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「最終話 死んじゃう世界」

登場人物

風波見 裕一(主人公)

15歳の男の子、妹想い、ソラリスメテオ墜落以降妹の真理亜とともに崩壊した世界を旅しながら母親を探している


風波見 真理亜

心優しい12歳の女の子、好奇心が強い、裕一と旅をしている


御菓子屋のおばあちゃん

死んでいるように見えて実は生きてる、御菓子屋に住んでおり家族が戻ってくるのを一人で待っている


神谷

中年の男性、中学校で数学の先生をしていたらしい


天野 咲

小学生の時の裕一の同級生女子、二年前ソラリスメテオが堕ちる前日に自殺してしまう、生前は裕一と仲が良かった、裕一とは別の中学校に進学していたが中学校ではいじめを受けていた、裕一の夢の中によく出てくる


風波見 良子

裕一と真理亜の母、女手一つで兄妹を育てる、ソラリスメテオが堕ちた日は仕事の出張で家におらず現在は消息不明


ノア

真理亜が見つけたメス猫、風波見兄妹についてくる人懐っこい猫


作家

世界の秘密を知っている謎の人物

「最終話 死んじゃう世界」

○20 神願神社(○19の続き)

 真理亜猫の鋭い爪が裕一の首に当てられている

 

真理亜(猫)「お前は生きたいのか?」


 真理亜猫が喋ると猫のよう牙が見える

 真理亜猫は獣のような黄色い目をしている


裕一「俺は・・・」


 裕一は良子の言葉を思い出す


良子 声「真実の言葉を心臓からえぐり出せ」


 裕一は初めて自分自身の生死について答えを出す


裕一「俺は・・・生きたいんじゃない・・・死ぬのが怖いだけだ」

真理亜(猫)「それぞれが先に進んでいると言うのに、お前だけこの世界に取り残されるのか?裕一」

裕一「お前は一体なんだ?真理亜なのか?ノアなのか?それとも別の何かなのか?」


 真理亜猫が裕一の首に刺していた爪を抜く


真理亜(猫)「私は芸術の光と影の狭間で生きる者、バランスだ」

裕一「バランス?」

真理亜(猫)「そう、世界の秘密について教えてやろう。来い裕一」


 真理亜猫は手招きする

 神社の本殿の扉が勝手に開く

 裕一は真理亜猫の後ろについていく


○21 本殿

本殿の中は暗い部屋にキラキラと輝く水晶のようなものがたくさん散らばっている

裕一「これはなんだ?」


 水晶について聞く裕一


真理亜(猫)「これは物語のかけら、このクリスタル一つ一つに世界が閉じ込めてある」

裕一「夢の中の咲も言ってた、物語がどうたらって」

真理亜(猫)「お前は物語のほんのひとかけらに過ぎない、みんなそうだ。咲や真理亜も同じようにね」

裕一「詳しく説明しろ」

真理亜(猫)「クリスタルを触れ」


 真理亜猫が促す

 裕一は少し怖がりながら近くにあったクリスタルを触る


○22 魔女世紀鬱型惑星処女の世界(○21の続き)

 クリスタルの世界に吸い込まれる裕一と真理亜猫

 病室にいる裕一と真理亜猫

 病室にもたくさんのクリスタルが転がっている


裕一「これは・・・真理亜なのか?」


 病室には血まみれの真理亜(7歳ごろ)とボロボロになった遺体がある


真理亜(7歳)「美味しいよ、お姉ちゃん」


 幼い真理亜は床に落ちている肉塊を食べている


裕一「何がどうなってる!?ここは一体どこなんだ!?」


 裕一は錯乱し真理亜猫に問い詰める

 幼い真理亜には裕一と真理亜猫の姿が見えていない


真理亜(猫)「これも一つの世界だよ。真理亜が通ってきた物語、他のクリスタルも試せ」


 裕一は病室に落ちているクリスタルに触れる


○23 機械的純愛は人の心への世界(○22の続き)

 病室から学校の廊下らしき場所にいる裕一と真理亜猫

 廊下にはクリスタルが転がっている

 廊下では神谷と女性が口論している

 裕一は神谷の姿を見て驚く


裕一「神谷じゃないか!何が起きてるんだ?」

真理亜(猫)「これもまた神谷がいた一つの物語」


神谷「馬鹿を言うなシオン、お前は幸人を理解なんてしてない。理解したと思っているだけ、そう思うようにプログラミングされているんだ。可哀想に・・・お前に人間の感情が理解できるほどのAIは備わっていないし、お前自身に感情はない。あるように感じるのは全てプログラム、気の毒だがこれが事実だ」


