表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エクリプスレイン  作者: 鳥雛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/53

第47話「削られる者、削る者」

決勝リーグは、トーナメントと空気が違う


歓声は同じ量なのに、音が重い


◆レンジの試合


開始から、撃ち合いだった


相手は同じ火属性

だがレンジと違うのは、“削る順番”を知っている点だった


序盤、レンジが主導権を握る


速攻展開

焼き払い

盤面制圧


「いける」


観客の空気がそう言った


だが相手はユニットを守らない


代わりに、レンジのリソースだけを削る


手札破壊

回収封じ

ドロー制限


気づいた時には、盤面は勝っているのに、

“次の手”が薄い


(あれ…?)


初めてレンジの指が止まる


そこを逃さない


相手は盤面を無視し、

“最後の手札”を奪うカードを切った


レンジの手が、空になる


その瞬間だった


今まで温存されていた大型ユニットが着地


逆転


レンジは最後まで攻め続けたが、

火力が、続かない


「勝者――」


レンジは悔しそうに笑う


「燃費負けかよ…」


派手に見えて、

中身は“先に息が切れた側の負け”という、静かな戦いだった


◆カエデの試合


卓は静かだった


両者、動かない


情報の読み合い


三ターン目、相手が先に踏み込む


中速ユニット展開


効果は使わない


問いかけ


カエデは答えない


除去はある

でも切らない


盤面が二体、三体と並ぶ


観客がざわつく


「遅い」


違う


待っている


四体目が置かれた瞬間


カエデは、ここで初めて伏せを切る


――連鎖除去


盤面が、消える


相手は即座に再展開


だがそこで、カエデは“まだ”切らない


読まれている前提で温存していた札


相手が勝負を決めに来た瞬間に差し込む


主導権が裏返る


その後は、音もなく詰み


「勝者、カエデ選手」


歓声は小さい


だが拍手は長い


これは“上手い試合”だった


◆ハルトの試合


序盤から劣勢だった


相手は風メタ構築


速度封じ

先制無効

行動制限


ハルトの得意な展開が、全部一歩遅れる


盤面差が広がる


LPも削られる


観客は察し始める


「これは無理だ」


だがハルトは焦らない


動きが少ない

手札も減らない


ただ耐える


相手が勝ち筋を固定した瞬間


盤面の“形”が出来上がった瞬間


ハルトが初めて本気で動く


温存していた光属性のカードでライフを一気に回復しエースカードを召喚


「つむじ風の王よ!2本の柱を束ね――ここに真の力を示せ!


つむじ風の蝕、ワールドウィンドキング・ジ・エクリプス!」


相手の“完成形”が、崩れる


一手じゃない


三手先まで組まれていた逆転


観客が息を呑む


「なんだ今の…」


最後は静かに詰み


派手さはない


だが一番“怖い”勝ち方だった


三試合終了


レンジは椅子に深くもたれ、

カエデは静かに水を飲み、

ハルトは何も言わず盤面を見ている



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