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ペナルティギフトと呼ばれたBRD  作者: 猫又花子
第四章 アシエラプトル編
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56. スッコロビ睡眠とアイテムボックス

 2時間後、フィリアさん、ガイアさん、スマイルさんは二日酔いが治るまで静かに過ごすことになった。 今後の探索にはかなりのリスクが伴う可能性があるから当然なことだ。

 そんな中僕はサトリさんに投石キャットの戦で得られた情報をこっそりと相談してみることにした。


「サトリさん、相談したい事があるんですが今いいですか?」


「ゲームの事かい?」


「ち、ちがいます! ……それよりも遥かに重要な事です」


「……ふむ。 それは何なのかな?」


「えっと、投石キャットの石攻撃なんですが、実は魔法でした」


「ほう、それは新しい発見だね。 投石キャットは特殊な空間倉庫で石を入れたり出したりしているというのが定説だったんだ」


「僕もそう思ってました。 だけど僕の<識別ボード>で空いていた欄のレベル1から3までの3箇所が新たに埋まったので明らかに魔法です。 それが何の魔法かは分からないですけど」


「ということは、新種魔法の可能性が高いということだね?」


「はい。 そうです」


「アスナちゃんの<識別ボード>でも同じだったのかい?」


「はいお兄様。 私の一覧表も同じでした」


「なるほど、未発見の魔法なんだね。 う~ん、石を頭上に出現させる点から考えると、それは水生成と同じような石生成魔法かな……。 それでカイン君には使えないのかい?」


「ええ。 今は使えそうにないです。 だから非公開のステータスが関係していると思うのです」


「なるほど。 非公開ステータスを使う未知の魔法ね。 それは非常に興味深いね。 ところで君は非公開ステータスの修練もやっていたよね。 修練の進捗はどうなんだい?」


「それが、その、ステータスは今99で、あと2時間ほどで100になるんです。 そしたら魔法が使えるかもしれないです」


 サトリさんが息を飲むのが感じられた。 未知の魔法発見まで後2時間程なのだ。



「それは、……確かに珍獣カインゲームとは比較できないくらい重要だ。 で? 事前に実験をする必要があるということだね?」


「さすがサトリさんです。 おっしゃる通り実験がしたいので相談したんです。 でもどうやって実験したら良いか決められません。 隷属魔法や今回の投石キャットの魔法、そしてスッコロビの睡眠魔法も使えるようになったのかもしれないので」


「なるほどスッコロビの睡眠魔法か……、それは確か寝かされた者はちょっと叩いただけでは起きないのに、水を掛ければ起きると言う魔法だったかな? 海の魔物が使うにしては水で無効化されるという、中々ユニークな魔法だったかな?」


「はいそうです。 スッコロビの睡眠魔法で寝かされると、ちょっとしたダメージでは起きないんですが、水滴程度の水で解除されます。 またスッコロビは水生魔物なのは確かなのですが、アタルタリア王国の言葉を解するようで、馬鹿にすると真っ先に狙われるんです。 また寝かされたまま放置されると稀にHPがゼロになる場合もあるようです」


「ダメージを受けても起きない睡眠か、もはやそれは気絶させる魔法みたいなものだね。 ……使えればかなり有効な戦闘手段となりそうだ。 これは是非とも実験が必要だね」


「そうなんですよ。 それでどうしたら良いかと思ってるんです」


「実験台が必要ということだね。 う~ん、まずは睡眠については危険だから魔物に効くかどうかからだね。 そして隷属魔法か、……隷属魔法ならフィアちゃんが解除できるから、対象は誰でもいいかもね」