 反論するシオン


シオン「私には自我があり、幸人くんを思う気持ちもあります!これも事実です」

神谷「全て機械で塗り重ねられた嘘の感情だぞ」


 神谷は言い放つとシオンと呼ばれる女性型のロボットを置いて、立ち去って行く

 シオンと神谷には裕一と真理亜猫の姿見えていない


裕一「これは隕石が堕ちる前か・・・?」

真理亜(猫)「違う、全く別の世界なんだ。これはある作家が生み出した魂を震わす芸術作品でしかない。隕石が堕ちた物語とは別のもの、お前は一人の作家の作品を渡り歩いてきたかけら」


 真理亜猫はクリスタルを触ってまた別の世界に行く


○24 裕一のいた世界(○23の続き)

 クリスタルに触れて隕石が堕ちる前の世界に飛ばされる裕一と真理亜猫

 楽しそうに動物園にいる裕一と咲と真理亜(五年前)

 周りにはクリスタルが落ちている

 五年前の裕一たちには現在の裕一と真理亜猫が見えていない


真理亜(五年前)「ほら!あっちにライオンがいる!!」

 

 はしゃいでいる真理亜


咲(五年前)「真理亜ちゃん、ライオンに餌やりができるよ。やってみない?」


 提案する咲(五年前)


真理亜(五年前)「やってみたい!!」


 興味津々な真理亜(五年前)


裕一(五年前)「ライオンに餌やり!?まずはモルモットと触れ合うコーナーから行こうよ!!」


 ビビっている裕一(五年前)

 裕一は静かに過去を見ている、そして涙を流す


真理亜(猫)「本当は三人とも隕石で死ぬはずだったんだ、でもなぜかそれぞれに意思が生まれ、作家の命令を無視した。物語のかけらは作家の命令に絶対従うはずなのに」


 涙を拭く裕一


裕一「その作家って一体誰なんだよ、俺たちが苦しんだのは作家のせいじゃないか」

 

 怒りをあらわにする裕一

 真理亜猫がクリスタルに触れ、違う世界に行く裕一


○25 作家の世界(○24の続き)

 たくさんの全裸の人間が一人の青年を囲んでいる空間にたどり着く裕一と真理亜猫

 まるで人が木の根っこのようになり青年に絡みついてる

 草原の上に人間の木が出来ているような場所にいる裕一と真理亜猫

 クリスタルが落ちている


裕一「今度はどこだ?」

真理亜(猫)「ここは作家の脳内だ、周りにいる人間は物語のかけらで、その中心にいる人物こそが作家だ」


 作家の周りには真理亜や咲もいる


裕一「こいつが俺たちを作り出したのか?」

真理亜(猫)「私たちは彼の分身であり子供なんだよ。物語において彼は言わば神、物語の一部分でしかないキャラクターが彼の作り上げた運命に逆らうなんてあり得ないことなんだ。それはまさにアンチクライスト。君たちが物語の運命を書き換えようとしている」

裕一「じゃあ俺たちはこんな奴のために勝手に生きて勝手に殺されるのが当たり前だって言うのか?」


 裕一は作家に対して軽蔑する目線を向けた


真理亜(猫)「例え死んでも次の世界では幸せに暮らせるかもしれない、作家と共に成長していくんだ。咲も、真理亜も、ノアと呼ばれていた猫も、お前の両親も、みんな次の物語で生きている」

裕一「それを拒否したらどうなる?」

真理亜(猫)「お前は一生出てくることはない、捨てられたキャラクターとなり作家の心の奥底に鎮められる」

裕一「作家って言ってもこんなやつただの人間だよな」

真理亜(猫)「もちろん、ただの人間だろう」


 作家の元に近づく裕一

 作家の声が聞こえる裕一


作家 声「ごめん・・・ごめん・・・ごめん・・・みんなごめん・・・」


 作家の悲痛な声だけが聞こえる裕一

 作家を囲んでいた木の根っこのような人間たちが蠢いてる

 作家自身は全く動かない


作家 声「俺のために死んでくれ・・・死んでもう一度生きて・・・芸術の一部としてみんなの力が必要なんだ・・・」


 裕一は作家の声を聞いてなぜか涙を流している


真理亜(猫)「そういうことなんだよ、だからこの世界で死んで彼の子供として生き返ってほしい。この世界で出来なかったことは別の世界で出来るさ」


 裕一は涙をぬぐって反論した


裕一「なんで俺がお前のために生きなきゃならない!そんな自分勝手なことを言われてたまるか!!俺はいつまでも抗い続けるぞ!!」

真理亜(猫)「サクリファイスしろ」

裕一「誰が生贄になるものか!」


 真実の言葉を心臓からえぐりだす裕一


真理亜(猫)「元の世界で心中するか、あそこにはもう誰もいないぞ。次の物語に行けば真理亜や咲にだって会える」


 真理亜猫はクリスタルに触れ、裕一を神社に連れて帰る


裕一「利用されないぞ!」


 裕一は叫ぶがそこには真理亜猫も作家もいない

 病気で寝込んでいた真理亜もノアもいなくなっている

 一人ぼっちになる裕一


○26 神願神社(○25からどれほどの月日が過ぎたか分からない)

