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ペナルティギフトと呼ばれたBRD  作者: 猫又花子
第四章 アシエラプトル編
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41. ダブルギフト

「ええと~。 どこから話せばいいのかな……。  魔法が使える理由は簡単に言えば努力した結果というか、元々備わっていた能力というか、う~ん困ったな」


「備わっていた能力って、 まさか<ダブルギフト>なの?」


「ちょっと、フィアちゃん。 それは言っちゃダメなんじゃないかな?」


「いいのよ、この子達はどのみち異常なんだから、<ダブルギフト>持ちと同じぐらい秘密の塊だと思うの」


「……まあ、そうかもしれないね」


「あの~、<ダブルギフト>って何なんですか?」


「<ダブルギフト>というのはね、サトリンみたいに、って違う。 質問しているのは私なのよ?」


「だって、<ダブルギフト>が何かわからなければ、僕たちが<ダブルギフト>を持っているかどうか分からないじゃないですか~」


「それもそうね。 <ダブルギフト>とはね、本来の<ギフト>の他に特殊技能を持っている人のことなの」


「ならアスナが<ダブルギフト>持ちですね。 通常の<BRDギフト>に加えて、精神的なスタン攻撃持ちじゃないですか~」


「そうね、アスナちゃんは、<ダブルギフト>持ちかもね。 って今<BRDギフト>って言った?」


「はい僕たちはご存じの通り<BRDギフト>持ちですが、……あれ? 知りませんでしたか? 僕たちの素性調査は終わってるみたいな事言ってませんでしたか? まさかこれは誘導尋問だったんですか? 僕たちを嵌めたんですか? 汚い、大人汚い。 こんな可愛らしい子供を罠に嵌めるなんて!」


「……」


「<BRDギフト>だなんて、分かるわけないじゃない。 <ダブルギフト>持ちよりも希少だし、知ってる限りじゃ、病弱で外にも出れないぐらい精神的に疲弊しているはずなのよ。 貴方たちって普通に、いえ普通以上に活発で優秀じゃない。 あり得ないわ。 もしかして嘘ついてる?」


「いえ、そんな嘘なんてトンでもないです」


「カイン君は<BRDギフト>持ちで、間違いないのだね?」


「も、勿論そうです。 僕もアスナも<BRDギフト>持ちで、最初は悲嘆に暮れて泣いたものです。 特にアスナは半年? そのぐらい近く泣き続けて、その様子は魂の奥底もまでも訴えかけるような凄さで、大人の使用人――今回僕らの旅の目的人物なんですが、 その人まで泣かせてしまうほどでした」


「そうなの……。 アスナちゃんは、それで精神攻撃の特殊技能を身に着けたのね。 <ダブルギフト>の特殊技能って後天的に取得する場合もあるそうなのよ。 それでカインちゃんはどんな技能を覚えたの?」


「いや、僕には特殊技能はないです」


「お姉さん。 カイン兄ちゃんはまた嘘ついてます。 明らかに人を煙に巻いて誤魔化す特殊技能持ちです」


「アスナ~、そんな訳ないだろ~。 また嘘ついているって何だよ。 人聞きの悪いこと言うなよな~」


「なによ事実じゃない。 明らかに変なこと言って騙し続けてここまで逃れてきたんじゃない」


「そんなアスナ、僕はアスナのために一生懸命に頑張ってやt……」


「いいかげんにしなさい! 全く話が進まないじゃない。 貴方たちって、まるで子供みたいじゃない。 本当に」


「……」


「だってアスナが……」


「だってじゃありません。 何度いわせるの?」


「……」


「それで、カイン君は<BRDギフト>持ちでそれ以外の特殊能力はないのだね?」


「……はい、無いです」


「……」


「<BRDギフト>持ちだからMPが初期でも膨大なのよね。 だからアスナちゃんからある程度魔力吸引できたのはわかるのだけれども。 私の魔力は4164なのよ? それなのにカインちゃんからは2000以上も吸えて、まだ余裕が有ったってどういう事なのかしら? 明らかにカインちゃんは私より魔力多いわね?」


