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第31話 〜ワイ〜





————ドーーーーーン!





「なんだなんだ!?」


いつもの如くワイが刃を避けていると王都中央部から爆発音が聞こえた。ワイは屋敷の屋根に登り、状況を把握する。


「なんで魔物がいるんだよ?」


空中には魔物、王都中央部からは魔物の遠吠え、人々の悲鳴。そしてワイに纏わる、圧倒的な殺気と異常な強者の存在。


「あれが……魔王軍……幹部?」


空中に浮かびながら瓜二つの格好の魔族が光の柱で王都を穿つ。あの瓜二つの2人からの魔力は半端ではない。

洗練された魔力と魔力量……これが強者。


「こうしちゃ居られねぇ!」


ワイは屋敷の屋根から飛び降り自分の部屋へと駆け込む。

新調した剣と新調した防具、そしてポーションと”マナポーション”を持って外に出る。

第7騎士団は今は居ない。第7騎士団活動区画は第4騎士団、第3騎士団の聖騎士達が守っている。

そこに微力でも力を貸そうとワイは屋敷飛び出す。


「ブラックウルフ!?」


目の前に現れたのは3匹のブラックウルフ、ここまで魔物が進行しているという危機感を覚えワイは目の前のブラックウルフに集中する。約2週間ぶりの魔物との戦闘に緊張をするが……


「ワイ流 剣技『剣波』」


ワイは剣にだけ気の波を起こす。今までは体にも気の波を作っていが今回は剣にだけ。剣の威力はあがり気の消費量を大きく削ることが出来る。


「走れその脚が砕ける強さで 剣士スキル『突進』!」


スキルを使った途端、ワイの脚の筋力が上がる。スキルの名前の通りブラックウルフへワイは突進する。

ワイの走りは、通常の3倍近く早く、ブラックウルフと同等以上の速さになる。


—————シュン!


ブラックウルフの首を1つ切り落とす。


「ガルルルルルルルルルル!?」


————シュン! シュン!


