第12話
「そろそろだろうと思っていたけど、国民の怒りは思っていたよりも早かったよ」
「なんでパンをちょっと買うのに金貨が必要なんだ?銅貨なら山のように持っていかないといけないじゃないか!」
「実際に持ってこられても迷惑を被るだけなんだよ!」
「「「そうだそうだ」」」
「誰だよ?こんなバカな事考え付いた奴」
「兵を出して国民を鎮圧しろ!」
焦ったイズライール陛下は国力でなんとか鎮圧しようとした。
「しかしながらお伝えします。騎士達も十分な食事を摂れずに力不足です。士気が下がっています」
報告する文官の腹の音が王宮に響き渡る。
「どういうことだ?ノワールヌネ!」
「私にはさっぱりです」
ノワールヌネ男爵はシラを切った。
この段階で、前国王陛下が現れた。傍らにエミューダ帝国皇帝ウォルスを連れて。
「ち……父上、生きてらっしゃったんですか?」
「ああ。お前の愚策はしかと見せてもらった。全く滑稽だな。ウォルス皇帝力を貸してもらえるだろうか?この国の上層部を全面的に捕縛する」
「承った」
元気なエミューダ帝国の騎士達がアルロジラ王国の重鎮たちを捕縛していく。
「さて、塔に幽閉していたはずのお前が何故ここに?お前がいるという事はラーラ嬢もこの城にいるのか?」
「今は私が国王だ。このおいぼれを捕縛しろ!」
イズライールが叫んでも騎士は動く元気がなかった。
「おい!どうした!」
「これがお前がした事の結果だ。偽物の貨幣を作るという事は貨幣の価値を下げてしまう。そのことがわからなかったお前の落ち度だ。というか、そんなこともわからなかったのか?愚かにも程がある!お前には他にも罪があるからな。ウォルス皇帝、こいつ及びラーラ嬢も捕縛し、地下牢に放り込んでください」
「承った」
「ふぅ、これからこの国を立て直すのに時間がかかりそうだな。マカロン侯爵の知恵を拝借するとしよう」
「その前に国民に姿を見せてあげた方が良いかと……」
怒りに興奮した国民の前に国王陛下は姿を晒した。
「私が亡くなったと偽の報せを公布させたことは申し訳なく思う。今後はおそらくイズライールが重用していた貴族の家にため込んでいる貨幣と贋金を交換する作業に追われることと思う。
イズライールはこの件と前の件を合わせて、廃太子の上、王城から追放する」
怒りに身を任せていたはずの国民も国王陛下の無事に安心し、この人なら安心できる自信があった。
「あ、そうそう今回捕縛の際に王宮の騎士さえも食事が満足に摂れなく、士気が下がっており、この方の騎士にお世話になった。隣国エミューダ帝国の皇帝陛下。ウォルス殿だ。それから、我が妃アリスティアはマカロン侯爵家で出産予定」
国民から歓喜の声が上がった。
「「「国王陛下万歳!」」」
「「「皇帝陛下万歳!」」」
「「「王妃陛下万歳!」」」
泥船は回避された。と思う。王城の中まで空腹になるんじゃなぁ。パン一つ買うのにサンタさんって感じで貨幣をかついで行かないといけなかったのかな?それは嫌だよなぁ。受け取っても数えるのが大変そうだ。