「はい多いです。 今は、5130あります。 だからって魔力タンクになるのは嫌ですからね。 断固として拒否します。 あんな痛いのは嫌です」


「……別に魔力タンクにするつもりは、……無くもないわね。 今はそれは置いといて、なぜそんなに魔力が多いの? <BRDギフト>でも説明できないじゃない。やはり特殊技能があるの?」


「いいえ、修練魔法で上げたんです。 決してアスナのような恐ろしい特殊技能があるわけではないです」


「カイン兄ちゃん! 恐ろしいって何よ。 ……って、フィリアお姉さん、ごめんなさい、そんな怖い顔で睨らまなくても……」


「……そうね。 魔法が使えるんだから、修練魔法が使えるのは当たり前よね。 それにしてもMPの量が異常だし、何時からどうして魔法が使えるようになったの? 何故BRDなのに使えるの? なぜ10才で魔法が使えるのよ! おかしくない?」


「あ、いや、えっと、え~と、何と言ったらよいのか、……そ、そうだ! 悔しいからBRDを一生懸命突き詰めてやったんです。 何ができるかを調査研究してみたんです。 それで色々と発見してできるようになったんです。 魔法が使えるのはその結果です」


「BRDを突き詰めるって、……よくそんな真似ができたもんね。 普通は諦めるものなんだけど」


「だって、おかしいじゃないですか、希少なものは大体有用なはずでしょ? それに余りにも矛盾が多くて理不尽じゃないですか。 納得できなかっただけですよ」


「なるほど、動機はわかったわね。 それで、どうやって魔法が使えるようになったの? 何時からなの?」


「魔法が使えるようになったのは、あれ? 何時だったかな……。 あ、そうだ青の呪いを受けて療養施設にいた時でした。 あの時は嬉しかったな~」


「呪いを受けて嬉しいだなんて、貴方やっぱり変態なn…」


「ちがいます!  話をちゃんと理解してくださいよ。 フィリアさん、小学校で国語もう一度習った方がよくないですか?」


「……」


「それで、どうやって使えるようになったのかですが、<発動ボード>がどうやら特殊?で、その中に発動させるための特殊な回路が隠れていたんですよ。 それを発見して魔法が使えるようになりました」


「回路というのが何のことかわからないけど、BRDの<発動ボード>は特殊だったってことね。 でも何でそんなに魔力が高いの? そして下級魔法が使えるなんて、修練するにしても早すぎない?」


「う~ん。 それはですね。 論理回路を組み合わせて、魔法を無詠唱で即発動できたからなんです。 それで8種類の修練魔法を一発で発動できるんです。 厳密には同時発動はできないんですが」


「無詠唱で即発動だなんて! そんなことが可能なら、ちょとの時間でステータスを100どころか1000いや1万にだって出来ちゃうじゃない。 おかし~でしょ~!」


「はい、魔法にはクールタイムというのがあるようで、同じ魔法は時間が立たないと使えないみたいなんです。 例えば修練魔法のクールタイムは2分ぐらいで、魔法レベル1の下級魔法は30秒ぐらいなんです」


「なるほど、それでそこまではステータスが上がってないのね。 ちょっとビックリしちゃたわ。 と言っても十分ビックリしたけどね」


「それで、どうすれば発動できるの?」


「それはですね。 論理回路を用いた論理演算という数学的な処理をしt……」


「あ、ああ、いいわ。 数学はパスでお願いね。 ……ということは私の理解に余るということね。 サトリンはどう思う?」


「フィアちゃん。 僕らが理解できたとしても結局は使えないんじゃないかな。 その辺の理解は後回しにして、今できることを聞いてみたらどうかな」


「そうね、それでカインちゃんはどういうことができるの?」


「えっと、まずは、詠唱無しで魔法が即発動ができます。 そして、例えは修練魔法だったら、8種類全部を2分に一回発動できます。 それに放置しても2分に一回発動できるように自動化もしてあります。 あとは、……魔法レベル1の下級魔法の消費MPは通常の半分のようです」