「投石キャットの新魔法は?」


「石生成魔法の可能性がある魔法だね……。 う~ん、これも危険だからまずは魔物で試すことになるね」




 そしてお昼ご飯を終えて、改めて今日の活動方針会議となった。 もちろん仕切りはサトリさんだ。


「さて今日のこれからなんだけど、暫く観察して投石キャットを討伐するか、それとも直ぐに町に戻って報告するかを決めないといけないね」


「俺は、……そうだな。 討伐はできるだけ早めに進めた方が良いと思うな。 投石キャットは増えると大事だし、空間倉庫ももっと獲得できるかもしれんからな」


「スマイルちゃんもそう思いまっす。 特に空間小袋とか空間倉庫が大事だと思うのです」


「私も、そうね~。 このまま町に戻ってから再びここへ帰って来るまでの間で、投石キャットがどれだけ増えてしまうか心配だわ。 わたしも討伐に賛成よ」


「カイン君とアスナちゃんは、それでいいのかい?」


「僕としては危険なのは嫌なんですけど、新魔法の実験次第ではやってもいいかなと思います」


「私は、……カイン兄ちゃんの実験結果が知りたいです」


「お? 新魔法? 実験ってなんだ? なんだかわからんが嫌な予感がするが、戦力が上がるなら協力すべきだな」


「スマイルちゃんは協力するのですぅ」


「カインちゃん。 私も協力するわ。 何をすればいいの?」


「ではカイン君の実験を先にしてから、投石キャットの件は決めるということでいいね?」


「 「はい」 」

「おう」

「いいわ」

「いいで~す」



「では、実験を開始しよう。 実験台だが、……ガイアがいいかな。 パーティの盾役で一番頑健だからね」


「お、おう。 Lv1とかLv2程度の魔法なら大丈夫だぜ。 俺に任せておけ」


「はい。 では、隷属魔法Lv1を試しますね」


「ええっ? ちょっと待て。 待て待て待て。 隷属魔法って隷属化の奴か?」


「ええそうですよ。 じゃいきますよ」



 言うや否や僕は容赦なく隷属魔法Lv1をガイアさんに使ってみた。



「ちょっ、何だこれは! うげっ!」


「……」


「ガイアさん。 僕に、”カイン様、アシエラプトルと間違えてごめんなさい” と言ってください」


「うぐっ。 カイン様、アシエラプトルと間違えてごめんなさい……」


「……」

「……」



「これは効いてますね」

「そうだね、効いてるね。 それじゃあ、フィアちゃん解除してやってね」

「わかったわ」


 フィリアさんの状態回復魔法が発動し、ガイアさんは隷属化から解放された。



「カ、カイン。 詠唱無しで瞬時に隷属化か! お前って実は恐ろしい奴だな。 これはどう考えても凶悪すぎるぜ」


「カ、カインちゃん。 スマイルちゃんは、カインちゃんの味方なのです」


「……」



「それでは気を取り直して、カイン君、次をやってみようか?」


「ちょっと待て。 カインの恐ろしさはよ~く分かった。 今度はスマイルの番ってことで良いよな?」


