第7話:最終決戦、カウンターの極み
中央王国と魔王軍の決戦が始まった。魔王軍の勢力が圧倒的で、戦線は一瞬で混乱し、戦士たちは次々と倒れていった。魔王軍の奇襲によって、砦の壁は崩れ、地面は揺れ、上空には異形の魔物が飛び交っていた。
リリィは、その場で奮闘していた。数体の巨大な魔物に取り囲まれながらも、彼女は冷静にその動きを読み、ひとつひとつの攻撃をカウンターで返していった。目の前に現れた魔物たちを、まるで剣舞のように華麗に切り裂き、8体もの魔物を一瞬で地面に叩きつけた。しかし、彼女の戦いが終わる暇もなく、次々と強大な敵が現れ、リリィは押されていく。
そして、ついに、その時が来た。背後から、魔王が現れ、リリィを無防備な状態で殴り飛ばした。魔王の一撃は強力で、リリィは砦の壁に叩きつけられ、血を流して動けなくなってしまう。
「リリィ!」 女騎士が駆け寄るが、すでに戦況は悪化しており、他の兵士たちも戦いに忙しく、誰も彼女を助けることはできなかった。
絶望的なその瞬間、突如として響く声があった。
「よぉ! 魔王さんよ!」
その声に反応するように、辺りが一瞬で静まり返った。その瞬間、砦の遠くの方から、一筋の光が飛んできた。主人公—レオンが、目の前に現れたのだ。
リリィの目に映ったのは、かつての仲間、あの笑顔を見せた男の姿だった。記憶が一気に蘇る。釣りをして、肉を焼き、笑い合ったあの日々。あの温かな時間、そしてあの刀、あの瞬間のカウンター。
「レオン…!」
リリィの意識が遠のく中で、その名前が心の中で響いた。そして、レオンは立ち尽くすことなく、一瞬で動き出す。彼の目にはただひとつ、目の前の敵を倒すという決意が込められていた。
魔王が笑みを浮かべながら、巨大な力を込めた一撃を放とうとしたその瞬間、レオンはその一撃をひらりとかわすと、まるで流れるような動きでカウンターを放った。その刀が魔王の腕を切り飛ばし、魔王は悲鳴を上げる。
「今だ!」 レオンの声が響き渡る。
そしてその瞬間、砦の中に、他の王国の兵士たち、さらには神龍と黒龍が現れ、戦況は一変した。レオンの仲間たちが次々と魔王軍の兵士たちを蹴散らし、中央王国の兵士たちも再び立ち上がった。
「全力で戦え、俺たちがついている!」 レオンの声が、全ての兵士に力を与える。
レオンは、そのまま魔王の攻撃を予測し、完璧なタイミングでカウンターを仕掛けた。魔王の必殺技、最強の一撃が彼に向かって放たれたが、レオンはそれをひとひねりで受け流し、反撃を加えた。
カウンターの技が、魔王の体を貫いた。
「これで終わりだ!」
その瞬間、魔王の体が崩れ、彼の膝が地面に落ちる。レオンはそのまま、倒れた魔王に近づき、刃を一突きに加えた。
「勝った…!」 その言葉とともに、魔王はついに命を落とした。
戦いは終わった。リリィの意識が戻り、彼女は目の前で戦い終わった主人公を見上げ、震える声で呟く。
「レオン…本当に、あなただったの?」
レオンは微笑んでリリィに手を差し伸べる。「お前が思い出してくれたからこそ、俺もここに来たんだ。お前が守りたかったから。」
リリィはその手を握り、彼に引き寄せられるように抱きしめられた。彼女の目には涙が溢れていたが、その涙は悲しみではなく、感動と嬉しさが入り混じったものだった。
「もう一度、全部取り戻そう。お前と一緒に、戦ってきたあの日々を。」
その言葉を最後に、二人は再び、未来へと向かって歩き出した。