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バイト‼︎2話  作者: 薄荷水
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大学生のケイくん

バイト先では、上司と同僚2、3人で作業をするのだが、同じ仕事でもそれぞれ少しづつやり方が違って面白い。

性格やこだわりに気がつくと、なぜそのような事をしているのかが分かってくる。

使うタオルの種類もそれぞれ好きな素材や形を選んでいる。

そんな時、車の後ろのドアを開けて作業していたはずなのに、ドアの内側が拭かれていない事があるコウくん。

何故ドアの内側を拭かないのですかと聞けないチキンな私。

仕事をしながら、その理由にやっと気がついた。

彼は、ドアの内側を拭くためにドアを開けているのではなく、ドアの下の表面を拭くためにドアを持ち上げているのだ!

分かってみたら普通の事。

私は屈んで拭くが、身長の高い彼は屈むより持ち上げた方が拭きやすいのだろう。

時々全部上にドアが上がっているから、ドアの内側を拭いているのかと勘違いしていた。

聞いた方が早い事もあるが、仕事の仕方は人それぞれ。

最終的に、早くキレイに車が洗い上がれば良いのだし。

そう思いながら、タイヤにワックスを塗りつけた。


「ケイは悪いやつですからねー」


美形毒舌キャラの大学生フウくんが、車のボディーをふわふわミトンモップで洗いながら言った。

人懐こいフウくんとはこの1ヶ月シフトによく入っていた。

フウくんは、欲しい車の頭金を貯めるために、バイトして少しずつ貯金しているそうだ。学業を修めつつ、卒業までに車の頭金を貯めておこうという堅実さが好印象だった。


フウ「私さん、まだケイと会ってないんですよねー、ほんと気をつけてくださいよ〜」


私「そうなの!挨拶とか無視される感じかな?」


フウ「そこまでのわる、ヤンキーではないですー」


私「良かったー?」


ケイくんの悪さに若干怯えつつ、まだまだシフトには入る予定がなかった私は、少し安心していた。

にもかかわらず、突然ケイくんがシフトに入ったのである。

通り過ぎた一瞬、フウくんと見間違えた私は、


「今日はフウくん入ってたんだ。」


そう思っていたので、ケイくんが来た時に誰?となった。


上司「はじめましてだよね、ケイくんです。

こちら私さん。」


簡単に自己紹介を交わした。


この人があの噂のケイくんかー!

何に気をつけたらいいのか分からないけど、気をつけよう。

涼しげな大きな目元のケイくんは、初対面と言う事もあり、悪には見えなかった。

世の中に悪いやつはたくさんいるとは思うが、今までそのような人と関わる事が少なかった私は、特にケイくんの事を悪いやつだとは思わなかった。

初対面で色々質問してくれたしね。

話をしていて、思ったより普通の人だとも思っていた。

まぁ、悪いやつだと警告というか前振りがあった後だから、想像力を働かせすぎただけだと思う。

それよりも何だか話していて馴染むというか、落ち着くというか…多分癒されている。

声のトーンがいいし、何だか今話題の俳優さんにも似ている気がする。

それに、目をじっと見つめてくる。

ほんとに焦る。

7秒間目を合わせると相手を好きになるという、心理行動があるとかないとかを思い出して、そっと目を逸らした。

やばい。

ちょっと好きになりそう。

フウくんの言っていた、悪いやつの意味が少し分かった。

女たらし系かー!


しばらくして、フウくんとシフトに入った時に、ケイくんの話になった。

そんな悪いやつだとは思わなかったと話した。

そして、つい恋愛小説に出てくるような言葉を言われたと、出会った時の発言を口にしてしまった。


フウ「女だっら誰でもいいやついますんで、ワンチャンあるかもしれませんね!」

怒ったような吐き捨てるように言われた。


え?

怒った?

友達の悪口を言われたと思われたのか!

それに私もキモい事言った感じになってる!

