第8話
「なるほどな、逆にこっちから情報を流すのか。それも『陛下が崩御なされた』と。陛下は安全な我が家で保護をするんだな?」
「今もアリスティア王妃がいらっしゃいます」
「ふむ。アジトに突入しても、イズライール殿下派がどいつなのかよくわからないが、『陛下が崩御なされた』と逆情報を流せば殿下派がどいつなのかもよくわかって、一網打尽にできるな。ああ、アリスティア王妃がお産みになる御子が王子であることを祈るよ」
「そうですね、この国の事を考えると」
一方その頃、エミューダ帝国ではアルロジラ王国から亡命したという侯爵令嬢の事が話題になっていた。
「なんでも衆人環視の中で婚約破棄を言い渡されたらしい。それでも、泣いて縋るでもなく毅然とその場を立ち去ったとか……」
「ほう、その令嬢に会ってみたいものだ」
エミューダ帝国の‘冷酷皇帝’ウォルムス=エミューダにレナは興味を持たれ、レナは皇帝に謁見することとなっていた。
「レナ、大丈夫。いくら‘冷酷皇帝’と言ったっていきなり取って食わないだろうから。……いや、レナの美しさならあり得るかもしれない。とにかく大丈夫なんだから!それに今日は俺が東方から仕入れた特別の生地で誂えたドレスだ」
「滑らかな肌触りなのね。光沢もあって、素敵よ。ありがとう、アンディ兄さま」
私は感謝の意を込めてアンディ兄さまの頬にキスをした。
「生きててよかった」
「兄さまは大袈裟なんだから」
私は笑ってしまったけど、ほっぺチューを他の兄弟に自慢するらしい。頬で良かったらいくらでもするのに…。
「帝国の太陽であられますウォルス皇帝に招待いただき、誠に光栄でございます。初めまして。レナ=マカロンと申します。こちらの国では爵位もないのですが……」
「ふむ。噂通りの美貌」
「有難きお言葉。私の4人の兄達も美形でございます」
「ご兄弟の職業を聞いてもいいかな?」
「えーっと、人払いをしていただけますか?」
ウォルス様が咳払いをすると、周りから人がいなくなった。暗部はいるかもしれないけど、そこに情報が漏れちゃうのはやむを得ないよね。
「まず、長兄のジョンは領地経営をしております。一応アルロジラ王国では侯爵家ですので、領地経営しなくては領民を養う事はできません。次兄のアンディは貿易商をしております。その伝手でこの国へと亡命することが出来ました。私が今日着ているドレスの生地もわざわざ東方から取り寄せてくれたものだと聞いております。3男のケビンは情報屋をしております。今はこの国とアルロジラ王国を行き来して情報操作をしております。4男のマークなのですが…。あの…オカマバーを経営しております。本人もオカマという変わった人です」
「へぇ、なんかバラエティに富んだメンバーだね。俺は結構気に入った。マークはこの国に亡命してないのか?」
「『自分が亡命すると困る子が店にたくさんいるから放っていくことはできない』と。責任感が強いんです。あ、体術が得意だと聞きました」
ウォルス皇帝は本当に冷酷皇帝かなぁ?聞いていたイメージと全然違うけど。
なんか兄達を皇帝に紹介するのも大変なことになってる…。やっぱり職業が…。オカマバーがトドメ?




