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【完結】推しが婚約破棄されたので、悪役令嬢(透明人間)になって復讐いたします!  作者: 優月アカネ@重版御礼
第三部

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13

 敵勢は六名。バロンド侯爵を加えれば七名だ。

 さっと場に目を走らせて状況を把握した公爵様は、着ていた旅装マントを剥ぎ捨て、隠していた剣を引き抜いた。


「僕に傷一つでもつける自信のある者は、相手をしてあげよう。かかってきたまえ」


 相手は現役の将軍だ。勢い込んでいた私兵たちはぐっと胸が詰まったような表情をして、一瞬迷いを見せた。

 その隙を公爵様は見逃さない。大きな一歩で距離を詰め、躊躇なく剣を振り抜いた。真っ赤な血飛沫がパッと散って、冷たい灰色の床にパタタタッと血痕が飛ぶ。

 斬撃を受けた兵士は、何が起こったか分からない表情のまま、がくりと膝をついた。


「っ、くそっ!!!!」

「一斉に行くぞ!!!!」


 やらなければこちらが殺される。五人という人数がこれ以上減る前にカタをつける必要がある。

 瞬時にそれを理解した兵士たちは、一気に公爵様に斬りかかった。

 公爵様は素早く守りに転じ、五つの剣を華麗に受け流していく。軽やかな足さばきで身をかわし、振りかかる剣筋を跳ね飛ばす。


(すごいわ、公爵様っ!)


 さすが将軍様。見とれてしまうぐらい素晴らしい動きだ。

 侯爵がこの場に招集したぐらいだから、相手の兵士も手練れなのだろう。けれども五人かかったって公爵様は一歩も押されていなかった。


 ◇


 ところが、数分が経つと状況が変わってきた。

 あれから公爵様は二人を倒したものの、顔には明らかな疲れが見え始めていた。何度も剣の柄を握り直したり、目に流れ落ちる汗を拭ったり。ちょっとした動きが増えて動きに雑味が混じり始める。


(それはそうだわ。だって相手は五人だもの。無傷で立ち向かっていることが奇跡よ)


 相手は公爵様より若いうえ、なにより複数人だから疲労の度合いは段違いだ。

 それでも公爵様は太刀を凌いでいたけれど、とうとう鋭い一撃を利き手に受けてしまった。


(――――!! 公爵様っ!!)


 あっという間に二の腕に血が滲み、一瞬顔を歪めた公爵様。けれども腕を全く気にすることなく剣を振るい続ける。

 とはいえ負傷した腕では明らかにパフォーマンスが落ちていた。ついに公爵様の剣は弾き飛ばされ、喉元には鋭い剣がつきつけられた。

 

 三人の兵士と公爵様の、荒い息づかいが響き渡る。

 バロンド侯爵だけが、悪魔のような笑みを浮かべていた。


「退け。私がとどめを刺す」


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[一言] 公爵様ぁぁぁぁーーーーッッッッ!!!!?(;゜Д゜)
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