第7話
「昨夜、イズライール様とラーラ嬢が幽閉先から脱走したらしいとの情報を得た」
「何てことなの?イズライールはどれだけ罪を重ねれば気が済むの?」
気丈にも卒倒なさらなかった。
「恐らく、『自分こそがこの国の国王だ!』というのが彼を突き動かしているのでしょう。王妃様もここにいなければ命が危なかったかもしれません」
「そこまでなの?ああっ」
流石に、倒れてしまった。すぐに医師を手配し母子ともに安心できる状態だとわかり、こちらも安心した。
王妃様の前で気軽に情報を言うものではないのだと皆が思った。
「脱出してどこに行ったのかわかる?」
ニヤリとケビン兄は笑う。
「俺は王国一、いや世界一情報通の男だぜ?チョロいもんよ」
「では父上に伝え、陛下に兵をその場所へと送っていただければ?」
「うーん、できれば暗部に様子をうかがってもらってそれからの方がいいかな?向こうの出方も気になるし」
「ケビン兄にしては慎重ね」
「俺はいつでも慎重だ。そして仕事は完璧!」
「ねーえ?陛下もここで保護しちゃってさぁ、逆に情報を流すってことはできないかしら?‘陛下は崩御なされた’って」
「それは国民が不安がるだろう?」
「そんな国民の様子を見た殿下はどう思うでしょうね?」
「なるほどな。父上に相談してからだな。殿下サイドを完全に潰すか、陛下をうちで保護して様子を窺うか」
ケビン兄さまから手紙が届いた。陛下がイズライール様とラーラ嬢を幽閉った処罰をしたのに、二人は脱走したらしい。二人の居場所は把握済みという事だ。流石はケビン兄さま。
この後、そのアジトに陛下共々突入するか、『陛下が崩御なされた』という情報を逆に流して様子を窺うのか(この際陛下も侯爵家で保護)、お父様と相談するらしい。
「はぁ、3人でエミューダ帝国に来たっていうのに、一人きりになっちゃった」
「戻ったぞ~!」
「アンディ兄さま‼」
「おお可愛い我が妹、レナ!ちょっと会わないうちにまた可愛くなったか?」
「兄さまったら、またそんな軽口叩いて!」
心細かったから助かる。
「実家の侯爵家には今アリスティア王妃がいらっしゃる。お前がいないのを残念がっていたぞ?」
「まあ、こちらにも事情があったもので…」
まさかの泥船発言はできないだろうなぁ。不敬……。
「今向こうにはケビンがいるし、というか暗躍してるな。俺は不必要って感じだから戻ってきた」
我が兄達で不必要って人はいないと思うけど。皆優秀だし。
「レナを1人にするわけにもいかないしなっ。マークに怒られる」
「マーク兄さま?」
「あいつは体術が得意で、特に投げ技が痛い」
関節技じゃなくて?投げられたことありなの?
皆さん、優秀ですね。マカロン家の方々は。




