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木工旋盤と爆風炉

 水車小屋を立てて手作業ではなく機械作業にするために最初にやったのは、回転式の石臼や木臼と杵を使って穀物の脱穀や製粉をすることですがまあ、これはそんなに技術的に進んだものではありません。

が、脱穀も製粉もかなり力作業でしたから、これを機械的に行うことにできるようになったのは農民の作業的負担の軽減につながったはずです。


「いやいや、ホント助かりますだよ、脱穀を扱ぎこぎはしでやってた時に比べれば時間もかからんし力もいらんし」


 その次は蚕の繭や大麻の茎表皮の内側にある柔繊維または、葉茎などから採取される繊維を撚り合わせ繰り糸を機械的に意図にする製糸作業です。

手繰で製糸するのに比べて水車の回転を用いて繰糸器と水力を用いた工場制の器械製糸に近いものとなった今では製糸の作業効率は段違いに上がりました。


「ほんに楽になりましたねぇ、まあ気をつけないと糸がからまったまま巻き取られて大変なことになりますけど」


ちなみにこれ産業革命の一つなのですよね。まあイギリスの場合綿でしたけど。

むしろ養蚕や天蚕するべき個体を負やさないと、時間がありあまってしまうレベルになってしまいましたが、まあいいでしょう。

衣類と言うのは防寒や負傷を避けるために大切なものですからね。


 その次は植物油の圧搾です。

人力で油をしぼるというのはこれまた大変力と手間のかかるものですがそれを機械がやってくれるというのはいろいろな意味で助かります、人間では絞れきれない油まで取れますからね。


 そして原木を水車の回転やピストンを使ってのこぎりを動かして切断して木の製材をすることも出来るようになったのですが、どうせならと木工が出来る旋盤も作ろうと思います。

旋盤は工作物を回転させそれにバイトと呼ばれる刃を当てて切削するための工作機械です。

精密な円形の加工ができるのが特徴ですね。

旋盤ができれば車輪や車軸などの工作精度が必要な木工品を多量に作れるようになるはずです。

問題は旋盤にはネジなどのスクリュー構造が多用されていることですが、中国などの東洋ではネジやスクリューの文化がないということです。


 仕方ないので最初は私が丸木を削って、木のねじ切りの見本のようなものを作り、それを職人に精度をさらに高めてもらいます。


「こんなもんでええですかのう」


「ええ、十分ですよ。流石に、本職は違いますね」


出来上がったものは私の作ったものよりはるかに精密に出来ています。


そして早速旋盤の設計図を作成します。


「では、このような感じでおねがいします」


「へえ、ではやってみましょう」


 水力ののこぎりを用いて木材を切っていき、まず旋盤の台座を作ります。

足の長さを合わせるために糸で長さを図りつつ西洋のテーブルのような細長い台座がまず出来上がりました。


 そして主軸台です。 

工作物を固定するためのチャックと呼ばれる万力がつけられていてここに工作物を取付けられるようになっています。


 その後は往復台です。

往復台は横に移動できるようになっていてその先についた刃物台にもチャックが有りいろいろな刃物を取付けられるようになっています。

往復台を工作物に向けて移動させ押し当てることで工作物の切削を行います。


 もちろん2000年頃のような複雑な工作はもちろん出来ないでしょうが、すべてが手作業から作るよりだいぶ楽になるはずです。


 そして、これで車輪と車軸を作ったら、一輪運搬車いわゆる猫車を生産します。


 道路の整地があまり進んでいなくても猫車であれば農作物などを運搬するのが楽になりますし、将来的には兵站輜重にも役に立つでしょう。


 更には溶鉱炉のふいごを吹かせたり、刃物の研磨や鉄の棒を挟んで伸ばしたり一定の長さに切断し、釘や針をつくったりといった製鉄にも手を加えます。

中国の爆風炉と呼ばれる高炉をまねするのです。


 とは言え爆風炉を作るには耐火レンガが必要なのでまずはそちらからとりかかります。

炭焼きで使う岩と砂の炭焼窯を改良して高温に耐えられるような釜を作り、石灰質の粘土をレンガの形に整えて焼きます。


 耐火レンガが焼けたらそれを組み上げて漆喰で固め耐火炉を組み上げて原始的な高炉である爆風炉を組み上げます、もちろん送風には水車を使ったふいごを用いますよ。

これにより少量しか生産出来なかった鋼を以前よりは大量に生産することができるようになるのです。


まあ、何に使うかは思案中ですが、まずは農具や林業の道具ですね。

鋼でできた農具であれば耕したりするのも簡単になるでしょうし、のこぎりやマサカリを増やせれば林業も楽になります、やり過ぎると禿山になりかねないのでその辺りは植林なども含めてうまくやらないといけませんが。



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