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小太郎

小太郎 説教

作者: eiji

「今日から みなさんは一番大きいお兄さん お姉さんです!年中さん 年少さんの面倒をちゃんと見てくださいね」

小太郎 年長さんになる

(あきら)ちゃんが 遠くに行ってから4ヶ月が過ぎようとしていた


「母ちゃん!ただいま!」

「小太郎 おかえり」

「晶ちゃんから 手紙来た?」

「今日は 来てないよ」

「そうか…」

晶ちゃんと離れてから毎日繰り返されている会話


「母ちゃん 遊びに行ってくるぞ!」


小太郎は 近くの公園に来た


「お〜い!かくれんぼするぞ!」

「あっ 太郎ちゃん来た」

「小太郎く〜ん!」


「ジャンケン ポン!」

「うゎ〜 俺が 鬼 か…」


「もう〜 い〜か〜い!」

「もう〜 い〜よ〜!」


「タッチ!めっけ!」

「めっけ!」

「あっちにもいた!」

タタタタッ!

「タッチ!めっけ!」


かくれんぼは 始めた時 4人だったのが 小太郎が 鬼 をやると公園内に居る全員を『めっけ!』とタッチして周り かくれんぼの輪が拡がっていく

知らない子 だろうと小太郎に見つかると みんな友達になっていくのだ

いつもの事…


「あれ?こんなに居たっけ?」

夕焼けで 空が赤くなる頃になると十数名で遊んでいた

「んじゃ また明日!」


「母ちゃん ただいま」

「今日は 誰 と遊んだの?」

「知らない」

これも いつもの会話

小太郎は いちいち名前を覚えない



「太郎ちゃん また明日遊ぼうね」

「太郎ちゃんって呼ぶな!おぅ!また明日!」

小太郎は みんなが帰ってから 1人で遊具を全制覇して帰る事を日課としていた

太陽と月がバトンタッチする頃

「よし!全部終わり!さて帰るか!」


「ん?」

公園のベンチに座る1人の男の子

「もう暗いぞ!帰んないのか?」

その男の子は 小太郎よりちょっと小さいように見えた

「何歳だ?」

「4歳…」

「帰らないのか?」

「お母さん まだ帰って来ない…」

「仕事か?」

「うん…」

「そうか…母ちゃん 何時に帰ってくるんだ?」

「わかんない…帰る時 この公園通るから」

「待ってんのか?…一緒に遊ぶか?」

「うん!」


「小太郎!」

「あっ!母ちゃん!」

「いつまで遊んでんの!もう夜ですよ!」

帰りが遅い小太郎を母ちゃんが迎えに来た

「まだ 大丈夫!」

「小太郎 その子は?その子の親御さん心配してるでしょ!」

「母ちゃん!この子の母ちゃんが帰ってくるまで俺一緒に遊んでるから!」

「お母さん お仕事なの?」

「そうみたい」

「そうなんだ…」

小太郎の母ちゃんは 2人が遊んでるのをベンチで見ていた


「もうこんな時間…」

小太郎の母ちゃんが時計をみる


「あっ!お母さ…ん…」

男の子が見た先には お母さんらしい人とお父さんらしい人が


「母ちゃんか?」

小太郎が聞くと 男の子は小さく頷いた

「そっか!よかったな んじゃまた明日な!」


「母ちゃん 帰ろ!腹減った!」


小太郎の母ちゃんは 男の子の表情が変わったのが気になっていた



「今日もかくれんぼやるぞ!みんな集まれ!」

「わぁ〜!」

公園内に居る子供達が小太郎の周りに集まる

昨日の男の子が公園に来るのが見えた

お母さんと手を繋いで

その 親子 は公園のベンチに座り楽しそうにしていたが…

昨日の お父さんらしい人が来ると

今度は その人とお母さんが手を繋ぎ公園を出て行った


「おいで 一緒にかくれんぼしよう!」

寂しそうに1人残った 男の子に小太郎が声をかけた

「お兄ちゃん!」

「お兄ちゃんか…」

照れる小太郎


「太郎ちゃん また明日ね」

「太郎ちゃんって呼ぶな!また明日!」

小太郎は いつもの日課をしていた

それを見てる男の子


「よし!帰るか!」

男の子に気づく

「母ちゃん 今日も遅いのか?」

「わかんない…」

「腹減ったろ?俺ん家に行こう!」


「母ちゃん 腹減った!」

「小太郎 おかえり…あれ?」

「母ちゃん 連れて来た!今日もこの子の母ちゃん遅いみたいだから」

「そっか…おいで 今 御飯の用意するからね」

「おいで 俺の母ちゃんの料理食べれない事はないから」

小太郎 気を遣わせないように言ったのか?本音か?