「よしっ!」


2週間前、あんなにも苦戦したブラックウルフに対して約10秒で3匹のブラックウルフを殺したワイ。


「助けてくれーーーーーー!」


確実に成長した自分の力に確信しつつ、周りから人の悲鳴が聞こえるようになってきた。


「おいおい! 聖騎士団はどうしてるんだよ!?」


ワイは人の悲鳴が聞こえるところに行く。


「くぎゅるるるる」


人喰い蟻(キラーアント)が民間人に襲いかかろうとした瞬間、ワイが剣技放つ。


「ワイ流 剣技 『抜刀擬き』!」


その技はアイラの『抜刀』を彷彿とさせる技。だがその練度は物凄く低い。だがそれでも『抜刀』。キラーアントの首を掻っ切る。


「大丈夫か!?」


「ああワイ君……。ありがとう、死ぬかと思ったよ」


「ジジイなんだから無理すんなよな、他に人は居たか?」


「ああそうだ! 家族が家の中に居るんだ、私が囮になって逃げたら追いつかれてしまって……」


「ジジイ第7騎士団の屋敷まで走れるか? 道中に魔物は居ないはずだ」


「ああ走れるが、家族を助けに行かなければ」


「無理すんなって、俺が行ってやるよ」


「ありがとうワイ君。じゃあ私は道中にある家の人達を連れて屋敷に行くよ」


「ああそうしろ。あと、このポーションで傷ついて奴がいたら治せ。少量でも効くから大切に使えよ」


「なにからなにまでありがとう」



◇◇◇◇◇



「こっちだ! 第7騎士団の屋敷に逃げろ!」


「ありがとうワイちゃん!」


民間人の逃げ道を作り、ワイは皆を屋敷へと案内している。

違和感を覚えるしかないこの状況。先程、魔族が襲撃するまでは聖騎士団は居たはずだのに、なのに今この区画には何処にもいない。


だが幸いにもこの区画には魔物は少数しか攻めてきてはいない。極小数の魔物が広範囲に少しいる為、魔物との遭遇がなしでこの大人数の人を運べる。


「キャーーーーーー!?」


「くそ! あっちから悲鳴が……でも……!?」


今ワイは人を守りながら屋敷まで走って移動しているが、ここを離れたら魔物が来て襲われるかもしれない。

その可能性と悲鳴が聞こえた人を守れない可能性、ワイはどっちが重要かそんなのは分かっている。


だが選べない、どちらも人を失う可能性があるからだ。


「ワイのあんちゃん、こっちは任せてきな!」


自分な腕っ節を見せながら出てきたのは大工のおじさん5人。


「大工のおっちゃん、でも!?」


「俺らは魔物が怖くなって引退したが元はCランク冒険者だったんだ、守られる側じゃない、守る側だ俺たちは」


「……ありがとう。よろしく頼むぞおっちゃんども!」


「「「「「おう! 任せときな!」」」」」


ワイは走り出す、先程から常時剣士のスキル『突進』を使っているため脚の疲労はもう限界を迎えそうだが……それでも止まらない。


何故か今まで以上にに力が出るのだ。


「ガルルルルルルルルル!」


「あれは!?」


目の前に映ったのは”赤いウルフ”奇しくもワイはレッドウルフと見間違える。だがあれは血に塗られたウルフ……ホワイトウルフだ。ブラックウルフの上位種、レベルは470。Bランク冒険者がやっとのことで勝てる魔物だ。


そんな魔物にワイが勝てるはずがない。またレッドウルフの時の二の舞になる、ワイはそう確信する。だがホワイトウルフの目の前に小さい女の子がいる。


あれは、ワイが第7騎士団と共に生活し始めて一番最初に懐かれた女の子だ。


「…………やってやるよ! 俺様の剣に魂よ結びつけ! 剣士スキル『魂剣(こんけん)』」


「ガルルルルルルルルル!」


ホワイトウルフはワイに突進する。この光景はあの時のレッドウルフと同じ光景、だが気のせいか動きがとても遅く、世界が止まっているぐらい遅かった。


「おりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


ワイはホワイトウルフを切る。剣の入り方かは浅く、昔のワイはここでホワイトウルフに噛まれていただろう。だが屋敷の刃と素振りのおかげで、筋力と感覚が強くなった今、気の流れ筋肉の使い方、全てがワイの思うままだった。


浅かった剣は一度止まったものの、サクッと奥へ入る。


「ワイ流 剣技 『爆剣(ばっけん)』」


そこで剣に流していた気を爆発させる。爆発を速さと威力に変え、ホワイトウルフの硬い肉に更に刃が入る。


————ストン


ホワイトウルフの首が地面に落ちる。


「よし!」


ワイ流 剣技 『爆剣』。


アイラのシュライン流 剣術『抜刀』の気の流れを参考しにした剣技だ。

『抜刀』は一旦、体中の気を全て無くし、剣を抜く時に気を爆発させ圧倒的な速さと威力を醸し出す剣術だ。

この剣術を擬きなりに覚えたワイはこの気の流れを『爆剣』

へと入れた。


この間のアイラとの戦いで相手の体勢も崩せることもできるし、剣の威力と速さを上乗せすることもできる。ワイの切り札の1つとなった。


「大丈夫か!?」


「おにいちゃんーーーー!」


少女はワイに抱きつく。


「お前怪我してるじゃねえか!? これ使え!」


少女の頭から鮮血が流れていた。ワイは抱きついた少女を離し、頭の上にポーションをかける。あれ程、持っていたポーションが後、1本になってしまったが未だにワイは無傷だ。


屋敷の修行と挫折をしたおかけでワイの精神力、戦闘力は大幅に強化されていた。先程のホワイトウルフを無傷で殺すなど、Cランク冒険者には不可能だ。


これは偉業と言っても過言ではない。


「ほら屋敷に行くぞ……えーっと……」


「ミルだよ!」


「おうミル、早くいくぞ!」


「うん!」







ワイがカッコイイな〜あーーーいいなーーー!


っていう回でしたね。ちょっとワイの成長ぶりに私は感激しました。ということでのめちゃくちゃ久しぶりの投稿でございます。


ちょっとうん感慨深いな〜


by コロナヤベェなと思ってる犬三郎

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