第49話「明日の舞台」
明日はついに決勝。
控室の中には、先輩たちが座り、デッキを何度も切り直す音だけが響いていた。
緊張の空気は、言葉よりも重かった。
リア部長がふとこちらを見て、ゆっくり口を開く。
「お前たち、よくやったな。明日はついに優勝チームが決まる。俺からしたらどっちが勝っても、この高校から優勝チームが出るってことでいいんだが……」
リリが咎めるように口を挟む。
「もう、部長、無責任だよ。どっちも一生懸命なんだから」
樹里は腕を組み、少し微笑みながらも口を開く。
「そうよ。私たちも、負けてられないもの」
マックスは拳を軽く握り、鼻先で息をつく。
「あぁ、後輩に後れは取らねぇぜ」
レンジは拳を握りしめ、眼光を鋭くする。
カエデは指先でデッキを整え、戦場のイメージを頭の中で描き直していた。
ハルトは静かに目を閉じ、呼吸を整える。
リア部長が穏やかに微笑む。
「去年はまだ樹里は療養中でな。俺とマックスとリリで優勝したんだ」
ハルトが小さく息を漏らす。
「へぇ、そうだったんですね……」
マックスは肩をすくめ、少し照れくさそうに笑った。
「俺もまだ修行が未熟で、二人に助けてもらった……ってか、二人全勝って、もう一人誰でもよかったんじゃねーか!」
リリは肩を軽くすくめ、微笑む。
「まぁそういうもんよ。頼れる仲間がいるってのは、違うのよ」
樹里も小さく頷き、目を輝かせた。
「でも、去年もこうして支え合ったから勝てたのよね?伝統ってやつ?あと私は去年優勝してないから優勝したいわよ」
皆が小さく笑った
リア部長は深く息をつき、控室全体を見渡す。
「さて、今年はお前たちだ。全員、自分の力で戦え。誰がどこで当たるかはわからん――だが、全力を尽くせば後悔はない」
そして彼は一人ひとりの肩に手を置き、目を合わせながら言葉をかける。
レンジ
「レンジ、君は火力で圧すタイプだが、相手を見て判断しろ。焦るな」
レンジは拳をぎゅっと握り、心の中で炎のような闘志を燃やした。
「焦るな……絶対に、自分のペースで勝つ」
カエデ
「カエデ、君の読みは鋭い。今日の静けさを、明日に生かせ」
カエデは唇を噛み、盤面を頭の中で何度も組み直す。
「すべてを見通す……でも、焦らず、確実に」
ハルト
「ハルト、お前の一手一手で流れは変わる。信じろ、自分の選択を」
ハルトは深く息を吸い、肩の力を抜いた。
「ここで諦めるわけにはいかない……一手、一手を信じろ」
リリ
「リリ、落ち着け。君が笑顔で攻めるなら、誰も止められん」
リリは小さく息を吐き、指先に力を込める。
「怖いけど……でも、私ならできる。楽しもう」
樹里
「樹里、お前の経験が力になる。焦らず、相手の目を見て判断しろ」
樹里は肩をすくめて微笑む。
「そうね……絶対に、焦らない」
マックス
「マックス、冷静であれ。先を読み、流れを作るのはお前の得意技だ」
マックスは口角を上げ、視線を前に据える。
「全力で読み切って、流れを作る……負けられない」
リア部長の視線が再び全員に向く。
「去年の勝利は、俺たちが支え合ったからこそだ。今年はお前たちの番だ。後輩が先輩を超える伝統を、また一つ作れ」
控室に静かな緊張が走る。
だがその緊張の中で、全員の心は確かに燃えていた。
レンジは拳を握り、火を内に灯す。
カエデは指先でデッキを整え、冷静に盤面を思い描く。
ハルトは深呼吸で心を落ち着かせる。
リリは小さく息を吐き、笑みを浮かべる。
樹里は肩をすくめ、自信を胸に込めた。
マックスは口角を上げ、覚悟を瞳に宿す。
去年の優勝の記憶と部長の言葉を胸に、自分たちの力で勝つ覚悟が控室を包み込む。
明日――全員が最高の戦いをする舞台が、整ったのだ。




