唸り
初めましての方は初めまして、お久しぶりの方は久しぶりです。白狐サグジです。
あれから一週間経った。
食べ物は、人が居なくなったスーパーで調達した。
衣服や、生活に必要な物も色々な店で手に入れることは出来た。
テレビは映らなくなった。
そして電気もだ。
情報はスマホで調べた。
今のところ、中部地方の一部と東北のいくつかの県の人達は生きているらしい。
明日、この家を出るつもりだ。
この町で生き残ってるのは、俺と朱美だけだった。
◇
「お兄ちゃん、何処に向かうの?」
「今のところは、長野県に行こうかと考えているところだ」
「歩いていくの?」
「ああ、俺達は車を運転出来ないからな。もし運転出来たとしても、道が使えなくなっているからダメだ。だから、とりあえず向かうのは山だな」
「今から山に行くの?雨降りそうだよ」
「ん、どうしてだ?こんなに晴れてるのに」
「そんな気がするだけだから気にしないで」
「ああ、分かった」
こんな時の朱美の感は当たるからな。注意しとかないと。
そんなことを話してるうちに、道が坂になってきた。
今のところは、車道を歩いているが、もう少ししたら山に入ろうと思う。
まあ、その前に日が暮れると思うけど。
◇
「…朱美の感、当たったな」
「えへへ、当たっちゃった」
「でもな、雨宿り出来るところがあれば…。おお!あそこにバスの待合室があるじゃないか。行くぞ朱美」
「え?あ、本当だ!うん、分かった」
俺達は急いで待合室に入った。
中は結構広く扉もあるから、雨も吹き込まなくて良かった。
荷物を置いてタオルを二つ取り出す。
一つを朱美に渡して、もう一つのタオルで濡れた所を拭いた。
椅子に座って、雨が止むまで待つことにする。
◇
ふと気付くと夜になっていた。
いつの間にか二人とも寝ていたようだ。
朱美に少し大きめのタオルを掛ける。
俺は扉を開け外に出る。
雨はもう止んだみたいだった。
「それにしても動物の気配は結構あるな」
いつ独り言が出てしまった。
人が居なくなってから動物の気配が多くなった気がする。
周りを見渡していると、一匹の狸と目が合った。
はじめ、狸は驚き立ち止まったが、首を傾げ俺に近寄ろうとしたが、何か危険を察知して急いで逃げていった。
俺も急いで扉を開け建物内に入った。
朱美も起きていて怖がっていた。
「お兄…ちゃん?なんか怖いよ…」
「ああ、何かが起こる気がしてならない」
『ズ、ズズ…』
「「…?」」
『ズズーゴゴ、ゴゴゴーーーー!!』
突然地鳴りが聴こえ、何かが滑り落ちる音が後から聞こえた。