「ごちそうさまでした」

「あら 行儀いい事 小太郎見習いなさいよ」

「おぅ!母ちゃん 今日は 美味かった!」


「じゃあ そろそろ送って行きますよ」

「そんな時間か?んじゃ 行こう」

男の子は立とうとしない…

「どうした?」

小太郎が聞く

「行きたくない…」

「なんでだ?」

「あの人に会いたくない…」

「あの人って誰だ?」

「お母さんと一緒にいた あの人」

「父ちゃんじゃないのか?」

「違う…お父さんは居ない…」

「そうか…母ちゃんにも会いたくないのか?」

「あの人と居るお母さんは嫌いだ!会いたくない…」

「そっか…ならここに居ろ!母ちゃんが嫌いで会いたくないなら ずっとここに居ろ」

「小太郎…」

「いつもの お母さんは…好きだよ…」

「だろ!好きなら 会いたくないなんて言うな!」


3人で公園に来ると 男の子のお母さんが来ていた

「どこ行ってたの?ここで待ってなさいって言ったでしょ!」

「あの〜…」

「おまえ 子供好きか?」

小太郎の母ちゃんが 何か言おうとした時

小太郎が遮った

「あんた 誰?」

「俺は小太郎だ!」

男の子のお母さんは 小太郎の母ちゃんに気付き軽く会釈する

「俺の母ちゃんは 俺の事いっぱい心配してくれるぞ!」

「何を言ってんの?」

「黙って聞きなさい!」

小太郎の母ちゃんは 静かに それでいて力強く 男の子のお母さんに言った

「母ちゃんは 俺の事叩いたりするけど それ以上にいっぱい心配もしてくれるんだ おまえはこの子を心配してるか?心配してても 仕事遅くなるのか?」

「…」

「さっきこの子に聞いたら 『お母さんを好きだ』って言ったぞ!おまえはこの子が好きなのか?好きなら会いたくなるんだぞ!会いたいなら早く帰ってやれ!俺は じいちゃんが好きだ!だから会いたいけど…ばあちゃんのとこ行って帰って来ないから会えない…父ちゃんも好きだ!だけど…仕事で海の上だから 会えない…晶ちゃんにも 会いたい…でも遠くに行ったから会えない…でも寂しくはないぞ…俺は母ちゃんがいる…母ちゃんの事も好きだから 母ちゃんが居てくれるから寂しくないんだ!だから…だから…」

泣いている小太郎の頭を撫でながら 母ちゃんが続ける

「いろいろ事情はあると思いますけど…こんな時間まで こんな小さな子を待たせて何かあったら…」


男の子の お母さんは黙って小太郎の話を聞いた

男の子も泣いている

「ごめんね…」

男の子のお母さんは 男の子を抱きしめる

「お母さん…」



「母ちゃん…」

「なぁに 小太郎」

「大丈夫かなぁ…」

「大丈夫!小太郎の気持ち届いたはず!小太郎はいい子だね」


「小太郎 晶ちゃんにお手紙書く?」

「書く!」


*あきらちゃんげんき!

おれはげんきだぞ!

おわり*


簡単な手紙…


数日後


「母ちゃん ただいま!」

「小太郎!晶ちゃんからお手紙来たよ!」

「本当か!」


*たろうちゃん

あたしも 元気だよ

たろうちゃんが元気なの目にうかぶよ

また あえるといいなぁ*


「母ちゃ〜ん!晶ちゃんの手紙読んで!読めない 字 がある!」


「そっか!晶ちゃんも元気か!俺に会いたいって!」

「よかったね小太郎」

「うん!」


「母ちゃん 遊んで来る!」


いつもの公園に行くと あの男の子が居た

「かくれんぼするぞ!みんな集まれ!」

「わぁ〜!」

あの男の子も来た



「んじゃ また明日ね」

「おぉ!また明日!」

「お兄ちゃん また明日ね」

「おぉ!また明日な」


男の子は 迎えに来た お母さんと手を繋いで帰って行った








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