電気モーターと発電機を作りましょう
さて、冬の間の野菜不足はもやしや豆苗でいくらかは解消されるでしょう。
「とすると動力機関がほしいのですが…さすがにレシプロどころか、蒸気機関でも開発は難しいし、そもそも蒸気機関では人力飛行機の動力にできませんしね」
私は少し考えて
「となるとやはり電気モーターですかね」
モーターと発電機は構造が同じものであって、フレミングの法則でそれらは表されます。
フレミングの左手の法則は電動モーターの動作を。
フレミングの右手の法則は発電機ので電流が発生する理由を説明したものです。
フレミングの左手の法則は、磁場内において電流が流れる導体には力が発生する現象について、それぞれの向きの関係を示すもので。
このことを、左手の中指と人差し指と親指を立てて互いに直角の関係にしたとき、
中指
電流(I)の方向 または 電荷の速度方向(v)
人差し指
磁界(B)の方向
親指
電流が流れている導体に発生する力(F)の方向
となる、というものですね。
これは電流の発生によって導体に働く力が発生する現象を示しているが、これの逆の電磁誘導の法則としてフレミングの右手の法則があります。
具体的には中心軸に永久磁石をつけて、その回りにコイルを巻いた鉄片で囲んだ構造を持たせていますね。
コイルに電流を流すと回転を始めるのがモーターで、回転軸を回してやればコイルに電流が発生するのが発電機です、小さなものは永久磁石を使っていますが大きな発電機は電磁石を用いています。
「要するに古い自転車のライト用の発電機や手回しで充電できる発電機はどうやって電流を発生させるかってことがわかれば作れるはずなんですよね」
問題は強力な永久磁石や電磁石の作り方なのですが。
「強力な磁石を作るには発電機が必要、発電機を作るには磁石が必要……コレは困りましたね」
ちなみに平賀源内が作成したエレキテルは、摩擦起電器で、静電気を発生させそれを蓄電するものなので原理が違いますし、大した電圧などが得られませんからあれではダメです。
「そうすると励磁指揮電磁石を用いて水車を使った水力発電を行ってその電力を用いて酸化鉄を励磁して永久磁石にして、その永久磁石を使って小型のモーターを作るということになりますか」
面倒ですが仕方ありません。
まず電気めっきに使っているボルタ電池を用いて導線を巻いた鉄を励磁して電磁石にしてその真ん中に回転する鉄の線を整流子とブラシをつけて水車の回転を用いて回転させれば直流の発電機が出来上がります。
今度は高炉で焼き固めた四角い酸化鉄をコイルでまいて強く励磁すると永久磁石が出来上がります。
先程の発電機の電磁石を永久磁石に置き換えてつくれば直流モーターが出来上がります。
「早速、電気を流してみましょうか」
ボルタ電池をつなげてみればモーターはうまく回りました。
「手回し機の扇風機の回転部分のこのモーターをつなげれば電機子扇風機ができますね」
私は早速電気式扇風機を作って回してみます。
「うん、涼しい。
ワーレーワーレーハウチュウジンダ」
うん、懐かしいネタですね。
そのの様子を小百合が呆れたように見ていました。
「巴様、一体何を言っているのですか」
そういえばこの時代に宇宙とか宇宙人と言う言葉はないですね。
「あーお約束の言葉というやつなのですが……」
「意味が全くわかりませんが……」
「ああ、月から来たかぐや姫みたいな、この大地ではない場所から来た人たちのことですよ」
「巴様、かぐや姫の物語はあくまでもおとぎ話ですよ?」
「まあ、そうですね、忘れてください」
私が頬をかきながら言いますと
「分かりました」
と小百合は答えてくれたので一安心でした。
もっと出力の大きい電池とモーターを作り上げることができたらモーターグライダーも作れるかもしれません。
空への夢にまた一歩近づけましたね。