「ええっ! スマイルちゃんは痛いのと恐ろしいのは嫌なのです。 ガイアは痛いのも恐ろしいのも平気なの~。 ガイアにやっちゃって~」


「す、スマイル。 お前は俺を裏切るのか? この裏切り者!!!」


「……」


「……だから、アスナ以外にスタン技は使えませんって。 それに今度のは危険なので、まず魔物に試してからにします。 サトリさん、それで合ってますよね」


「そうだね。 適当な動物か魔物を捕まえて、それを相手にして実験だね」


「そ、そうか。 それは助かるぜ。 それで、その危険なのってどんな魔法なんだ?」


「えっとですね。 まずは、スッコロビの睡眠魔法がいいですかね」


「なに? カインお前って、やっぱり魔物の一種なんじゃないか?」


「ガイアさん。 何か言いましたか?」


「い、いや何でもない。 忘れてくれ」


「……」



「う~ん、カイン君。 隷属魔法は当面禁止でお願いするよ。 これじゃパーティに影響があるからね」


「はい、分かりました。 禁止にします。 僕も隷属化されたことがあるので、嫌なのは身に染みて理解しています」


「ああ、助かるよ。 それじゃスマイルちゃん、魔物か動物を探せるかい?」


「え~と。 直ぐそこに猫がいますよ~」



  僕らは一瞬ギクリとしたが、それは普通の動物――狂暴な部類だが脅威とも言えない山猫だったので安心した。


「ではやってみますね」


 猫が逃げないうちに直ちに睡眠魔法を使おうとしたが、僕の期待を裏切り不発となってしまった。



「す、すみません。 睡眠魔法は使えないようです。 駄目なのかもしれません」


「そういえば、カインちゃん。 結界の中からは睡眠魔法も攻撃魔法だから、使えないんじゃないの?」


「ああっ、そうでした。 ちょっと外へでてやり直します」


「カインの隷属魔法は結界内でも発動したけどな!」



 ガイアさんが何か言ったようだが、構わずに山猫へ隷属魔法を使ってみた。



「あ、あれ? すみません。 使えないようです」


「……」


「カインお兄ちゃん。 なぜ山猫を隷属化しようとしたの?」


「ああっ! そ、そうか! 山猫には隷属魔法は使えなかったね。 ハハハ、実験大成功だ!」


「カイン君。 隷属魔法は使わないって約束したばかりじゃないかな?」


「……」


「……すみません。 ガイアさんが隷属魔法がどうとかいうから睡眠魔法と間違えてしまいました」


「カイン。 お前俺のせいにするのか?」


「い、いえ。 そんなことは無いです。 すみません結界内のミスで焦ってしまって……、 あ、そうだ、簡単には発動できないように隷属魔法の回路に専用のロックを掛けておきます」


「わかった。 カイン君。 それでは二重にロックを掛けておきたまえ」


「はい。 わかりました」



 皆が僕をじとりとして目で眺めてくる中で僕は隷属魔法に二重ロックを掛けた。 要するに<ボード>上の2箇所以上を結線しないと発動できないようにしたのである。 これでミスは無くなるはずだ。

