表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nola ~偽りの勇者~  作者: A_ria
Prologue
1/19

運命

 質素(しっそ)な小屋の中、世界の希望は終わりを迎えた。


 マグノリアの勇者。

 世界最古の勇者の最後は、呆気(あっけ)ないものだった。


 死した者の(たましい)は、冥域(めいいき)にて浄化され無垢なる魂へと(かえ)る。

 それは勇者とて例外ではなく、彼の魂もまた無垢へと還る(はず)だった。


 竜が一匹、冥域に(いた)る。


「魂の浄化なんてさせない」


 竜は、力の(かぎ)りで勇者の魂を地上へ()とした。





「はぁ……困った子ね」


 神域(しんいき)にて、女神は溜息(ためいき)をこぼす。


 勇者とは 降りかかる厄災(やくさい)──魔王 から世界を救う天命(てんめい)を背負う者である。

 その力は運命の(しば)りに依存(いぞん)する。

 魔王が強大(きょうだい)であればあるほど、勇者もまた強くなるのだ。


 さて、どうしたものか。

 浄化を受けず 転生へ向う勇者の魂。

 これはつまり、勇者が(つちか)ったものを持ったまま生まれ変わるということ。


 魔王を倒す程の力を持ったまま 魔王の居ない時代に生まれ変わるということである。


 渦中(かちゅう)にあるは かつて邪竜(じゃりゅう)を倒す程の力を持った勇者の魂。


「このままだと世界を壊しかねない」


 女神は思案(しあん)する。

 このまま転生を(ゆる)せば、世界の均衡(きんこう)(くず)混沌(こんとん)(おとず)れるだろう。


 しかし、転生の阻止(そし)もまた 世界の運命に(ほころ)びが生じかねない。

 それが勇者の魂ならば尚更(なおさら)のことである。


「なら出来ることはこれくらいね」


 瞬間(瞬間)、運命が分かたれる。

 女神は勇者の魂を2つに分け、尚且(なおかつ)転生の流れを出来る限り(ゆる)やかなものとした。

 強大な力を分割(ぶんかつ)し、問題を先送りにしたのだった。


「これ以上の干渉は世界そのものの理を冒してしまう。後は任せたわ 私の愛しい子供たち……」





 それから(かぞ)えて千年以上も先のこと





 世界に2つの(いのち)が生まれ落ちた



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