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第11話 〜夢見がち亭〜

「よし! これで血判を押せばいけるぞ」


「本当に出来たのでありますか!?」


「ああ、ここで契約書の書き方を使うと思わなかったけど。あと汚い字でごめんな」


契約書は契約内容によって決まった字数、決まった作り方がある。気持ちが関わる契約書の書き方は結構複雑だがハラさんに教わっててよかった。


「ナル、先にここに血判おしてくれねぇか? もしかしたら契約書の書き方違うかもだからまた直したら俺も押すから」


「分かったであります」


俺はナルに折れた銀の剣を渡す。ナルは親指を剣で浅く刺す。するとナルの親指からジワジワと血が流れる。

ナルはなにも躊躇せず契約書に血判を押す。


「では私は騎士団の寮へ戻るであります。明日、冒険者ギルドに集合するであります」


「ああ、分かった。だけどちょっといいか?」


「どうしたのでありますか?」


「いい宿屋しらないか?」


「いい宿屋でありますか……。知らないであります」


「そうか、だったら適当に泊まるか」



◇◇◇◇◇



「う~ん、どうしたものか……」


ナルと別れ歩いて歩いて歩きまくっているが宿屋が見つからない。あまつさえ辿り着いた場所は……


「お兄さん寄っていきなよ、安くしてあげるよ」


「お兄さん~そんな娘より年上はどうだい? いい経験をさせてあげるよ」





圧倒的娼館!




歩きまくっていたら歓楽街のえっちい区画に来てしまった。しかも人通りが多くここがどこだか分からなくなってしまった。


魔王城でもそうだったが、俺は方向音痴だ。先程、ギルドに辿り着いたのはほぼ奇跡と言っても過言ではない。


「お姉ちゃん、今日は安くしてくれよ~」


「駄目だよお兄さん、女の体はそう安くならないよ」


お姉さん、少し歳がいった人も沢山の女の人がいる。女の人に寄って釣られて男達がお店の中に入っていく。

俺も多少は人間の性行為というものには興味があった時代はあった。


ハラさんに勉強で人間の性行為について教えて貰ったことがあるが。だが勉強だけでは想像もできないし、予想もできない。性行為に対して興味を抑えきれなかった俺はハラさんに直談判したのを覚えている。


『はぁ~これだから年頃の奴は。いいかアイラ、人間の性行為ならメラとラメが再現出来るだろうが……魔族は本能的に人間の性行為を見たらそいつを殺したくなるんだ。だから再現は難しいんだよ』


『え、なんでなんで?』


『魔族は基本的に人間を殺したいという本能があるのは知ってるな?』


『知ってるよ。だけどハラさんみたいに知能がある魔族は殺したい衝動を抑えられるんでしょ?』


『おおそうだ。だけどそんな俺達に抑えられない場合がある』


『もしかして……』


『ああそうだ。人間が性行為している時だ』


『なんでその時だけ本能の制御が外れるの?』


『俺達の本能が人間の子孫を残す行為に酷く疼くんだよ。イライラして本当に心の底から気持ち悪いと思うんだわ』


『へぇ~そうなんだ。じゃあ俺は人間の性行為を見れないんだ』


『ああそうだな。でも魔族の性行為なら見れるぞ』


『え!? マジ!? 見てみてぇー!』


淫魔(サキュバス)が人間でいう風俗をやっていて知性ある魔物の精気をとると説明された。


興味津々、意気揚々として行った俺は声を失った。


サキュバスって怖いマジで怖い。


「そもそも俺はどうすればいいんだ、この区画を出れないと俺もああなるのか……」


昔の記憶を思い出しつつこの区画をどうにかして抜け出したい。

あの後、ナルと別れてから裏路地を彷徨いやっと人が通るような所に出たと思ったらここだ。


「あれってライさんじゃないか?」


と困っていたところから見覚えがある女の子が見えた。


あれはライさんだ。


俺は助かった! と思いライさんの方に寄っていく。


「あ、あれ? ライさんどこいった?」


ただでさえ人が多い中、ライさんに歩き回られると何処に居るか分からない。


右を見て左を見る。何処にもいない。俺は山勘に頼って真っ直ぐ道を進む。


「あ、ライさん居た!」


山勘に頼って正解だった、ライさんは一際可愛いので直ぐに目が付く。俺は走り出しライさんを追う。

人が居る中、大声を出すのは非常識だ。俺は思いっきり走り、戦闘の経験で人をかわす。


ライさんは道を右に、俺はその15秒後道を右に行く。ライさんは道を左に、俺は人混みのせいでその20秒後道を左に行く。だがどうしてだろう、何故かライさんに呼び込まれているようなそんな気がしてきた。


いつしか辺りは歓楽街ではなくなり、物静かな所に来た。


「ライさーーーん! 止まってくれーー!」


ライさんには聞こえる声のはずだが、一向に止まってくれない。


「あれ、ライさんは?」


俺は必死にライさんを追い続け、いつの間にか行き止まりきていた。これは確実におかしい、いや気づくのが遅かった。思えばライさんとの距離は一向に縮まらなかった。


先程、ライさんがここを曲がったのは5秒前ぐらいだ。なのにここにライさんは居ない。







—————ゴゴゴゴゴゴゴ







困惑していたら目の前の壁が重低音とともに横に動く。俺は警戒を怠らず木刀に手を伸ばす。

石の壁が開くとそこには地下への階段が伸びていた。


「ここに入れってことか?」


入っていいのだろうか? もしかしたら敵が誘っているのかもしれない。ここは超絶初級魔法ロックを使って土砂を流すか……


いやまて……この地下から……


「魔物の匂いがする」


俺だって魔王城に居た身だ。魔物の匂いぐらいわかる。

こんな隠し階段を作れる魔物ってことは知性がある魔物なのだろう。知性があるってことは魔王様と1度はあってるはずだ。


「行ってみる価値は……あるか……『制御(リミッター)』解除」


石の階段を下りていくと、後ろの石の壁が閉じ始めた。これで逃げ場は無くなったか。


これは本当にバカな事をやっていると自覚はある。これで階段の下から炎系の魔法を撃たれたら俺は炎に包まれて死ぬだろう。


だが魔王軍の情報が微塵もない中これは絶好のチャンス。


俺は左右の石の壁についている淡いロウソクの光を頼りに階段を下りる。ゆっくり、ゆっくりと下りていくと……


「赤い扉?」


石の階段を下りるとそこには真っ赤な木の扉があった。

俺は真っ赤な扉を勢いよく開ける。


淫魔(サキュバス)の夢見がち停へようこそ~」


「サキュバス!?」

久しぶりですね〜、この時間に投稿しようと決めて投稿しよう思ってたらいつの間にか時は過ぎ今日に至った訳ですが……犬三郎は馬鹿なんでしょうね。


ということで! 今日はサキュバスちゃんが出てきましたね〜。サキュバスちゃんはどんな人なのか!? 果たしてストーリーに関わってくるのか!?

楽しみにしてください。超絶にこいつはヤバい魔族です。


by 今日の0000にも投稿すると意気込んでいる犬三郎


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