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豌豆瘡への対処と食料状況のさらなる改善

 さて、矢田義清殿の使いの話では京の都では豌豆瘡が流行しているようです。


 私は関所のものに通知を出します。


「疱瘡にかかっていると思われるものは、そのまま通さぬようにせよ。

 美濃方面の関所には特に気を付けよ。

 関所には薬院を接しするゆえ、そこにて治療を行いなさい」


「は、承知いたしました」


「もし死亡した場合は、火葬にて葬るように」


「は、承知いたしました」


 実際、天然痘の治療には特効薬はないです。


 大事なのは隔離措置と種痘の接種、死亡してしまった場合は火葬を行うことで天然痘ウィルスの拡散蔓延を防ぐことぐらいしかできません。


 さてさて、そろそろ養和の飢饉などの天災に続く戦乱に備えて色々準備をしておく必要もあるでしょう。


 まずは食料ですね、ハラが減っては戦はできませんし。


 食料の備蓄を行うための蔵を増設し、今年よりは水田より優先して乾燥に強い(きび)(あわ)(ひえ)蕎麦(そば)唐黍(もろこし)大麦(おおむぎ)鳩麦(はとむぎ)などを栽培するために山野を切り開いて畑とします。


 水田には日照りに強い米の占城稲を優先して撒かせます。


 また街道沿いに枇杷(びわ)や、(あんず)(すもも)(もも)葡萄(ぶどう)無花果(いちじく)(くり)(かき)銀杏(いちょう)胡桃(くるみ)石榴(ざくろ)、柚子(ゆず)猿梨(さるなし)などを植樹していざという時に食べられるようにしていきます。


 増えてきた山羊を村ごとに分け与え、開拓する際の除草の手伝いをさせたり、乳の絞り方を教えて飲用とさせ、羊を柵で囲った牧場で管理して飼育し、羊乳も絞らせ、羊毛を鋏で刈って毛糸を作りつつ増えすぎた分は屠殺して食肉とします。


「まあ、こんなところでしょうか。

 まあいざとなったら虫でもなんでも食べることになりますが」


 昆虫はタンパク源としては優れているが、食感や外見が悪いという欠点があるんで、最終手段ではありますが。


 そういえば昆虫といえば蜜蜂がありましたね。


 ミツバチの飼育を大規模に行うようにしましょう。


 この頃の養蜂箱は、ハチの群れに単純に閉鎖空間を与えてそこに住まわせるだけなので、ハチは巣の内部に自力で蜂の巣を作ります。


 収穫のときは巣を壊して蜂蜜を採取するわけです。


 その為の蜂蜜には蜜蝋が多く含まれたのですが、蜜蝋つまりプロポリスは天然の抗生物質と呼ばれるもので、蜂蜜が体に良いと言うのはこういったところもあったのでしょう。


 この方式では内部のカビや病気、外注の侵入などをを調べることができないという欠点がありまた、蜂蜜を採取する際にしばしば巣全体が壊れてしまうこともありました。


 蜂蜜を採るために完全にハチを追い出すか、殺してしまい、取り出した巣を圧搾して蜂蜜を取り出していました。


 私の養蜂の際に使われるのはまずは巣箱と呼ばれる箱で、これはミツバチたちの家です。


 木製で上部にフタがついており、中には8~10枚の巣枠が入っています。


 箱の下に巣門と言われるすきまがあってミツバチたちはそこから出入りします


 その中に可動式で取り出しが簡単なミツバチたちが実際に巣をつくる巣枠をいれます。


 これは巣箱と同様に大切な道具で、角材でつくられた木製の枠に横に3本の針金を張ってあり、ミツバチたちは体から分泌した「ミツロウ」を使ってこの枠に巣をつくりあげていきます。


 ハチミツを採取するのは、かなりの重労働でかなり危険も伴うものです。


 まず蜂に刺されないために顔を網でおおった防護服を装着し、そして煙で蜂を巣箱から追い出し、それでも蜂が大量に付いた状態のままの巣枠を取り出し、巣枠についた蜂を刷毛などで取り除き、さらに巣枠の中の蜂蜜を取り出せるように表面を削り、巣板を回転する遠心分離器に掛け、ようやくハチミツが取り出せるが、この状態ではかなり不純物が混ざっているため、それを布で濾して、ようやく食べられる蜂蜜が集められるのです。


 その後、巣枠は再び巣箱に設置され、また蜂蜜が貯まることを待つことになるのです。


「もう少しかんたんに蜂蜜を取り出せるようにできませんかね……」


 私は、下人に指示して新たな巣枠をさくせさせます。


 まず予め蜂の巣の形状に作られた巣枠を作ります。


 巣枠の上部には取っ手をつけてコレをひねると巣板の六角形部分が中央を境に上下にずれ、上から下までの互い違いの段に変わるようにします。


 六角形の巣枠に、蜜蜂たちは運んできた蜜をそこにせっせと貯めるので、ハチミツが貯まったところで、ハチミツを取り出す筒をを巣板の下部に取り付け底につぼをおいて、上部にある取っ手を捻ります。


 巣枠の六角形がずれると六角形に貯まっていたハチミツは、六角形がずれたことでできた隙間によって重力によって下に落ちていき、そして巣箱の下に貯まったハチミツは、取り付けた管を通してツボに貯まるというわけです。


 一刻(2時間)もあれば溜まっていた蜂蜜は自動的にツボにたまり、しかも採取した蜂蜜には、煙で追い出したときにシンだ蜂の死体や取れてしまった羽や脚などの不純物が混ざっていないため、すぐに食べられます。


 これにより安全に手軽に蜂蜜を採取できるようになるし、蜜蜂も傷つけられたりストレスを与えられることがなくなる。また、巣箱を開けていじくり回すことがないため、細菌やカビの病気の感染も防げる用になりました。


「まあ、作るのがすごく大変なんですけどね」


 この巣箱を作成するとともに、蜜蜂が一年中蜜に困らないような花や木を周りに植えることで私は蜜の増産に成功しました。

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