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66/72

66 報告



「この度のブラッドムーン、私の居た街でも襲撃が激しく、冒険者たちは大層苦戦しておりました」



 そうして始まったケンタの報告によれば、リビィたちの居た街では、冒険者たちはほぼ全滅しかけていたようだ。


 そりゃそうだろうな、いつもなら俺が『世話』してやってるから、ケンタの魔力は魔力減衰陣の効果込みで、通常の馬程度しか漏れていない。

それが『世話』なしになっていたなら、陣による封じ込めがあったとしても、魔物たちにとって魅力的に映るだろう。


 つまり、こっちの村でタツミとルーヴの魔力に誘われ、多くの魔物がやってきたのと同じことが起こったわけだ。



「で、まさかとは思うが、あいつら全滅したのか?」


「だったらよかったのですが……」


「よくねえよ!?」


「ご心配なく、全滅はしておりません。

 途中で敵わぬと判断し、アンバとミランダは撤退しております」


「二人だけ?」


「主が抜けたあと入った者は、元々戦闘に参加しておりません。

 ですので、戦地に残ったのは、かの女だけにございます」


「おい、リビィはどうなったんだよ!? まさか見捨てたのか!?」


「生きてはいるはずですよ。少なくとも最後に見た時、息はしておりましたから」



 引っかかる言い方だな……。

だが今は、コイツが俺の命令を無視したかどうかが問題だ。

助けに行くだとかそういうのは、状況を聞いた後考えればいい。



「それで、お前はどうしてここへ来た?

 話を聞く限り、指示を無視しない限り抜けられないはずだが?」


「かの女は言いました。『ここで道を分とう』と。

 そして主もまた言いました。『彼らを守ってほしい』と……」


「そうだな。それで?」


「わかりませんか? 彼らが道を分つ、つまりパーティーは解散したのです。

 私が守るよう言いつけられたのは『彼ら』でしょう。

 ならば、守るべき『集団』はすでに存在しないのです。

 少なくとも集団が変質しているのならば、私の加護対象ではありません」


「屁理屈かっ!!」



 つい声を荒げてしまった。

俺の反応に、ケンタも口をへの字にして不服そうだ。

そりゃまあ、俺もめちゃくちゃな指示したし、屁理屈でもなんでも一応筋を通せるよう考えた形跡はある。

しかし、それだとあいつらは……。



「これでも主の御意志を尊重したつもりです。

 新たな者が加入した時、それをもって指示の終わりとすることもできました。

 けれど、貴方様のお気持ちを考え、不遜の振る舞いをされても耐えてきたのです」


「すまん、悪かった。俺のせいで、迷惑をかけ……」



 言い終わる前にぎゅうっと抱きしめられ、全身の骨がメキメキと音を立てる感覚が襲う。

ちょっとヤバい。コイツまだ魔力に当てられてやがる……。



「もう二度と、もう二度と貴方の元を離れません!

 たとえ命令であろうとも、それだけは聞けません!

 主も、二度とあのようなことを言わぬと誓ってください!!」


「ぐはっ……。落ち着け……。マジ潰れる……」


「はっ……!? 申し訳ありません!

 久々の主に、我を忘れておりました……」



 急に放され、力が入らずへたり込む。

ルーヴのドロップキックに始まり、なんか今日は散々だな……。

ともかく、コイツは後で『世話』してやらんとダメそうだ。



「事情はわかった、ともかくその街を助けに行こう。

 手遅れかもしれないが、生存者の救出くらいはできるだろう」


「それには及びません。魔物どもは、全て私が討ち取っておきましたので」


「へ? マジで?」


「えぇ。主の手を煩わせぬためならば、かの女どもを助けることであっても行わぬわけにいきません。

 不本意ではありますがね……」



 最後の一言に、コイツの思い全てが詰まっている。

俺への扱い、そして俺とケンタを引き離した原因となったあの夜のこと。

ケンタが根にもたないわけがない。

たとえそうであっても、俺のために尽くしてくれるコイツだからこそ、俺はあいつらを頼んだのだ。

ついでにあとがきもご報告。

問題なく進めば、今週更新分で一区切りつけ、一度完結にします。

気が向いたらまた再開するかもしれないです。

本来1ダースくらい自称嫁出すつもりだったんで、ネタは考えてあるんだけどね。

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