第30話 〜襲撃〜
「………………!」
ミーは手のひらサイズの四角い木箱を手に持つ。
木箱は開き、変形する。木箱の変形の原理は不可思議。意味が分からない。木箱の中に何が入っていてもこんなに大きく変形するはずがない。
変形した木箱は地球でいう拳銃の形になる。
「凄いであります、それはなんでありますか?」
初めて見た物に興味を持つナル。だがミーは常に無言のため何なのかは結果的には分からない。
ミーは伝えることを諦め、拳銃を手に持ち走る。
現在の状況は最高の状況。ナルとミーの撹乱作戦が効いている。ナルは常に分身魔法で2人のナルを出している。ナルの分身魔法は最強の矛といっても過言ではない。
遠距離攻撃を持っていないナルは主にミーの護衛。ミーを守ることに専念している。
————シュン!
ミーが拳銃を撃つとそこからは銃弾ではなく刃物が飛ぶ。
だがここは森、刃物は木に阻まれ木を貫通しないが……
「なんで木を貫通するのであります?」
ナルが言った通り、ミーの拳銃から放たれた刃は木を割くというより通り抜けるように真っ直ぐに飛んでいく。
「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
断末魔が森中に響く。
「………………!」
思わずガッツポーズをしてしまうミー。ミーとナルはすぐさま自分達がいた場所を離れ、すぐさま距離を置く。
◇◇◇◇◇
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
ダイルの体は熱を帯び始めてきた。そのせいで回復が遅くなり、バーリー1人が頑張ってダイルに近づけさせないように攻撃させているが……
「もう飽きちゃったよ君の攻撃。だって全部溶けちゃうんだもん」
リシは欠伸をしながら眠たい顔をする。もしリシが本気になってバーリー達を攻撃していたらもうバーリー達は死んでいただろう。
「ダイル……あれをやるぞ!」
「あはははは……この状況で酷いことをいうね。でもそれしか活路はないか」
「あれ? 何かやってくれるの? もしかして俺っち負けちゃう? え〜嫌だな〜怖いな〜」
ダイルは銀色の鍵爪を出し、加護を発動させる。
「『逆転の体温』発動!」
そしてバーリーは『絶対零度の体』の魔法を解除する。
「あついな……」
絶対零度の体を解除した途端、辺りは熱気に包まれ草原は火の海とかす。
「え〜どうしたのかな? 俺っちを倒す算段見つけた?」
「ふぅーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ダイルは四股立ちをする。極限に集中するダイルにリシはなにか違和感を覚える。何故か圧倒的な死の匂いが自分の鼻腔をくすぐるのだ。
状況は自分の方が圧倒的に有利、任務のためこの2人を遊ばせていたが何かが違う。
魔力の匂いが濃くなった?
ダイルの気が見えない?
なぜ? なぜ?
それはダイルから溢れ出ている魔力と気の量が異常すぎるからだ。
「ダイル流 拳術『千烈突き』」
ダイルは前方を思いっきり殴る。リシは何をしているんだと思ってしまった。気の流れは感じないな、ただ全力の突きを空に放たれただけ。先程のキュロス教国に撃った見えない拳ではない。
「あれ特殊人間君どこいった?」
瞬きをした瞬間、ダイルはリシの目の前から居なくなっていた。
「ダイル流 拳術 『極突き』」
「かはっっっっっっっっっっっ!?」
いつの間にかリシは殴られていた。お腹を鍵爪で貫かれ、お腹の一部が拳の強さでえぐり取られた。
「ふーーー終わったよー」
リシからは生命の灯火は消えた。声も出さず最後は死んでいった。そのおかげか草原の炎は消え、熱気も一瞬で消えてしまった。
そのせいでダイルの体から魔力と気は無くなっていく。
「ダイルの加護は使いたくなかったが……まぁ部隊長に勝っから大丈夫か」
ダイルの加護『逆転の体温』その名の通り周りが熱くなると体が冷えてくる。正にダイルにピッタリな加護。
