第15話 〜ブラックウルフ〜
「わたくしめに私の片割れを下さい 双方の容姿は瓜二つ 双方の健気さは瓜二つ」
「ワイ、ナルの護衛をするぞ！」
「は！？ なんでそんな女の護衛をしなきゃいけねぇんだよ！？ 俺は剣士だぜ、この剣で敵を殺すんだよ！」
ライさんから聞いていたが相当な問題児だなこれは。これじゃあまるでパーティーの良さを全てワイが潰してるじゃないか。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！」
ワイはブラックウルフに囲まれ始めているこの状況を打破しようと目の前のウルフに突進する。
「ワイ突っ込むな！ 突っ込んだら孤立して死ぬぞ！」
「関係ねぇ！ 俺は死なねぇ！」
ワイは剣を構える。
「ワイ流剣技『見抜き』！」
ワイはブラックウルフに左から右へ剣を振るう。その剣は圧倒的にお粗末。あんな大振りの剣の振り方は振った後に大きな隙が出来てしまう。
俺がサポートにしに行こうと思ったが、それより早くブラックウルフが空振りしたワイの右脇腹に噛み付こうとした。
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ！」
だがそれをワイは阻止する。大振りで隙が出来ると思ったがワイはブラックウルフの頭を切っていた。
「なんだ、あの無茶苦茶な体の柔らかさ」
圧倒的な肩の柔軟で、右に大きく振っていた剣をすかさず左に切る。そんな無茶な戦い方をしたら肩が直ぐに壊れるはずだ。
「おっしゃあ！ まず1匹！」
お粗末その言葉が似合う戦い方だが……
あの戦い方、多少の知能のがある魔物の戦い方を熟知している。敢えて隙を作って逆に相手に隙をつかせる。一つ間違えたら死ぬリスクもあるはずだ。
「片方には風の力を 片方には破壊の力を 両者に平等に力を与えよ わたしに もう1人のワタシに」
ナルの魔法ももうすぐ終わる。そしてそれを感じ取っているブラックウルフもナルを狙う。ワイがナルから離れている以上、俺がナルの守りに入らなければ。
「ウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ！！」
3匹のブラックウルフが俺に突っ込んできた。俺は木刀を懐にしまう。
「シュライン流 剣術『抜刀』！」
空を斬る音が遅れる程の抜刀をやってのけたアイラ。
アイラの木刀の威力にブラックウルフ3匹は呆気なく殺られる。
アイラの洗練された動きに、知能が高いブラックウルフは先にワイを殺した方がいいと考える。
ブラックウルフ5匹をアイラに残しその他の全ての全戦力をワイにぶつけようとした。
ブラックウルフの全戦力がブラックウルフが一斉にワイに攻撃したらワイは死ぬだろう。だがそれを完璧にアイラは予想をしていた。
「さぁ 私達の力をローザ様に見せつけよ 分身魔法『風と破壊の使者』」
ナルに瓜二つの2人がナルの両隣に現れた。
その瞬間、2人は居なくなった。
『制御』を解除し、数々の魔王軍幹部と相手をしていたアイラの動体視力は異常だ。その動体視力でも確認できないほど2人は高速に移動した。
2人はワイに襲いかかっていたブラックウルフの首を1つ、2つと5秒もかからないで全てのブラックウルフの首を落とした。
「なんだよ……あの魔法は……！？」
俺は目を疑う光景と、昨日この魔法を阻止しなければ俺は死んでいたその気にしかさせないほど魔法に圧巻させられる。
「終わったであります！ アイラ殿、私の力はどうでありますか？」
「ああ、凄いよ。めちゃくちゃ凄い」
「本当でありますか！ 嬉しいであります！」
俺に褒められてぴょんぴょん跳ねるナル。そんなに俺に褒められて嬉しいのかと戸惑いつつ……
「おおい！ お前、俺の獲物達を横取りするなよ！」
「私が助けなかったら貴殿は死んでたでありますよ？」
「そんなもんやってみなきゃ分からねぇだろ！」
正に犬猿の仲。ぎゃーぎゃーと言い争いを始める、ナルとワイ……まぁまぁいいパーティーなのではないかと思い始める。確かにワイという爆弾はいるが、正に才能の塊。我流で自分の剣技を身につけたという偉業。
後はパーティープレイが出来たらいいのだが、まぁそれは大丈夫だ。なぜならワイは———
「ウィンド！」
————ドンッッッッッ
「おい！ なんだ——— ッッッッ———！？」
「アイラ殿！？」
ナルとワイが気づいた時にはもう遅かった。
アイラは何かの力によってどこかへ飛ばされていた。それは木を薙ぎ払い、地を穿ち遥か遠くへと。
「ウオオオォォォォォォォォォォォン！」
森へ響き渡る、獣の声。その獣の遠吠えは圧倒的な風格を纏っていた。
そしてその遠吠えによりナルの分身体は消えていった。
「あの赤色のウルフはなんでありますか？」
「知らねぇよ、だけどヤバいのは分かる」
なんだろうな〜弱い！ 俺の文章なんか違うな〜、なんかしっくりこないな〜。
ちゃうな……ちゃう！ なにが足りない……う〜ん分からん！
私の悪いところは小説を書けば書くほど自分の小説が分からなくなってくる。これがエタる理由ですね。
by レッドウルフは強いぞーーーと思う犬三郎
