何か?」
「お! もう初夜終えたの!?」
さらっと初めての夜を終えた事を漏らしてしまった神座とノアは暗い表情でVRゴーグルを付けて床に寝そべった。
「‥‥聞かなかった事にしてくれ」
「そうへこまないでよ。ごめんね」
二人は静かにそう呟き、宛先不明のゲームの中に身体を投じた。
神座 頼光
175cm/65kg
2/24 使用武器・大剣
深緑の髪に翡翠色の目。どちらかと言えば女性的な顔立ちを持つ男性。
十二帝と言われる12人の征魔士の中で「雷霆」とまで比喩される征魔士。十二帝とは、1989年に大規模な魔族の侵攻に伴い生まれた、当時5歳~6歳の子供で構成された12人の征魔士の集まり。殆どが身寄りのない子供であるが、その強さは正直に言って子供どころか大人ですら歯が立たなかったと言われる程。神座 頼光はその十二帝の頂点に君臨する者である。得意魔法は雷魔法。見た目こそ神具の侵食率が影響し20代前半で止まっているが年齢30代半ば。5歳の時に母と父を事故でなくし、親戚の家に引き取られたが魔族達の侵攻により親戚も死亡。神具の影響で幼い頃から発現していた雷魔法を駆使して魔族達を倒し十二帝を立ち上げ、征魔士となっている。17歳の時に征魔連合軍に入軍し、驚異的な昇進スピードで現在は日本支部の支部長兼司令を勤めている。
性格はとても大雑把で、上下関係などを嫌う。しかし根はとても仲間思いで、日本支部の末端の小隊のメンバーの名前と性格を記憶し、一人一人のことを気にかける程。
実は結婚済みで、遠い親戚の子を養子としてとっている。家庭では尻に敷かれており、度々それを弄られる。
リアム・アルカトラズ
175cm/65kg
3/25 使用武器 槍
白に染めた髪に透き通るような白い肌と、水色の目を持つ男性。
征魔連合軍アメリカ支部の支部長、及びアメリカ支部の総司令である。十二帝の1人であり、『鋼帝』と言われる征魔士。実家が魔法関係の兵器を制作する有数の大企業のアルカトラズ社である。得意魔法は時間魔法。
性格は楽天家。人の人生を一つのストーリーと考え、その終わりを見届けるのが好きな傍観者。それ故に暇な時は戦死したアメリカ支部の征魔士の報告書などを見ていることが多い。と言うのも子供の頃に魔族によって多くの人間が意味もなく殺されるのを見て、せめて自分だけは無意味に死んだ人間の最後をより印象的に覚えていようという考えを持ったからだ。




