まあ、ポって名前からすりゃ幾分まともか。
巨大モンスターをほぼ反則の方法で倒し、仲間から質問責めにあう俺。うーん…どう説明しよう?…ありのまま拙い言葉で説明する俺に、ファタリは…。いよいよ次は最後の試練、「光」の間。ウェルトゥ8階、天気極めて晴朗なれど…浪高し⁉負けるな!俺!
#twnovel RPGっぽい異世界なう。竜を倒した俺の元に仲間たちが駆けて来る。気づけば部屋の明るさはいつの間にか普通に薄暗い…壁も天井も床も黒御影石っぽいがらんとした薄暗い部屋になっていた。魔法腹立つ。このなんでもアリ感。まあ同じ理屈でヒーローになって危機を脱したんだが。
#twnovel 異世界なう。息せき切って駆けて来る先頭はもちろん…竪琴の人か。うーん…止むなし?うわ!ちょ、僕疲れてるんでワケの分からない現地語まくし立てながら肩掴んでゆっさゆっさ揺さ、ぶり、まく、るの、やめ、てく、れま、せん?ああもう興奮しす…唾。…唾っ!顔にかかる!…不快。
#twnovel 異世界なう。ま仕方ないっちゃ仕方ないか。目の前で連れがウルトラマ○に変身してドラゴン倒しゃ、興奮もするわ。「何がどうなったのか説明してや!って意味のことをいろんな言い方でゆっとる…うちも知りたい。一体何が起きたん?」んー…何から話したもんか。まずニセファタリが。
#twnovel 異世界なう。「ニセのうち⁉」抱きついてきて。「はぁ?何それ。ヒロはされるままやったん?」…本物だと思ったから。「なんでうちがヒロに抱きつくん?変と思わんやったん?」…すいません。思いませんでした。「…で?」言葉巧みに不安を煽って来て。「…それで?どしたん?」
#twnovel 異世界なう。つい想像しちゃったんだ。ドラ…あのでかい怪物を。「あぁ、あのンディ・レイジオみたいな?」…そうかどうかが微妙だが、まあ。で逃げ回る内にファタリがニセ物だと気づいて。「…遅!」あ、それニセファタリにも言われた。「…」あの怪物、俺の不安から出たんだ、と。
#twnovel 異世界なう。消そうとしたけど、意識すればする程ハッキリ大きくなるばかり。ファタリたちはくんなっつうのにどんどん近づくし。どうしよ、ってなった時…子供の頃に胸踊らせたおとぎ話の光の巨人の事を思い出した。光と人が重なって生まれる、正義の巨人。怪物退治の専門家。
#twnovel 異世界なう。ここで一層沢山の唾を散らしながら竪琴さんが何かわめいた。「その巨人の名を、巨人の名を、頼む!教えてくれ!…やて。」…ウルトラマ○・ティ○。「おお○ィガ!なんて神々しい名や!決めた!うちはこの任が終わったら、洗礼名をティ○に変えたる!やて。」…え?
#twnovel 異世界なう。昔よくティ○ごっこはしてたから想像するのは簡単だった。つまりあれだ。心は弱いから、ちょっとした事で不安を膨らませがち。一度膨らんだ不安を消すのは困難。…だから不安以上に大きな夢とか、希望とかで不安を塗りつぶせばいいんだ、と。つまりそういう事で。
#twnovel 異世界なう。「今んとこもっかい言って、やて。」…始まったか。不安は膨らみがち。でも不安より強い夢や希望で打ち消せる、って。「…もっかい。」ふ!あ!ん!は、け!せ!る!…ゆ!め!と!き!ぼ!う!で!「…もっかい。」…ちょっと待て。それほんとに竪琴さんが言ってるか?
#twnovel 異世界なう。「ううん…うちが聞きたかっただけ。」あのね。やめてくれる?からかうの。溜息をつく俺の手を、ぱっと掴んで彼女は言った。「行こうヒロ。次へ!…うちもそう思う。不安がってばかりおっても、しょうがないやんな!」お、おう。わ!いきなりダッシュ⁉ちょ、ま、極端…
#twnovel 異世界なう。手を引かれるまま駆け出そうとした俺の足に、何か当たった。なんだこれ?拾い上げるとそれはガチャのフィギュアみたいなサイズの、真っ二つに割れた悪魔の像だった。こいつ、あれか。ニセファタリの正体。…ちっちゃ!俺こんなのに欲情してたのか。我ながら…ねえ…。
#twnovel 異世界なう。「ヒロ!なんしとん!はよ行こ!」ああ!すぐ行くよ!…分からんなぁ年頃の女の子は。俺が恋してた頃の先輩と、今のファタリは恐らく同じくらいの歳だと思うが、印象としては先輩のがずっと落ち着いてた感じだな。やっぱ別人。…アベさん。笑顔で頷くのやめて下さい。
#twnovel 異世界なう。微妙に登りづらい階段、もう何段登ったろう。次の階「光」ってどんなだろ?ここまで頑張ったんだからボーナスステージだといいな。雲海が広がってて人の頭くらいのデカさの金貨みたいのが、宙に幾つも並んで浮いてる、とかさ。100枚取ると命増えるの。あー…しんど。
#twnovel 異世界なう。着いた!今何階?石像が5F、王が6、闇が7…8Fか。とうとう…扉の塔ウェルトゥの最後の試練、「光」の間。いつもの扉、いつものプレート。光、だよな?「…うん。いよいよやな、ヒロ。ここ抜けたら扉…やで。」ああ。泣いても笑っても…できれば笑いたい!行くぞ!