ちょっと待って!

男女逆転して考えると、若い女子大生の発言に46の中年おっさんが色恋話してるみたいになってる‼︎

ワー!めちゃくちゃ反省しなきゃ!

これって私からフウくんへのセクハラみたいなってる!

アー!ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!

職場環境を悪化させるような事を言ってしまった…

しばらく無言で車を洗い続けた。


ワンチャンって何だ?

えっ?私の方がケイくんの事を狙ってる感じに思われたのか?

まぁ確かにちょっといいなって…違う違う違わなくもないかもしれなくもない。

でもでもでも!えっ!

ワンチャンってどういう意味?

ぐるぐる考え続けて、やっと覚悟を決めた。


私「フウくん、あの、私ね、一緒に働いてるみんなをとても大切に思ってます。だから、そんなケイくんと変な事にはならないから大丈夫です。

心配かけてすみません。」

ちょっとカタコトになりかけながらも、ものすごくまじめに話しかけた。


フウ「そうっすか!」

いつもの軽やかなフウくんに戻っていた。

バイト先には、同じ大学の学生が何人かいた。

みんな友達だったり、後輩だったりと繋がりがある。

そんな人間関係の中での失言に、反省した。


「ケイは、言い回しが恋愛小説なんですよー」


そう話したのは、大柄でおっとりした感じのMr.くんだ。雑学が豊富で頭の回転が早く、話していて面白い。実はフウくんと話す前にMr.にも話していたのだ。(デリカシーなくてすみません)


「恋愛小説みたいな事が、普通だとないって分かってないんですよ。ないから(みんな)小説で楽しんでるんですよね。」


その現実的な話にそうだねと相槌を打ちつつ、Mr.も恋愛小説みたいな事に少し憧れもあるようにも思えた。

恋愛小説で楽しめる事は、あくまでも読み側の想像の範囲内で、実践は想像よりもかなり刺激的だ。

悲しみはより深く、喜びはより…

いつもそんなに好きでもないのに、断れないで何となく恋愛関係になっていた私には、高度な恋愛は無理だ。


結婚もほぼ押し切られてした。

夫とは、ちょっと付き合ってどんな人か知ろうかな位に思っていた。でも付き合って1ヶ月で、他にもそんな感じで付き合っている人がいると話した。ちょっと束縛が強いかなと思いだしていたから。

そしたら、

「こんなに君を好きにさせておいて、今頃そんな事を言うなんて!嫌いになんてなれない。他は別れて!今すぐに電話して!君が俺の事を好きな気持ちよりも、俺の方がずっと君が好きだから結婚して!」

怒られて怖い気持ちと、こんなに私が好きなのかいう気持ちになった。

他にこんなに私を好きになってくれる人は、この先現れるのかと、その時思ってしまった。

頭の中がお花畑にもなっていたのだと思う。

束縛の強さはやはり苦しいと思う事が多かった。友人との関係をほぼ全て切らされた。理由は、過去の恋愛について知っている人と交流を持って欲しくないから。

夫は、今で言うところのモラハラなんだと思う。

仕事も、結婚すると不倫をしたい男達が近づいてくるという理由で、しばらくして辞めた。

すぐ辞めなかったのは、抵抗したかったから。

しかし、中国地方から青森への転勤話になり辞めることになった。

まぁ、交際中に他にも付き合っている人がいるなんて聞いたら不安だろうとも思う。でも、結婚前は自由恋愛期間なんだよと口に出しそうになったがやめた。

恋愛についての価値観は人それぞれ。

だから、恋に落ちたという感じで結婚したわけではない。罠にかかったような罠にかかりに行ったような、縛り縛られる関係になりに行ったのだ。

結婚という呪縛に。

恋愛とはまた違う安心感が欲しかった。

強い絆のような関係を持つことが、お互い縛り合う事と勘違いしていた。そして勘違いに気がつく時が来る。


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