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優しさって何でしたっけ?

「到着でーってうわあぁぁぁぁ!!」


「ぬおぉぉぉぉ?!」


 ルナが発動した転送魔法により、移動した先は魔王城ガルカンデ内の天井付近。

何で天井付近やねん。思わず脳内で大阪弁でつっこむ。

 冷静に状況を分析している間にも体は重力に従って落下していく。あぁ、折角貰った傷薬割れるんじゃないだろうか。傷薬と俺、一体どちらが落ちる方が早いのか。


「うわわっ!フロートっ!」


 下らない事をとりとめもなく考えている俺の耳に飛び込んできたのはルナの声。

 まさに間一髪。重力に従い落下を始めていた傷薬&その他諸々もろもろが床から数cmといったラインで浮遊する。

 え、俺?俺はちゃんと床と仲良くなってます。ついでに浮かせてくれれば良かったのに見事にスルーされた模様。ルナって使い魔のはずなのに俺に少し厳しくないだろうか。


「よっと…」


 丁寧にルナが荷物を下ろしているのを見届けつつ、とりあえず自分の体も起こす。

が、突然何かが落ちる音と共に視界がブラックアウトする。


「あわわっ!崩れた?!御主人、今助けますっ!生きててくださいよ御主人!」

「だ…大丈夫ー。でも流石の俺もこれはキツいから早めによろしくー」


 身体の上に乗っているものを押せるだけ押して退けるように努力する。どうもこの感触からすると本のようだ。

 

「ふぅ………」

「はぁ、はぁ……。大丈夫ですか御主人?」

「あー、うん、なんとか。」

「はぁ…良かったです!本当に良かったです!」

「そんなに俺の事を心配してくれたのか?」

「はいっ!勿論です!心配するに決まってるじゃないですか!」


 ただ、崩れてきた本に埋もれただけだというのに、目尻を下げ、少し涙目で見つめてくるルナ。本気で俺の事を心配してくれたようだ。

何だ、可愛いところもあるじゃないか!

 うーん、これは二次元は三次元になったとたんに幻滅するものだという俺の持論を改めねばならないかもしれない。

 前世の俺の同士達よ、二次元は三次元になろうとも最高だ!

 ついついにやけてくる表情を必死に抑えつつ、真面目な顔を保つ。


「ありがとうな、ルナ。俺の事を心配してくれて。」

「いえ、当然の事です!だって御主人に今倒れられたら、私は魔力使い損じゃないですか!契約も結べませんし!」

「………へ?」

「はい?」


 静寂。

前言撤回。三次元は俺に優しくないです。


「…ですよね?」

「…そだね。」


「さーてっ!お城にも帰ってきましたし、契約を結びましょう御主人!私は転送魔法と今の浮遊魔法で瀕死ですよ!さあさあ!」


 ぐいぐい俺の手を引くルナに導かれ、瀕死の奴のテンションじゃねぇだろうという言葉を飲み込んでとりあえず立ち上がる。

 うーん、やっぱりステータスから見ても今の自分の感覚から見ても、俺はかなり頑丈に出来ているらしい。20m程上空から落下したというのにほぼ無傷。

 前世なら上手くいって大怪我か植物状態。最悪死亡だっただろう。

 なんというか貴重な体験をしたものだ。願わくば二度と経験したくはないが。


「わかってる。で、ルナここどこだ?」

「どこって御主人、自宅ですよ?」


 何言ってんだコイツというような顔で俺を見つめるルナ。

改めて見ても睫毛も長いし、肌もかなりきめ細かい。

 しかし、質問の仕方が不味かったとはいえど、その小馬鹿にした表情はいただけない。可愛いけど少し苛立つ。可愛いけど。


「あれ?もしかして御主人、頭打って忘れました?何言ってんです?」


 前言撤回。かなりムカつく。

小馬鹿にした表情が堂に入っている所もかなり高評価ポイントだ。


「あの、ルナさん?だんだん化けの皮が剥がれてきてないか?」

「いやですね~御主人!私はいつでもどこでも御主人の味方、呼ばれたのであれば例え何処に居ようと、御側に馳せ参じる貴方様の忠実なるしもべにございます。」


 ふわりと床におりたち、誰もが見惚れるほど洗練された動作で頭を垂れる。

しかし、俺はその程度では惑わされん!


「いったぁ?!」


無言で肩を震わせているルナに一発拳骨を落とし、マントの裾についた埃を払う。


「後でここの掃除しねーとなぁ…。」


「あー、父王様は読書家でしたからねぇ。そこの本の山とかも全部父王様の購入物だと思いますよ、御主人。」


 ルナの言葉を聞きながら改めて室内を見渡すと、まぁ、あるわあるわ本の山。

適当にさっき崩れてきた山の中から一冊取り出してみると【正しいケルベロスの飼い方】の文字。

一体何に悩んでんだ。


「まぁ、とりあえず契約結ばないとゆっくり話も出来ないし、大広間目指そう。傷薬とかはまぁここに置いておいても大丈夫だろ。よし、そうしよう。」


 ザッと【正しいケルベロスの飼い方】に目を通しつつ頭の中を整理する。というかこの本中々面白いな。

契約という単語に目を輝かせたルナを視界の彼方へと追いやりつつドアへ向かって歩こうと足を引き抜くとまた崩れ落ちる本の山。

本当に一度片付けるべきだろうよこの部屋。


「あ、御主人大広間へは行けるんですか?さっきバカみたいなこと私に尋ねてましたけど頭の中は無事ですか?」


「相変わらず失礼かお前は!ガルカンデ内部は俺の庭みたいなもんなんだよ!何処に何があるかとかトラップとか全部把握済み!」


 全く失礼な奴だ。心外といっても過言ではない。どれだけやり込んだと思ってるんだ!怪しまれるから言わなかったけどエンカウントする敵の台詞すら完璧に覚えてるんだぞ!

………言ってて自分でも不気味だと思うけどな!

 鼻息も荒くドアノブを握った次の瞬間、


《ゴッ》


フルスイングされたドアと共に鈍い音が鳴り響いた。


《目標》

"new"大広間を目指そう

契約を結ぼう

【済】荷物を運ぼう

【済】魔王の城を目指そう

めちゃくちゃお久しぶりです、萩悠です。

大学生になって早1ヶ月、ようやく大学も落ち着いてきたので更新ぼちぼち再開します。

相変わらずの亀更新な上にバカ話ですがお付き合い下さい。

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