 そして山猫に向き直ったとたんに山猫が僕に牙を向いた。


 にゃぁ~おぉ~~。


 その威嚇に僕は怯んで、反射的に睡眠魔法を使ってしまった。



「あ! また間違えたっ!!」



 狼狽えてしまい、間違えてないのに間違えてしまったと叫んでしまった。


 しかし山猫は眠ってしまった。

 皆が僕に呆れているのがわかる。

 僕は度重なる失敗に気まずさと恥ずかしさで頭がクラクラしてしまった。



「ア、アハ、アハハ。 ほ、ほりゃ成功し、した」



「……何はともあれ、寝かせが成功したようだね。 それじゃ試してみるよ?」



 サトリさんは、周囲に落ちている小石を拾って山猫に投げた。


 コツン。


 山猫の額に小石が当たったが、山猫はそのまま倒れてままで寝ている。



「ほぅ、起きないね。 スッコロビの魔法と同じように深い睡眠状態になるようだ。 ここまでは成功と思って良いね。 それじゃカイン君。 水を掛けてみてくれたまえ」



 僕は気を取り直して、水生成魔法Lv1を山猫の頭上に使った。


 パシャッ。


 ギャオオ~ン。



 水が山猫に掛かると瞬間に山猫が悲鳴を上げて逃げてしまった。

 僕は山猫の悲鳴に驚いてて、またも狼狽えたが、今度は直ぐに気を取り戻せた。



「……成功だね。 水を掛けると目を覚ますね。 それでは……」


 サトリさんはガイアさんに目を向けた。



「お、おい。 待て。 まさか俺を実験台にして寝かせようってんじゃね~よな?」


「……ガイアさん。 そんなことはしませんよ」


「そうは言っても、カイン君。 いつかは人に使うことになるかもなんだよ? 何事も事前に実験しておかなければならないと思うがね?」


「イヤイヤイヤ、サトリ。 何か起こったらどうすんだよ。 危ないじゃねーか」


「その時には、万一HPがゼロになっても、フィアちゃんがレイズを……」


「いえ、サトリさん。 今は止めておきたいです。 これを人に使うときは倒す気で使います。 それより、動物や魔物がどの程度寝るかを確認したいです」


「なるほど、それもそうだね。 人へ実験は一旦保留にしておこう。 では実験の続きだが、スマイルちゃん、魔物か動物の発見を頼むよ」



 それから1時間ほどの間にスマイルさんが見つけ出したオークに睡眠を掛けて放置した。

 ところがオークは、40秒程で目を覚ましてしまった。 そして起きたとたんに僕に敵意を向けて怒ったように咆哮してきた。


 がぉ~~。


「ちょっ、スッコロビのはかなり長い時間寝かせられるのに!」



 僕はつい不満を口にした。 オークが向かって来た。 だが距離があるためガイサさんは身構えるだけでまだ対応はしない。


「カイン君、もう一度寝かせられるかい?」


 僕は再度睡眠魔法をオークに使った。

 問題なく今度も寝かせは成功したが40秒ほどでオークは目を覚ましてしまった。



「カイン君、もう一度、そして起きる前に重ねられるかを見てくれ」


「はい、わかりました」



 結論としてスッコロビの睡眠魔法は重ね掛けが可能だった。 さらに睡眠耐性が付くわけでもなく、何回やっても睡眠させることが可能で、効果時間は40秒位だった。 それはオーク以外の魔物や動物に試しても変わらなかった。



 スッコロビの睡眠魔法に関する一通りの実験は終わった。 次は投石キャットの魔法の番だ。



「では最後にアレの実験だね。 カイン君いいね?」


「はい。 ガイアさんでいいですか?」


「ああ、いいよ」


「ちょっと待て! 前から思っていたんだが、お前ら俺の扱いが雑じゃないか? せめて何をするか教えろよ」


「えっとですね。 投石キャットが使ってた魔法です。 恐らく石生成魔法じゃないかと思うんですが、ガイアさんなら頭上に発生させても耐えられると思うので、大丈夫かと思います」


「いやいや、それなら、俺の頭上じゃなくてその辺へ出して見ろよ。 俺を攻撃する必要は無いだろ?」


 僕はハッとした。 確かにガイアさんのいう通りだ。



「ハッハッハ。 そうだね、その通りだ。 つい僕も、実験台ならガイアだ!って考えてしまったよ。 すまない」


「しょうがねーな全く。 ほれカイン、あの岩の上へ石を出して見ろ」


「はい。 わかりました」



 僕は岩の上に向けて投石キャットの魔法を使ってみた。

 すると何か変な感覚が僕の中で芽生えてしまった。



「あぐっ! こ、これは!!」


「ん? カイン、何も起こらねーぞ。 失敗か?」


「いえ、成功しました。 だけどこれは……」


「なんだよ、早く答えろよ」


「えっとですね。 空間小袋が使えるようになりました」


「お前が空間倉庫を持ってるのは皆知ってるぞ。 今更何を……」


「違うんです。 僕の感覚の中に空間小袋が出来たんです。 容量は10リットル位です」


「何を言っていr……」


「カイン君。 もう少し詳しく説明してくれるかい?」


「はい。 ええと、普通の空間小袋や空間倉庫は、ワッペンみたいな物ですよね? でも僕のこの空間小袋は感覚なんです。 何というか、……ほら、思ったらできるみたいな。 え~と、喋ろうとすれば喋れるみたいなものです。 この魔法の空間小袋は僕の一部になりました。 僕を裸にしてもその空間小袋を見つけられませんし、奪うこともできないと思います」


「……なるほど。 それでその空間小袋――魔法の空間小袋は、それ以外に普通の空間小袋と違いがありそうかな?」


「ちょっと待ってくださいね。 確かめてみます」



 皆に暫く待ってもらうことにして、その魔法についてアレやコレやを試してみた。

 暫く僕は修練魔法を手動でやっていた時のようになった。 傍目(はため)からみればボーっとして口と目を開けて寝ているように見えるのかもしれない。 そして試行錯誤を一通りやり終えた僕はにっこりと微笑んだ。



