表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
続色吉捕物帖  作者: 真蛸
道楽親父に博打をやめさせる方法
21/80

 神田下白壁町の太助は、与太助の異名にもとらず、いくつかの賭場に入り浸っている。たいていは下級旗本の中屋敷か下屋敷だが、なかにはなまぐさ坊主のいる寺もあった。

 その賭場の何軒かで奇妙な老人をちょくちょく見かける。

 おそらく八十は越えていて、装いからしてかなり裕福なようだが、自分では遊びもせずに、ただ賽振りや賭客たちを、その勝負の様を見ているだけだ。口も手も出さず、ただ見ているだけだ。

 年からいっても用心棒ではないだろうし、好きなときに来て好きなときに帰っていくところから、見張り役というわけでもなさそうだ。そもそも眺めているだけで、目を光らせているわけでもない。

 おとなしそうな年寄りで特に変わったところもないのだが、ただいつも片手を懐手していた。そしてそれは懐手ではなく、実はそちらの手がないことに、太助もあるとき気がついたのだが、それだけがやや変わったところ、といえなくもない、という程度だった。

 博打場の人間も老人のことを気にしている様子もない。構うわけでもなく、好きなようにふるまわせている。いつしか太助も老人のことを気にしなくなっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