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対決魔王の鎧2

 そんなやり取りを2人がしている内にマリィが魔王の鎧と対峙していた。魔王の鎧も自分に向けられる敵意を感じているらしく面甲の奥の虚ろがマリィを睨む。そしてマリィがグラブをしっかりと履き直すのを合図に腰を落とし右足を引きその巨体の半分以上を大盾に隠す。

 マリィは動じず一歩右足を自然に歩くように出し地面に着くと同時に右足を軸に後ろ回し蹴りを仕掛ける。魔王の鎧は衝撃に備え更に腰を落とし盾の底辺を地面に下ろして力を込める。次の瞬間マリィの踵が盾の側面を捕らえそのまま左足を曲げ身体を魔王の鎧に引き寄せつつを身体をひねり左側頭部に蹴りを入れる。

 辺りにはマリィのブーツに仕込んである金属と魔王の鎧の頭部の衝突による金属音が鳴り響くが魔王の鎧は怯む様子はなかった。

 次にマリィは未だ固く地面に固定されている大盾の上辺を掴み今度はそれを軸に身体を大きく振り回して先程と同じ側頭部に膝蹴りを叩き込むと流石にマリィの渾身の一撃に若干上体が傾ぐが堪えていない。

 魔王の鎧は反撃に盾を引き付け上辺に手をついていたマリィを振りほどき、着地される前に左に振り抜きマリィを盾で殴り付け弾き飛ばそうとする。マリィはそっと手を添え盾の威力を肘のバネでやり過ごしながら飛び退いて距離をとる。

 一旦距離が開けた後再び腰を落として飛びかかろうとしたマリィだったが魔王の鎧はそれよりも速く突きを繰り出し開いた距離を詰めていた。その突きを横に上体を反らしてなんとか凌いだが明らかに重量級のその大剣が腰の捻りだけであっさりとマリィを押し斬ろうと軌道を変える。しゃがみこんで避けるが相手もそれで仕留めるつもりは毛頭なかったらしく気にした素振りもなくその場に土埃を舞い上げながら強引に踏み止まる。

 間一髪で避けたマリィが身を起こしながら反撃に出ようとしたが飛びかかった直後マリィと魔王の鎧の間に大盾が叩きつけられるように立てられた。危うく盾を殴り拳を潰す直前に止められたがそれは魔王の鎧の想定通りだったらしくマリィが硬直した瞬間に盾が除けられその裏にあった大剣を上段に構えた魔王の鎧が姿を見せる。

 剣が振り下ろされるのを避けることができたのはほとんどまぐれなようなもので、拳を無理矢理止めたときに少しバランスを崩したこと、そしてたまたまその崩れたために避けるのにいい具合に上体が傾いていただけだった。転げるように半ば四つん這いになりながら距離をとって向き直ったときには再び突きによる急迫を許してしまっていた。しかも具合の悪いことに先程の突きよりも速い。

 先と同じ様に紙一重で避けることは可能だろうが、突きと同じ様に素早く切り払われたら避ける自信がない。上手くそれを避けたとしても追撃がないとは思えない。

 恐怖のため立ち竦んでしまう。感覚だけは研ぎ澄まされゆっくりとまるでスローモーションのように近付いてくる切っ先から魅入られたように目を離すことことができない。横に逃げて切り払われる。後ろに飛び退くにも先程は強引に途中で止められたので本来の攻撃範囲がわからない。飛び退いても近すぎれば結局串刺しだし、遠すぎれば再び突きを繰り出されて着地の硬直を狙われてしまう。完全に手詰まりだった。

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