「……」


「……これは思った以上に化け物クラスね。 こうなると、どう思うサトリン?」


「う~ん。 これは公表しない方がよさそうだね。 良くて囲い込みか隷属化、悪いと消されるねパターンだね」


「えええええっ!!! 僕悪い事してないのに消されちゃうかもしれないんですか?」


「わ、私は関係ないからね。 カイン兄ちゃんは罪深いけど、私は魔法使えないし無罪だわ」


「……」


「カイン君たちは幸い良い子だし、色々と活躍してもらってるし、政治的にも白紙だろうからね、このままでいいかもしれないね。 フィアちゃん、僕はこの子たちの味方になろうと思うんだけどどう?」


「サトリン、……色々と思う所はあるけれど。 そうね、そうしましょう」


「 「ありがとうございます」 」


「そうなると、だ。 カイン君とアスナちゃん達をどうするかだけど、味方するには僕たちの近くに置かないとだめだね。 そうでないと危なすぎるよ。 そして、手元に置いておく理由が必要だね」


「そうよ、<ダブルギフト>持ちってことにしましょう。 カインちゃんはそれで魔力タンク、アスナちゃんはスタン役ってことにでどうかしら?」


「成程、うん。 それでイケそうな気がするよ。 フィアちゃんナイスなアイディアだよ」


「あの~。 魔力タンク役って嫌なんですけど。 物凄く痛いし死ぬかと思いましたよ?」


「補助具を付けてても痛かったの? そんなことは無いはずなのだけど。 劣化していたのかしら?」


「えっ? 補助具って何ですか?」


「……」


「ちょっとアスナちゃん。 魔力移動用の魔銀器を出してくれる?」


「お姉ちゃん ちょっと待ってね。 ……はいどうぞ」


 フィリアさんはアスナの魔銀器を調べて驚愕した。


「ちょっとアスナちゃん。 これって痛み軽減用の補助具が付いてないじゃない。 戦闘仕様の魔銀器じゃないわ」


「お姉ちゃん。 私に言われても分からないです。 カイン兄ちゃんが魔力移動用の魔銀器だっていうから使ったんです」


「……それは一般的に公開されている医療用の一般的な魔銀器だね。 高価なDEX魔石の補助具を付けてないタイプで、普通10分とか時間を掛けて魔力移動を行うタイプの器具だね」


「私、気が動転していて、 ……これで思いっきり吸っちゃったのよね。 それは酷いことをしたわ」


「僕とフィリアも魔力タンク役にされたことがあってね。 毎回補助具が壊れたりして無いかだけは確認していんだよ。 補助具がないと、拷問レベルに痛いからね」


「……」


「それはともかく、質のいい補助具付きの魔銀器が付いていれば魔力移動は痛くないよ。 むしろ気持ちいいぐらいなのだよ」


「そうよ。 アスナちゃんやカインちゃんは気持ちがよくて涙流していたかと思ってしまって……」


「……」


「一応理解しました。 それで僕たちは、これからどうなるんでしょうか」


「そうだね、それはこれからの状況次第だね。 このまま街道の封鎖が解ければ、今まで通りコインロード王国へ行って目標を果たせばいいんじゃないかな。 とにかく今は僕たちから離れてはいけないよ」


「 「わかりました」 」


 こうして僕らはサトリさんとフィリアさん夫婦の庇護下に置かれることになったのだった。


 それにしても魔力タンクとかは本当に痛くないんだろうか? かなり怖いんですけど……。 痛く無かったとしても、そんなに魔力を使わなければならない場面に遭遇したくないよ。


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