表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エクリプスレイン  作者: 鳥雛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/34

第30話 「新たな戦術、風を読む」

地区大会が終わり、校内は静かな余韻に包まれていた。


ハルトは自分の風属性デッキを前に、卓の前で座り込む。手にしたカードを何度もめくりながら、思い返すのは決勝で樹里先輩に敗れた瞬間の光景だ。


「俺、まだまだ足りない……」


頭の中で何度もリプレイされるのは、速度を取り合う樹里先輩の冷静なカードさばきと、エクリプスデッキから召喚された暴風龍デザスターテンペストの圧倒的な力。


その時、リア先輩が軽やかな足音とともに部室に現れた。


「みんな早いな、新弾のカードパック買ってきたぞ」


机の上に置かれたパックから、リア先輩は丁寧にカードパックを取り出す。


「いやぁ新弾と聞いて7カートン買ってきたよねぇ、もちろん自費で!」


「先輩・・・買い方がエグすぎる」


「さぁ1人1カートンずつ開けていいよ、出したカードは全部自分の物だ、販売以外なら部員同士でトレードするも良しだぞ」


ハルトの目が自然と輝く。手にしたカードを見つめながら、自分も同じようにエースを持ちたいという気持ちが芽生えた。


「俺も、エクリプスデッキに新しいエースが欲しい……」


「俺も新しい火属性のエースを入れたいぜ」


「地属性をもっと強固にするんだから」


「俺様の闇属性エース来い」


「はーいじゅりじゅりだよ!今日は新弾の開封動画をやっていくよ!一緒にやるのはお友達の白百合ちゃん!」


「ども!白百合だにゃ~、新しいネコちゃんをお迎えしたいにゃ~」


「あの・・・リア先輩あの二人は一体・・・」

困惑するハルトがリア先輩に聞く


「あー樹里は動画配信しているぞ・・・たまにりりもゲスト出演してるみたいだな」


「なるほどです・・・」

なんとなくの理解をしながらハルトはパックを開封していく


「これは風属性汎用で使えそうだ、これは地属性か後でカエデとトレードしよう」


(先輩のエクリプス召喚強かった・・・俺も新しいエースを出したいな)


その中で、とあるパックから出たSRR仕様の1枚のカードが出てきた。


つむじ風の蝕ワールドウィンドキング・ジ・エクリプス/(0/0/0)/風属性/魔族 (エクリプス)/エクリプス召喚/召喚条件:風属性のアーティファクトを2つ破壊してワールキングをリリースし召喚/UR(SRR仕様)

[先制]相手の速度以上

[貫通3]

[連撃3]

[常時] ●このカードは効果・戦闘で破壊されずフィールドから離れない

    ●相手ユニットが存在する場合ダイレクトアタックできない

    ●エンドフェイズごとに自分のLPをー2する

    ●このカードのATK/LP/SPDは存在せず、プレイヤーのLPと同値になる

●このカードの常時効果は無効化されない


「おおぉぉハルト・・・コレ超ロイヤル仕様のワールドウィンドキングじゃん!すごいキラキラだねえ」

カエデが俺のカードを見てニコニコしている


「私もね良いカード当たったよ!」


その夜、ハルトは自室でデッキを再構築する。手札の順番、速度バトルの駆け引き、アーティファクトの使い方――すべてを頭の中でシミュレーションする。


つむじ風の魔術師やワールキングを中心に、デッキ全体の動きを整理していく。


「ここで速度を上げて……ここでバリアを貼る……」


細かな計算と試行錯誤を繰り返すたび、デッキの完成度が少しずつ上がっていく。


そして、新しいパックから引き当てたカード――風属性のエクリプスユニットの存在を確認したとき、ハルトは拳を握った。


「よし……これなら全国でもやれる」


心の中で、先輩たちとの再戦を思い描く。地区大会で見た樹里先輩の完璧なプレイと、カエデやレンジの戦いぶり――すべてが、自分の糧になる。


「次は……絶対に勝つ。全国では、先輩たちのチームに――俺が勝つんだ」


目の奥が熱くなる。悔しさ、期待、覚悟。すべてが混ざり合い、部室の静寂を満たした。


手札の1枚1枚を心の中で配置しながら、デッキの未来を想像する。


「よし、このデッキなら……絶対に負けない」


地区大会の結果はもう過去のもの。全国という新しい舞台が、ハルトを待っている。


風のカードを握る手に、確かな覚悟が宿った。


――ここからが、俺の本当の勝負だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