第27話「紅蓮と闇影」
地区大会準決勝。
会場のざわめきが心臓の鼓動のように響く。
レンジは手元のデッキを握り締め、目の前の対戦相手――マックスを見据えた。
「……今日こそ、絶対に勝つ」
相手は強敵であり、憧れの先輩でもある。
火属性ユニットを中心に組んだデッキは、炎の如く攻め立てる戦術だ。
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### ▼1ターン目
●スタート〜ドロー
手札6枚からスタートし、各自1枚をドロー。
レンジ:7枚 / LP10
マックス:7枚 / LP10
●セットフェイズ
レンジ:2体
マックス:2体
(相手も同じくらい2体か……油断できない)
レンジは胸中でつぶやく。
●開示フェイズ
**レンジ**
炎撃のスプリンター (2/1/2)
フレイムドッグ(1/1/2)
**マックス**
ナイトメアプリンス(2/2/3)/闇属性/戦士/SR
[召喚]自分に1ダメージ、闇C+1、このターンの自分への全てのダメージを-1する
[撃破]自分に1ダメージ、闇C+1
シャドウナイト(1/2/2)/闇属性/戦士/R
[常時]このカードが相手プレイヤーにダメージを与えた時、LPを1回復する
召喚時スキル処理
速度順でマックスから。
マックス
「ナイトメアプリンスの効果を発動。ダメージ食らうけど、このターン俺へのダメージは-1だ。クールだろ?」
レンジ
「フレイムドッグとスプリンターの効果で、プリンスを破壊します!」
マックス
「撃破時効果。ダメージは-1で、闇Cだけ乗せるぜ」
速度は入れ替わり、レンジからの行動となる。
●メインフェイズ
レンジ
「スプリンターでシャドウナイトを攻撃!破壊!」
「効果対象がいないので処理なし」
「……ドッグで攻撃してもダメージは通らないか。優先権を渡します」
マックス
「OK。呪印ドローを発動」
「2枚ドロー、コストで2ダメージ。軽減で実質1、カウンターは2だ」
「さて、やることもない。ターンエンド」
レンジは眉をひそめる。
(ダメージを抑えながら、カウンターと手札を増やす……やっぱり上手い)
1ターン目は静かに終わった。
●盤面
レンジ LP10 手札5
フレイムドッグ(1/1/2)
火C2
マックス LP8 手札6
闇C4
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### ▼2ターン目
●スタート〜ドロー
レンジ:手札6
マックス:手札7
●セットフェイズ
レンジ:1体
マックス:1体
●開示フェイズ
**レンジ**
炎の使徒ファイア・エンジェル(2/2/2)
フレイムガンナー(3/1/2)
**マックス**
ダークソーサラー(3/2/2)
[召喚]自分に1ダメージ、闇C+1、このユニットに[バリア1]
シャドウナイト(1/2/2)
闇の精霊ダークスピリット(1/1/3)
[召喚]自分に1ダメージ、闇C+1
[撃破]自分のLPを1回復する
●スキル処理(速度順)
マックス
「自傷2、闇C+2。ソーサラーにバリアだ」
レンジ
「ファイア・エンジェルでバリアを剥がす!プレイヤーへ1ダメージ!」
「さらにフレイムガンナーの効果、2ダメージ!」
一気に削られ、マックスのLPは3まで落ちる。
レンジは一瞬、手札を見た。
発動すれば、さらに押し込める。
だが――自分のLPも削れる。
「……行くしかないか」
火属性カウンターが弾け、自身のライフが削れる感覚に歯を食いしばる。
●メインフェイズ
マックス
「ダークソーサラーでダイレクト」
「攻撃成功時、カオスドレイン発動。与えた分、回復だ」
「スピリットでガンナーを攻撃」
「ナイトは……ダイレクトでいいな」
マックスのLPは一気に8へ戻る。
レンジ
(回復されてしまったか…これじゃ焼ききれねぇ)
「エンジェルでソーサラーを攻撃!」
「フレイムドッグ、ダイレクト!」
マックス
「優先権が戻ったな。ナイトメアドレイン発動」
「闇Cを全て取り除き、LPを6回復する」
●盤面
レンジ LP6 手札4
フレイムドッグ(1/1/2)
火C4
マックス LP14 手札3
シャドウナイト(1/2/2)
闇C0
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### ▼3ターン目
●スタート〜ドロー
レンジ:手札5
マックス:手札4
●セットフェイズ
レンジ:1体
マックス:2体
●開示フェイズ
**レンジ**
フレイムガンナー(3/1/2)×2
**マックス**
《地獄騎士ガラハッド》闇属性/戦士/(4/2/4)
[召喚]自分のライフ-3、闇C+3
[召喚]このターン、プレイヤーの受ける全てのダメージを3減少
[撃破]相手ユニット1体を破壊
《闇の支配者 ルシファル》闇属性/悪魔/(7/5/5)
[召喚]自分のライフ-10、闇C+10
[貫通4]
[先制]
[常時]行動不能・封印にならない
スキル処理。
マックスのエースユニットが2体、盤面に降り立つ。
「地獄の鎧纏いし騎士よ!
その剣を持って敵を粉砕せよ!
――地獄騎士ガラハッド召喚!」
「闇を支配する悪魔よ、
我が魂を喰らいて顕現せよ!
――闇の支配者ルシファル!」
盤面の空気が一変する。
マックス
「ガラハッドでライフ-3。だがこのターン、俺へのダメージは-3だ」
「ルシファルの効果も発動。ライフ-10……これはダメージ扱い、実質7だな」
マックスのLP:4
レンジは盤面を睨み、火属性カウンターの数を無意識に数えた。
(……待て。
ガンナーが2体、生き残れば――)
一瞬、焼き切れる未来が脳裏をよぎる。
レンジ
「……ガンナーの効果じゃ、届かないか」
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### ▼メインフェイズ
マックス
「2体でダイレクトアタックだ」
レンジは息を呑む。
手札は残っている。
だが――突破口が、見えない。
レンジは最後の1枚を、強く握りしめた。
(……さっき使っていれば)
その一瞬の躊躇が、
取り返しのつかない差になっていることを、もう理解していた。
マックス
「よくやったな、レンジ。だが――ジ・エンドだ」
レンジ LP:0
マックス LP:4
一瞬、会場が静まり返り――
次の瞬間、大きな拍手と歓声が巻き起こった。
「日野選手vs最上選手――勝者、最上選手!」
レンジは椅子に深く身を預け、天井を見上げた。
(……負けたな)
悔しさはある。
だが、不思議と視界は澄んでいた。
(強かった。
でも、それだけじゃない)
――自分は、迷った。
勝ちに行く手段があったのに、踏み切れなかった。
レンジは静かに立ち上がり、マックスに一礼する。
マックスは小さく笑い、こう言った。
「その火力、使い切れなかったのが敗因だな。
次は、躊躇するなよ」
その言葉が、胸に深く刺さった。
「次は勝ちますよ先輩!」
レンジは涙を堪え先輩へ返す
ネコアサルトが、まず1勝。
だが――
この敗北は、ただの負けじゃない。
レンジは、仲間たちの方へ視線を向ける。
(……みんな頑張ってくれ)
準決勝は、まだ終わっていない。




