表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

勝手

作者: 明石

私はある日の朝方、出勤前の父親に注意をした。「流し台で痰を吐くことをやめてくれ。」つい数十秒前にそんな汚いことをしていたからだ。すると父親は面倒くさそうにしながら「わかったわかった。」と言った。しかし、父親はわかったと言いながらもぶつくさと文句を垂れる。私は「汚いからやめてくれ。」と当然のことのように言った。しかし、父親はこの事実を気に食わなかったのだろう。怒りながら「いい加減にしておけ。」などと言い放つ。私はその言葉に「何故、こちらがその様な事を言われなければならないのだろう。」と思った。流しに痰を吐くという衛生上、汚い事を止めるためにという正義をかざして言ってやったというのに。その後、この騒々しい音を聞いて母が起きてきた。すると母は「朝っぱらからうるさい!何時だと思ってるの!」というどこかで聞いたようなセリフを言う。その後父親は色々と小言を言ったがそのまま出勤して行った。部屋に残った私と母。母に何故このようになったかを聞かれ事の顛末を話した。母はこのことを聞いて「あれには何回もその事を言っているが聞いてはくれないから放っておけ。」と言われた。そして、寝床に戻った母は朝っぱらから大きな声で「本当にあの二人は。」と言葉を残し、就寝した。ここで私はまた、疑問が生まれる。「何故、自分もその枠に入れられて居るのだろうか」と。私は正義のためにそのような行為を仇なす悪を誅する為だったというのに。私の行為は悪だったのだろうか?いや、そんな事は無いはずだ。何故なら前から母に何度も注意されていた事であり、衛生上良くない為だ。そんなわかりきったことがまともに出来ない父親にだけ母はその怒りをぶつけるべきだ。そう考えていた。しかし、ふと冷静になった時。もちろん父親が悪いという考えは変わらないが、正義を振りかざしてTPOを弁えない事はその正義で許されるのかと。そんなものを正義と呼んでいいのだろうか。私はそのように思えなくなった。母親もそうだ。一見うるさい私と父親に対しての注意を込めての声量だと考えていた。しかし、わざわざ大きな声で言うというのはそれはただの嫌味ではないのかと。父親なんかは特にそうだ。自らのことしか考えないようなゴミだ。そんな事を考えたとき私が行った注意というのは正義を盾に自らのエゴを振りまいていたのではないかと。私は本当に正義の元に行動をしていたのだろうか。未だ答は出ない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