だが加護を発動した1時間はその加護が持続するためバーリーとの相性が悪いのだ。
「それしにしてもこの人なんだったの? 魔法も1個しか使ってないし……反撃もしてこなかった。彼が本気を出してたら僕達は危なかった訳だけど……腑に落ちないな〜」
「にゃははは、じゃミャーと戦うにゃ?」
◇◇◇◇◇
「西のキュロス教国は後10分で壊滅。主戦班は順調にキュロス教国戦力を減らしている。死亡者も無し。後40分で壊滅。西の部隊が戻ってくれば25分で終わる……」
グールは浮かない顔をする。何かがおかしい、何かが頭に引っかかっる。
「どうしたんだ、浮かない顔をして」
グールの浮かない顔に気づいたのか、アイラは率先してグールに話す。
「お前に言ったところで何も変わらないだろうが……キュロス教国の部隊が弱すぎる」
「部隊が弱すぎるってより、こっちの冒険者の方が強いってことだろ?」
「ああ、その可能性もある。だが……強い奴が東の部隊、今バーリーが戦ってる奴と、主戦班が戦っている2人だけ……でも報告によればそいつらは攻撃をしないで死んでいった……キュロス教国がこんなにも弱いはずはない」
「ああ確かに手応えは感じないな……とういうことは首都にめっちゃ強い奴がいるとか?」
「確かに王都にはキュロス教国奴らの侵入を許したが……首都内には多くて20人規模の少数精鋭がいると思っていた。だがそれだけの猛者がいるのならもう作戦は終わってもいいはずだ。その作戦が何らかの事が起き、陽動が必要になった。だから今ここで戦いが起きていると思っていたが」
「それにしては弱いということか」
「ああそうだ。しかも未だにキュロス教国が誰を狙っているかは検討がついていない、王都内で人が消えたなどの報告は一切入ってきていないし、王都内は全ての区画に聖騎士団、キュロス教国の奴らが入っていると知ってから24時間体制で警備している」
「もしかしたらそもそもの俺達が考えている、誰かを狙っている……これが間違っているとかは」
「ああその可能性は十分にある。だが……それ以外に狙っている物とはなんだ……この国に何がある……国宝級財宝か……いや……何かを盗もうとしている……盗む……………………? まさな……誰かを攫おうとしている……!?」
「攫うって誰だよ?」
「それは分からないが攫うという可能性は十分ありえる。強引に攫えない人物、優しく丁寧に運ばないと駄目な人物……なんだ……なん———」
『グールさんに報告! 魔物の群れが現れた! 数は5万! レベル最低300レベル以上!』
『なに!? 作戦の前には魔物は掃討したはずだぞ!?』
『グール緊急事態だ! 俺達の前に【獄炎の魔獣】魔王軍幹部が現れた!』
『グール殿に報告! 魔物の大群が接近、私達には手がおえないであります! 一時退避させてくださいであります!?』
————ドーーーーーン!
首都の方から爆発音が聞こえた。アイラとグールは首都の方を見る。首都からは轟々と炎の煙が出ていた。
「グールさん! 王都が魔物に襲撃されています!?」
「なんだと!?」
アイラは匂いを嗅ぐ、それは懐かしい匂いだった。
「ミケラン……ハラさん、メラ、ラメ、メンタークさん……師匠」
魔王軍幹部が確実に王都に来ているとアイラは確信した。
あーーーー! 間違えて投稿してしまったぁぁぁぁぁぁぁ!
ということで大急ぎであとがきを書く犬三郎です。
今回はダイルさんがやってのけてくれましたね〜なんか私的にはちょっと盛り上がりに欠けるのですが……
まぁそんなことはどうでもいい。私の次回作がどっかの小説投稿サイトに投稿されています。まぁ同じ名前でやってるのですぐに見つかると思うのですが……。
でもですね、この作品がこれまたタイトルが弱すぎてPV数が増えん! めっちゃ自信作なのに!
まぁなんか反応を見るための実験なので見つけたとしてもそこでは多分、投稿を途中で辞めると思う!
by APEXが面白すぎる犬三郎




