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湊の整備と清盛の死の影響

  年が明けた1月私は遠江の川の河口の湊の整備をおこなっていました。


 遠州では、大きな湾がなく遠州灘は海上輸送には厳しい東海の難所です。


 しかし、信濃から遠江へ兵糧や木材などを大量に輸送するには川を用いて流れをそのまま下らせるのが、最も早く多量に輸送が可能になるのは事実です。


 そのために兵糧・武具・木材などの集荷や積み出しの効率化のために私は河口の各湊を整備していたのです。


 西遠における掛塚湊、中遠における福田湊、南遠における相良湊、川崎湊などに蔵を建て300石程度までの和船小廻し船であれば廻漕に不自由しない湊として機能するようにしました。


 このあたりは香取海(今の霞ヶ浦や手賀沼、印旛沼地域にあった内海)を持つ常陸や下総、湊になる地形が多い、安房や上総や三浦半島などに比べると東海諸国は水運に向いているとは言いがたかったのでした。


 しかし、豊富な木材資源と天竜川と言う河川舟運路に恵まれていることを考え合わせれば、この地域はこれからの戦いに重要な役割を担うことになるはずです。


 そして造船が可能な施設も作り、船を作らせていきます。


 この時代の日本には軍艦と輸送船に差はないので、楽ともいえますね。


 そして月が変わった2月、畿内近国の惣官職に宗盛が任じられ、藤原秀衡と城資長に義仲差前に追討の宣旨が与えられたことに対して考えていました。


 ちなみにこの当時現地の豪族が国司になることは前代未聞で、九条兼実は「天下の恥」と憤慨しているそうですが。


「やはり冬に動きが取りづらく、連絡も取りにくい信濃から武蔵に本拠を移すべきでしょうか」


 義仲様の父上義賢様が討ち取られた過去があるのはあまり良くありませんが、逆に秩父党のような、縁故があるものもいることを考えると、そのほうが良いかもしれません。


 しかし、その前に越後の城氏との合戦の対策をしなければなりませんが。


「本来の歴史通り、横田河原で迎え撃ったほうが良いでしょうね。

 私たちは越後の地理には詳しくありませんし、協力者も見つかりそうな気がしません」


 越中付近であれば宮崎党の知恵も借りられますでしょうが、越後の城氏の本拠地付近となると草の情報を当てにするしかありません。


「念のため奥州藤原氏の南下にも備えないといけませんしね」


 秀衡にとって関東は痩せた旨味のない土地であっておそらく動く可能性は低いと思いますが、だからといって常陸や下総には海運の拠点に使えるというメリットも一応あります。


 太平洋側は日本海側に比べて難破した時に陸にたどり着ける可能性が低いというリスクもありますので、微妙なところではありますが。


 とは言え下野、上野、常陸の守りは固めないといけませんし、その他の国もがら空きにするわけにはいけません。


 そうするとお互いの兵力は拮抗するくらいでしょう。


「本来は3倍の差がありましたから、だいぶマシだとは思いますけどね」


 と、考えたところで2月の雪に深い信濃に向かうのは難しいです。


 雪が溶けたら急いで戻るとしましょう。


「そういえば崇徳院様?」


 私に呼びかけに崇徳上皇が姿を表しました。


「私が大姫と合うときは、私から離れていただけないでしょうか。

 大姫が怖がってるのは私ではなくて崇徳院様だと思うのです」


 今の崇徳院は最強の音量であった時に比べれば穏やかな顔ですが、背中には黒い羽がありますからね、どう見ても妖怪にしか見えないでしょう。


「何を言っておる、あの娘が恐れておるのは朕ではなく、その方に決まってるではないか」


 むむ、なんか反論されましたけど、どう見ても私より崇徳院のほうが子供には怖く見えると思うんですが。


 子供は霊感が強いから見えてる可能性が高いんですよね。


 私は貴狐天皇にも声をかけました。


「貴狐天皇も大姫の前ではこわい姿を取らないでくださいね」


「なんじゃ、汝はあの娘が怖がってるる理由を妾たちのせいにするのかえ?」


「そういう可能性もあると思うのですが」


「言っておくがこの中で一番怖いのは汝じゃぞ、そのことは忘れるな」


「むう、そうでしょうか?」


 なんだか納得がいきませんが、とりあえずは釘を差しておいたので次は大丈夫だと思いましょう。

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