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三題噺  作者: 執筆挫折マン
7/9

妖怪・石鹸・食い倒れ

このお題どう考えても大阪。

「快楽の三要素とは非常に典型的な『仕事から帰ってきた旦那を迎える妻のセリフ』によって表されていると私は考えマス」


「快楽の

(銭湯の浴槽につかっている壮年の男性が熱弁している)


「すなわちそれは『ごはんにする? お風呂にする? それとも、あ・た・し』デス」


(近くの少年が男性の言葉に頷く)


「うん、理解できるよ。オリンピックの招致でも『お・も・て・な・し』は非常に重要なウェイトを占めていたからね」

「や……それはあまり関係ないのデスが」


(壮年の男性、浴槽から上がる。)

(少年は男性を追って歩き、会話を続ける)


「しかし私には嫁がいまセン。よって残るは二つ。重要なのは『風呂』と『食事』デス! 少年、あなたはどちらを選びマスか?」

「……僕は『食事』かな。実は僕、母子家庭で小さい頃から(シリアスシーンなのでカット)……だからさ、お腹いっぱい食べてみたいんだよね。ここって『食い倒れの街』っていうじゃない」

「ナルホド、腹が減ってはイクサができぬ、デスね。しかし、意義あり! それならあなたは、どうして風呂なんかに居るのですか!」

「僕は母子家庭だからね。お爺ちゃんの代までは立派なお屋敷に住んでたらしいけど、ある日友達の借金のカタで(シリアスシーンンなのでカット)……だから、僕の家にはお風呂がないんだ。今どき長屋に住んでるって、変かな。でも、いくら食べ物のほうが大事だって言ったって、一ヶ月に一回は入りたいよね!」

「OH! そんなことが! 少年はタイヘンですね」

「そんなことないよ、僕は両手とも小指が繋がったままだよ? ところで、おじさんはどう?」

「私はお風呂にも入りたいし食事もしたいデス」

「駄目だよ、二兎追う者は一とも得られないよ」

「いいえ、できマス」


(壮年の男性、洗い場に歩み寄り、おもむろに石鹸を掴む)


「銭湯は一石二鳥デス。……ぱく」

「ああああああああっ?!?! 石鹸食べた!? おじさん、石鹸食べちゃったっ!?!?」


(壮年の男性、石鹸を咀嚼、グッ、と親指を立てる)


「大丈夫デス。大丈夫だから大丈夫デス」

「全然説明になってないよ! 石鹸は食べ物じゃないよ!?」

「大丈夫デス。私、石鹸食べる妖怪デス」

「おじさん妖怪だったの!? 驚愕の事実だよ! でもだめだよ! 石鹸は銭湯の備品なんだよ!?」

「大丈夫デス。コレ私の石鹸、備品とスリ替えて置いてました!」

「どうしてそんな面倒でややこしいことを!?」

「人の垢がしみ込んだ石鹸、美味しいです。タンパク質の味、サイコー!」

「いやああああ、変態だぁあああああー!」


(少年脱兎のごとく逃げて脱衣所へ。壮年の男性取り残される)


「待つです、少年……。石鹸の味、素晴らしいです。私、毎日銭湯で食い倒れて……本当に幸福デシタ。でも、なんだろう、この虚しい気持ち……」


(いきなりシリアスでもの悲しいBGMが流れる)


「少年、私とあなたは、確かに違う生き物かもしれまセン。でも、違うからって話を聞いてもらえずに拒絶されるのは、悲しいです。人は、誰もが他人と違う。だけど、だからこそ、分かり合えたら素晴らしいと、私は思うのです」


(壮年の男性、脱衣場に入る)


「相手を理解しよう、相手と分かり合おう、そんな心さえあれば、たとえ宇宙人とだって分かり合える。そんな気がしマス!」


(壮年の男性、着替え中の少年に話しかける)


「――ビクゥウウッ! へ、変態が……って、いきなり、何の話……?」

「どうか、私の話を聞いて欲しいのです。食べるものが違っても、私たちは分かり合えるはずデス」


(少年、ハッとしたような表情になる。感動的なBGMが流れる)


「そうだよ……そうだよね。ごめん、石鹸を食べるくらいで変態だなんて……。僕だってホームレスだった頃は、タンパク質を取るためにゴ○ブリやセミの死(検閲削除)……たのに」

「少年は苦労してるです。そして優しい目をしてるデス」


(壮年の男性、少年の手をそっと握りしめて涙を拭く)


「今の私、嫁はいないけど、こうして共に語り合える仲間がいます。それは、素晴らしいことデス」

「いや、そんあいきなり上手く終わらせようとしても……」


 ――この、ロクでもない素晴らしき世界。


「あれ!? 上手く終わった!? っていうか、これってCMだったの!?」


 ――宇宙人「GEOGEジョージ」、ただいま地球を調査中。


「ちょっと待って、キミ、妖怪じゃなかったの!? 宇宙人ってどういうこと!?」

「だから、宇宙妖怪デス」

「雑なくくりだね! もうちょっと納得できるように説明しようよ!」


GEOGEジョージ、BOSSと書かれた缶を取り出す)

GEOGEジョージ、缶ののプルタブを開けて飲む)


 ――風呂上がりの液体石鹸『BOSS』好評発売中。


「え? それコーヒーじゃなかったの!? 石鹸なの!? 石鹸飲んじゃってるの妖怪八五郎さん! あ、でも八五郎さんはそういう妖怪なのか! でも液体石鹸ってお風呂関係ないよね!? それともボディーソープなの!? ボディーソープが缶に入ってるの!? やめようよ! 一回でそんな量使い切れないよ! それとお風呂上りにボディーソープは使わないよ!?」

「……ツッコみ、多すぎデス」

「ツッコみ所が多すぎなんです!」


 ――この番組は、ご覧のスポンサーでお送りいたしました。


『ディディーン!(効果音)』

「私は妖怪叙宇児(じょうじ)! この印籠が目に入らぬか!』


「……ってジョージさん番組に出演してる!」

完全にギャグ路線になてしまった。小説を書いていたつもりがコントの台本に。……なぜでしょうか?

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