 すっかり痩せこけている裕一

 食料はもうない

 裕一はナイフで地面に何かを彫っている


 時間経過


 裕一が彫ったところには「人は誰かといる時、初めて自分自身の価値を知り得るだろう。人が死ぬ時、新しい何かが迎えに来てくれる」と書かれていた

 ナイフを捨てる裕一

 裕一はライターを持ち神社の本殿に入る


裕一「はぁ・・・はぁ・・・」


 裕一の呼吸は荒い

 真っ暗な本殿の中でライターの火を見つめる裕一


裕一「はぁ・・・はぁ・・・」


 ライターの火は静かに揺れている


裕一「はぁ・・・はぁ・・・」


 運命に抗えない裕一

 裕一はライターの火を本殿に引火させる

 あっという間に火が広がる


裕一「次は・・・幸せな物語に生まれさせてくれ・・・お願いだ」


 裕一は自らの運命に従いサクリファイスとなる、そして次の物語での幸せを作家に願う

 火は裕一の体にも移る

 火は神社だけではなく、世界中の全てを焼く


裕一 モノローグ「世界の一部になる、君の一部になる、悪鬼のような憎悪も、内に秘めていた幸せな心も、全てが君の魂に帰る。見たくなかった苦痛も、奇跡のような出来事も、今は全てがノスタルジックでエモーショナルな瞬間だったと気づいた。別れは辛い、今は新しい場所に行ける羽がある、羽は出会いをくれる、冒険も、恋も、真新しいことになる。それが辛い、懐かしき友人たちに会いたいよ。母親に会いたい、父親に会いたい、妹に会いたい、自殺したあの子に会いたい。猫に会いたい。ツバメの巣立ちが素晴らしいことなら、俺は前を向いて行かなくてはならない。たくさんの世界を飛び続ける。どれだけの時間を使っても、君の中に生きるみんなを探す。どんな運命が待ち構えていても、必ずみんなと再会してみせる、俺は君のためじゃなくて、自分ために、みんなのために生きる」


○27 エピローグ(新しい世界の動物園)

 動物園のチケットを買う男の子

 男の子からチケットを渡される女の子


男の子「ほら、今日は俺のおごりだ」

女の子「ありがとう!」

男の子「前におごってもらったからな」


 男の子は笑いながら言う


女の子「そうだね」


 女の子も懐かしそうな表情をしながら微笑む


 時間経過


 ノアという名のトラを見ている男の子と女の子


女の子「ここにもいないね」

男の子「ノアはいるのに・・・」


 二人は悲しげな顔をしている


男の子「どこにいるんだ・・・あいつ」

女の子「やっぱり“ここ”じゃなくて“違うところ”にいるのかな・・・」


 遠くの方で幼い女の子の大きな声が聞こえる


幼女「ママ!ライオンの餌やりに行こう!!」


 幼い女の子は母親らしき人物を引っ張りライオンコーナーに向かっている

 二人は幼い女の子の姿を視認する


男の子「俺たちも行こう!!」

女の子「うん!」


 二人は嬉しそうに女の子の元へ行く


おわり

は!?どゆこと!?となった人がいるかもしれません。実はこのシナリオは過去作「機械的純愛は人の心へ」と「魔女世紀鬱型惑星処女」とリンクしていたお話でした。どちらも投稿済みの作品なのでぜひ読んでみてください、というか読まない限りこの物語は理解出来ないでしょう。言ってしまえば、作家”なな”ワールドで展開されていた物語だったのです。真理亜、神谷、咲というキャラクターは僕の作品を読んでる方的にはお馴染みのメンバーだと思います。「機械的純愛は人の心へ」「魔女世紀鬱型惑星処女」「向日葵が教えてくれる、波には背かないで」はこのシナリオと大きく繋がって出来ています。今作、機械的〜、向日葵〜、怒れる最後〜には神谷が登場するし、咲は向日葵〜に出ています、そして真理亜は魔女世紀〜に出てくるキャラクターと同じ名前です。それらの作品とはストーリーも関係しておりますよ。

そんなわけで皆さん、これは他作品への布石です。これを書いた以上、他の物語も読んでもらわないと困るのです(笑)

頼みます皆さん、他のお話も読んでくだせえ!!!!

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