表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
木曽義仲の覇業・私巴は只の側女です。  作者: 水源


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/109

電池と草水の蒸留と電気めっき

 さて、軍事的鍛錬や治安維持が関係の兵力の目算は一応つきましたので技術的な開発にとりかかるといたしましょう。


「巴様今度は一体何をしているのですか?」


「電池をつくっているのですよ。

 電池と言うのは雷を弱くしていつでも流せるようにしたもの……かな」


「それがあると何ができるのですか?」


「色々できるけど、まずは電池を使った電着。

 水銀と灰吹を用いてアポイタカラを太刀にメッキするよりずっと安全で早くできますからね」


 電池作るのに必要な材料はいくつかあります、銅線、希硫酸、亜鉛の板と銅の板、それと電解液を入れる水槽です。


 銅線は銅を水車の圧延や切断機構を使ってある程度の長さを作ることは可能です。


 そして硫黄と硝石を燃やしてその水蒸気を冷やしたり黄鉄鉱を水に溶かしたり、ミョウバンを乾留したりすることで硫酸を作ることも可能です。


 それを石炭や木炭を乾留してとったタールを塗って防水加工した木製の電解槽に入れてそこに銅板と亜鉛板を入れて銅線で繋げば電池ができます、電解槽はバクダッド電池のような素焼きのツボでもいいですが、割れた時が怖いので今回は木製の電解槽にいたしましょう。


 そして電池があれば電気めっきができるようになります。


 早速職人に命じて木の箱を作らせ、そこに石炭を乾留してコークスを作った時に出たタールをぬって防水処理をして乾かします。


「あとは銅線の絶縁をどうするかですかね」


「しないとどうなりますか」


「銅線を触るとしびれます」


「それは危ないですね」


「ええ、だから電気を通さないようにないといけないのですよ」


「なるほど」


 銅線の絶縁被覆は紙にアスファルト染み込ませたもので最初期はやっていたはずですし、まずはアスファルトを抽出しましょう。


 私は水車小屋に酒用の蒸留装置を持ち込んでそこに草水を入れて蒸留することにします。


 宋の国から持ち込まれた武具の中に猛火油という火炎放射器があるように、宋の国では石油を蒸留して兵器にも用いています、まあこの時代までの中国の国家の技術の進み具合は異常なのですが。


 蒸留していない原油はアスファルトやタールも重油も軽油も灯油もナフサも混ざっているのでそのまま燃やすと煤や付着物がものすごくなり燃えないタールなどがそのまま残ってしまいます。


 しかし、蒸留して燃えないアスファルトとその他の可燃燃料を分ければアスファルトは接着、防腐、防水などに使えます。


 この時代の船は木製で接着にはにかわを用いていました、にかわは水溶性なので船に浸水するのは当たり前ですし、木材の痛みも早かったですがアスファルトやタールを塗布すれば水漏れを防ぎその上防腐にも役に立ちます、まあ石油の匂いが最初はしますけどね。


 さらにアスファルトは道路の舗装や公衆用の大浴場の防水などにも使えます。


  また、2000年頃の様々な医薬品の原料が石油であるように腫瘍や眼炎、咳を癒す薬としても用いられ、更に戦車、馬車などの軸受けに使う潤滑油としても利用できます。


 改めて考えると石油って万能ですね。


 可燃燃料は鉛の箱に蜜蝋で蓋をし密閉して保管します。


 とは言え重油とそれ以外くらいには分留しますけどね。


 アスファルトができれば紙をそれに浸し、それを銅線にぐるぐると巻いていきます。


 防水加工した木製の電解槽に硫酸をいれ、亜鉛の板と銅の板を銅線でつなぎ、別のめっき層に方天画戟の穂先を陰極として、紅鉛鉱を含んだ電極を陽極としてつなぎ電気めっきします。


「うまくいくかな?」


「行かなかったらどうなりますか」


「方天画戟が使えなくなるかな……最悪の場合」


 しかし、なんとか電気めっきは成功し、方天画戟は青の輝きを帯びたのです。


「これ旋盤の刃にもつかえますね」


 メッキしたバイスなら錬鉄を切削加工できそうですから、旋盤の用途が広がりそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