第13話 「水属性」
※この話はエクリプスレインのルール・属性についての説明回です。
ストーリー本編は飛ばしても問題なく進みます。
ルールが気になる方、後で参照したい方向けの内容になります
放課後の部室。
ハルトたちは飲み物を片手にソファへ沈み込んでいた。
すると、扉が静かに開き――
顧問・神崎瑞希が、すっと入ってきた。
「さて……今日はあなたたちに、“水属性”のお勉強をしてもらいます」
一瞬の静寂。
その後、部室中にどよめきが走った。
「先生!? 急にどうしたんですか!」
「授業……?」
「水の騎士王の話ですか?」
「また見合い失敗したんじゃ……」
「シッ……声がデカい!」
ひそひそ声が飛び交う中、瑞希先生はにっこり微笑む。
「違います。今日は純粋に、エクリプスレイン攻略講座です。
――水属性は、知れば知るほど強くなるわよ?」
その瞳には、確かな自信が宿っていた。
■1.水属性の本質 ――“相手が動いた瞬間を制す”
先生はホワイトボードに青いペンで大きく書く。
『水属性=反応・迎撃・アドバンテージ』
「水属性はね、派手さはないけれど……
“相手が何かした瞬間、そこが攻撃チャンス” になる属性なの」
レンジが腕を組んでうなずく。
「確かに……火は攻め、風は加速、土は守り。
水だけは唯一、“相手の行動を利用する”って感じがしますね」
「そう。それが最大の特徴。
速度は遅いし、召喚時に派手なスキルも少ない……けれど」
先生は指を立てる。
「水属性は“手札から飛んでくる魔法”が本体なの」
ハルトがメモを取りながら言う。
「インスタント魔法が多めですよね?」
「そう。それも種類が多いのよ。
攻撃無効化、バウンス、行動制限、回復、ドロー、魔法サーチ……」
マックスが真っ青になる。
「それ全部、相手ターンに飛んでくるの!?」
「ええ。
だから、あなたみたいな“脳筋特化デッキ”は相性最悪ね」
「うっ……!」
部室の笑い声に先生は微笑む。
■2.代表カードの紹介
「では、主要な水属性カードを説明するわね」
瑞希先生がカードを取り出す。
その仕草には、普段のふわふわした雰囲気からは想像できない鋭さがあった。
●《アクア・メイジーナ》
「この子は水属性の基本。
召喚時に“魔法カードを1枚サルベージ”できるわ」
樹里がうなずく。
「つまり、使い回しが前提のカードですわね」
「その通り。他属性ではほとんど見ない動きよ」
●《潮呼びの使徒 タイドラー》
「召喚するとデッキから水魔法を1枚サーチ。
速度は遅いけど、手札が切れにくくなるわ」
リリ先輩が目を輝かせる。
「こういう安定行動、好きです……!」
●水属性魔法の代表
先生が3枚の魔法カードを掲げる。
●《逆潮の渦》
相手が攻撃宣言した時に使用。
攻撃モンスターをバウンスし、1ドロー。
「一番有名ね。これを持っているだけで相手が殴りにくくなるわ」
●《水流の拒絶》
相手の召喚時スキルを無効化し、そのモンスターの速度を-2。
マックスが顔をひきつらせる。
「な、なんだそれ……俺のダーク騎士が出落ちするじゃねーか!」
「ええ。だから言ったでしょう?あなたとは相性最悪だって
しかもこれカウンター魔法だから相手が先手でも使えるわ」
●《アクア・シェルター》
相手攻撃時に使用できる防御魔法。
自分のモンスター全体に1ターンのバリア。
カエデが目を細めて言う。
「地属性の守備とはベクトルが違いますね……
相手攻撃時から形を作るタイプですか」
「そう。水属性は“待つ戦い方”ができるの」
■3.水属性の強みと弱点
先生は板書を増やしていく。
強み:とにかくアドを失わない
「魔法で1ドロー、魔法を手札に戻す、サーチ……
コストも軽いし、とにかく息切れしないわ」
弱み:相手が動かないと始まらない
「逆に言えば――
“相手が何かしないと動けない” のが弱点ね」
トリガー型の魔法が多いため、受動的に見える。
最大の特徴
「やはり水の騎士王ウォータ・ペンドラゴン様の存在よ!」
先生の頬が僅かに赤くなる。
「……ちなみに、私は彼のビジュアルがとても好きなのよね」
(また始まった……)
と部員全員が心の中で一斉に思った。
■4.実戦シミュレーション
先生はチョークで盤面図を描く。
「簡単な例で説明するわ」
相手攻撃宣言
→ 逆潮の渦 を発動し、相手をバウンス+1ドロー。
相手召喚スキル
→ 水流の拒絶 で無効化。
状況が整ったところで
《タイドラー》でサーチ → 《メイジーナ》で回収。
「こうして、魔法を絶やさず、相手の動きに合わせて干渉する。
それが水属性の戦い方よ」
■5.水属性の精神論
先生は胸の前で指を組む。
「水属性は“自分のペースで戦える人”ほど向いてるわ。
焦って攻めるタイプだと扱いにくいの」
マックスが肩を落とす。
「完全に俺のことじゃねぇか……!」
リリ先輩がくすっと笑う。
「落ち着きがある人には、これ以上ない属性よ」
樹里が静かに言う。
「ええ。おそらく、私も向いているタイプですわね」
■6.最後に――瑞希先生の暴走
瑞希先生がいきなり真顔で言った。
「ちなみに……私の推しは」
部員たちは(あー来た)と構える。
「水の騎士王――
ウォーター・ペンドラゴン様です」
全員(ですよねーー!!)と心の中で叫ぶ。
先生は夢見るように続ける。
「いつか……彼みたいな人に迎えに来てもらいたいわ……
できれば白馬に乗って……」
マックスが小声で囁く。
「また見合い失敗したんじゃね……?」
レンジも小声で続ける。
「今月二回目だろ……」
リリ先輩が慌てて注意する。
「しっ、聞こえますわよ……!」
しかし、先生はため息をつきながら言った。
「……まあいいわ。話を戻しましょう。
水属性は“戦況を読む力さえあれば無限に強くなる”。
あなたたちも……いつか、この深みに気づけるはずよ」
■7.終わり ――静かに波紋が広がる
授業が終わる頃、部室は静かな興奮に包まれていた。
ハルトはペンを握りしめる。
(……水属性、こんなに奥深かったんだ)
レンジはカードケースを開きながらうなる。
「大会で水使う相手はヤバいな……」
マックスは頭を抱える。
「俺……絶対これ苦手だわ……!」
樹里とリリ先輩は目を輝かせていた。
「理論が整っていて素敵ですわ」
「学ぶことが多くて、楽しいです……!」
そして瑞希先生が締める。
「以上が水属性の講座よ」
ハルトは胸が熱くなるのを感じた。
大会が近づく。
カードの理解も深まっていく。
水属性の深淵を知ったことで――
またひとつ、世界が広がった気がした。