「どうだった? 何かわかったかい?」


「えっとまず出し入れにMPを使います。 出す時も入れる時も一緒です。 これはLv1の魔法と同じMP消費量ですね。 それから……」


「それから、何だい?」


「それから、射程が20m位あって、これも普通の魔法と同じ距離です」


「何だって? それじゃ普通の空間倉庫や小袋とは全く違うじゃないか。 どうしてそんな……」 


「……わかりません。 根拠の薄い当てずっぽうな推測ならいくらでもできると思いますが、証明はできないかと思います」


「なるほど、普通の空間小袋と違うという事なんだね。 他にできることは無いか?」


「すみません。 わかりません」


「ね~カイン兄ちゃん。 普通の空間小袋とかを入れられない?」


「アスナ、何を言ってるんだ。 そんなもの普通入るわけないじゃないか」


「普通と違うんでしょ? やってみたら?」


「う~ん。 でも反発して中の物が飛び出てきたら危ないし……」


「カイン君。 この昨日取れた空間小袋を入れてみてくれないか?」


「わかりました。 やってみます」



 僕は普通の空間小袋を手に持ち、僕の感覚の空間小袋へ入れてみたが、問題なく入ってしまった。



「……」


「カイン君。 どうだった?」


「入りました。 ビックリです」


「うへっ! それじゃ、空間倉庫をその中に沢山入れられるってことか。 それなら凄く大きな空間倉庫を持ってるみたいなもんじゃねーか」


「いや、普通の空間倉庫はそれ自体が希少だからね。 大容量の空間倉庫と同じとは言えないね。 それよりも重要なのは、絶対に見つからない安全な金庫としてその魔法が使えるという事だよ」


「そうですね。 魔法の空間小袋は、……えっとアイテムボックスと呼ぶことにします」


「ん? アイテムボックス? 変な名前だね。 ま~君がそうしたいならそれで良いさ」


「はい、そうします。 それからこのアイテムボックスですが、魔法のLvが上がれば容量とか増えそうです」


「そうだろうね。 投石キャットも強い個体からは大きめの空間小袋や倉庫が取れるとの事だしね」


「おい、あと何か違いがありそうか? そうだ生物はどうだ? ほらあの蜂なんかどうだ?」


 僕は射程内の蜂をそのまま収納しようとした。



「……駄目です。 入りません」


「なるほど。 では普通のと違うのは射程と空間倉庫が入れられる、そしてレベルで容量大きくなる可能性があるくらいかな。 ……そうだ、そこへ入れた空間小袋は直接操作できそうかい?」


 僕はアイテムボックスの中の空間小袋を開けようとしたが、開けられなかった。 どうやらこの辺は融通が利かず、外へ出さないと操作はできないようだった。


「……駄目でした。 直接はできないです。 一度自分の中の空間小袋から取り出さないと無理みたいです」


「なるほど。 いずれにしても良い魔法だね。 自分の空間倉庫は君のアイテムボックスの中へ入れておいた方がよいかもね」


「わかりました」



 それからアイテムボックスを用いて石の出し入れ攻撃を練習してみたが、それは結構簡単だった。 その辺の石をアイテムボックスへ入れて、出したいところへ出すだけなのだ。


 大きすぎる石は当然入らないので石のサイズに注意する必要は有るが、そんなことは些細なことと言えた。 アイテムボックスの容量は10リットル程なので、最大20~30キロ程度の重さの石を頭上に発生させることができる。

 ただし攻撃対象は動き回るので、投石キャットと同じように、ほぼ10~20cm位の高さからの攻撃が実用的だ。 これではサトリさんやスマイルさんの攻撃力と比べるとささやかすぎる。

 もちろん相手が動かない場合には、最大20m程の上空から20kgの重さの石を落とせるので、これならスマイルさんの攻撃に匹敵する威力も得られるのではないかと思える。



 そうやって実験を繰り返していたところ、本日に予定していた投石キャットの討伐は結局明日へと持ち越すことになったのだった。


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