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続色吉捕物帖  作者: 真蛸
鬼黙団
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 太助が路地から通りに出たそのとき、ちょうど根吉が駆けてきた。そのうしろから土煙をたてて異様な軍団がやってきた。

 根吉は、

「親分――」

 と言ったきり、両手を膝についてぜえぜえと肩で息をしている。

 うしろに目をやると、異様な軍団の先頭は顔見知りだった。

「あんたらは」

 黙礼してきた二人は、羽生歩兵衛の駕籠かき、樽と龍だった。

 ふたりとも大八に棺桶を積んだものをひいている。他に二十人ばかりも同様にして続いていたが、棺桶を二個積んでいるのは樽と龍だけだった。

「水を運んできました」

 樽と龍のほかはみな町火消しで、おそろいの袢纏をまとっていた。あちこちの用水路や川から直接水を汲んで、棺桶に入れて運んできたという。

「たしかに水をたくさん、って話だったが、なんだってこんな馬鹿正直に」

 太助はあきれるやら感心するやらで目を白黒させた。

「色吉さんの指示ということで、あっしらが手配させてもらいやした。差し出がましい真似をしてすいやせん」

 樽が頭をさげた。

「いや、そんなことはねえ。だけどこっから先は危ねえんで、ここで控えてくんな」

 しかし二十個以上の棺桶がずらりと並んだところは壮観だった。


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