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三浦義村③

承久3年(1221年)に後鳥羽上皇は北条義時追討の院宣を出した。義時および鎌倉の政権にとって空前絶後の危機であった。この状況でも義村は義時を見限ることなく彼のために行動している。


この時義村の弟である胤義は義時や兄の義村を恨んで鎌倉から離れて京におり、後鳥羽上皇に仕えていた。そのためこの戦いでも後鳥羽上皇側についており、彼は兄に向けて自分たちにつくようにという書状を送った。それを読んだ義村は

「関所での検問があるから返事を書けない。申したいことは分かったと伝えよ」

とだけいって使者を返した。そしてその後すぐに義時邸を訪れてその書状を見せている。


義村は義時に朝廷からの使者が鎌倉の御家人たちに味方になるよう呼びかけているため、使者を捕らえることを提案して義時は実行した。


また義村は子の泰村を、義時の子で総大将である北条泰時の軍に加わらせている。義村としては自分が朝廷側にはつかないということを示したい意図があったのかもしれない。


義村は泰時に北陸道からの幕府軍の上洛を待つことなく京に進撃することを提案し、その陣立ても示してみせた。泰時は承諾して進撃して各所で勝利した。


義村は太秦の自館に逃げようとする弟の胤義を包囲して子の胤連とともに自害に追い込み、その首を泰時に送った。吾妻鏡によればその時に義村は涙を流したというが、武門の習いとはいえ当時の武士の生き様とは過酷としかいいようがない。


さらに義村は胤連以外の胤義の幼い遺児たちも斬刑に処している。三浦家が生き残るにはそうまでして北条氏に忠誠を誓わなければならなかったのだろう。


また胤義が義村の軍勢に包囲された際は、胤義が兄の目の前に現れて恨みを述べつつも最期に会いたかったということを伝えたという。それに対して義村は

「馬鹿者とかけ合っても無駄だ」

とだけいってその場を去ってしまったらしい。


本当の話かは置いておくにしても、一度自分たちに逆らったなら弟であれ情けなどかけないという彼らしい非情さが垣間見える。義村にとっては義時によって政権を確立させることが全てである。それを邪魔だてするなど愚かであることこの上ない。義村は相手が弟であろうがそのように思っていたことだろう。


もともと貴族社会との繋がりが強かった義村は、泰時に代わって戦後の処理に関して朝廷との交渉の役割を担った。それにより新天皇が擁立され、朝廷側についた西国の公卿や武士の所領が没収されて戦功のある御家人たちに分け与えられた。


これにより三浦氏は肥前国神崎荘と筑前国宗像社を手に入れた。そしてこの2か所から日宋貿易を行ったといわれている。戦後処理で朝廷と幕府の関係を決定づけてさらに海の向こうにまで目を向けていたとすれば、三浦義村は中世への扉を開いた人物の一人として見てもいいのではないだろうか。


貞応3年(1224年)に義時が亡くなると、伊賀光宗と義時の妻であった伊賀の方が義時の5男で伊賀の方の子である政村を執権にしようと謀反を企てた。本来跡継ぎは泰時で決まっていたのだが、それを覆そうとしたのである。


政村は義村にとって烏帽子親子であった。そのため政村や伊賀光宗は義村のもとへしきりに訪れて協力を要請したという。義村は特にそれに対して目立った反応をしていないが、そのことを知った政子が義村のもとを訪れて問い詰めたことで伊賀氏の動きを抑えるように動いた。彼は光宗を説得したうえで泰時には政村を罰さないように頼んでいる。そのようにして事件は丸く収まった。


これまで積極的に北条氏に有利になるように動いていた義村だが、この事件に関しては特に自分から働きかけるようなことはしていない。政子に問い詰められたことで解決に乗り出したが、それまでは特に興味がなかったような感じを受ける。


義村からすれば義時のもとで朝廷をも打ち破り政権は安定した。もはや跡継ぎが誰かということにそこまで興味はなかったのかもしれない。あるいは義時がいなくなった時に自分たちの時代が終わったと悟ったのだろうか。


とはいえ義村は延応元年(1239年)に亡くなっており、義時死後15年生きた。その間も宿老として政権を支え続けた。


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