プロローグ1 〜天才〜
このプロローグは今後の展開に何も関係がないものです。見たい人だけ見てください。
秀才、賢才、天才、鬼才。
俺は生まれた時から全ての才能を宿していた。
いつからか世間からは46億年に1人の天才と呼ばれるようになった。
「一才さん! またノーベル賞受賞しましたよ! 地球温暖化の問題を全て解決したなん凄いです!」
一才、それが私の名前だ。親は1つの才能でもいいからこの子に授かりますようにと願い私の名前がつけられたらしい。
だがそれがどうだろうか? 今や私には数多の才能をもって産まれてしまった。
空手も柔道も料理も全てを1ヶ月以内に極めることが出来てしまった。
もう私の年齢も27歳、助手は1人。それがこの女性、博識舞。
名字に博識とついているだけあって私の次に頭が優秀な人物だ。普通の学者では私の説明は分からないようで、私の説明が分かるのはこの博識ぐらしかいない。
それと同じに私は運にも恵まれている。この博識は今は21歳、大変麗しい女性である。多少、胸の成長は劣るものの容姿は大変可愛いらしい。
「当たり前だ。地球温暖化などお前もあと少しすれば分かったものだ」
「そうですかね〜、一才さんにそんなことを言われると照れますよー」
「時に博識。今日、私は高校生の同級生と飲む約束をしている。記者会見はまた後でいいと電話しといてくれ」
「えーーー!? ノーベル賞受賞の報告を世間にするのってめちゃくちゃ大事だと思いますよ!?」
「私のノーベル賞受賞など当たり前だ。当たり前のことを報告してもどうでもいいだろう。では行ってくる」
私は白衣を服掛けに掛け、直ぐに研究室を出た。
◇◇◇◇◇
「一才! 遅いぞーーーー!」
「春夏、君はまた度数が高いお酒を」
「いいじゃん〜、天才はストレスを酒で流すのだよ」
大衆酒場で待ち合わせをしていた私の高校の同級生、愛琉春夏。彼女は声優で、歌手でもある。
声の質が非常に良く、歌声も極めて美しい。その声は私も目を見張るものがある。
彼女が武道館でライブをやればチケットを約1分で売り切れさせる、私と同等にヤバい女だ。
しかも容姿も大変麗しい。その容姿も活かしモデル、女優もこなしているとても優秀な女だ。
「それより! 地球温暖化を解決したって〜、やっぱり天才は違うね〜」
「皮肉なのか褒めているのか……」
「褒めてるんだよー」
「褒めているならそれは嬉しいことだが」
「わ〜デレたデレた〜! それは私を夜の場に誘ってるってことかな?」
「悪いな、俺はお前に興味はない。ただの親友だ」
「うわ〜これで2015回断られた〜。きっつーー」
「お前も諦めたらどうだ?」
「やだこったー、私は酒とあんただけは諦めないんだ〜」
春夏は私と体の関係をもちたい、高校生の頃からずっと言ってきた。こいつなりの冗談だと最初は思っていたが、天才の俺はその1分後に違うと確信した。
天才の私だがまだ彼女がなぜ、私と体の関係を持ちたいのかはさっぱり分からない。
いや分かろうと思えばいくらでも分かる。
それをしないのはめんどくさいからだ。天才だってめんどくさいことは1つや2つある。その1つは生理現象だ。
「まぁいい、少しトイレに行ってくる」
「まさか! 私に発情しちゃって鎮めてきちゃう?」
「馬鹿を言え、そんなことはあるはずがないだろ」
「え〜本当〜? 少しへっぴり腰になってるでしょ」
私は春夏の言葉を無視し、トイレに向かう。
◇◇◇◇◇
「ふぅ……」
やはり小便などめんどくさい。
だが我慢していた小便を出すというのは少し快感というものがある。
「…………トイレの時に狙ってくるのは大和魂に反するこではないか?」
私が便器に尿を出しているとトイレに誰かが入ってくるのが分かった。その者は明らかに足音を消していた。
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
死角で足音を消していて大丈夫だと思っていたのだろう。
私に気づかれて慌てふためき私に斬りかかりにきた。
気配で12センチの刃物を持っていると私は確信する。
刃物を持って突進してきた男に俺は尿を出したまま、左手で男の手首に手刀を喰らわせた。
手刀の感覚としてはは男の手首あたり骨を何本か折った感覚を得た。
「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
トイレに響き渡る男の悲鳴。
「ふぅ〜、それにしてもトイレの時に襲ってくるなんて……。それでお前は誰の差し金だ」
私はズボンを上げ、ベルトを締め不審者と対峙する。
「くそっっ!? くそぉぉぉぉぉぉ!?」
不審者は拳を上げ私に襲いかかってきた。その動きはまるで幼稚。私は不審者のお腹に蹴りを入れた。
「かはっっっっっ!」
いわゆるみぞおち、不審者はあまりにもの痛みに失神する。
「私の休息はいつになったらくるのか? まずは警察を呼ぶ————」
とその時、私の周りに世に言う魔法陣が浮かび上がった。
その魔法陣は黄色に変わり赤色に変わり虹色に変わり、眩い光を出した。
「てんてけてーーーん! 一才さんこんにちは、神です!」
眩い光で辺りが霞んで見える。だが天才の俺は直ぐにそれに順応し一瞬で視界を戻す。
視界を戻すとそこは暗いのに明るい、電気系統のものは一切ないのに部屋全体が明るい不思議な部屋……いや空間か。
そして目の前に見えたのは、美少年の姿。左右の目の色が違く、絶対に日本人ではない。
そこで私は全てを理解する。
「異世界……か」
「流石、世界一の天才。理解が早いね、なら僕の言いたいことも分かるかな?」
「異世界転生をして欲しい」
「ピンポンピンポン正解でーーーす! で、なんで僕がそんな無意味なことをしたか分かる?」
「お前の娯楽として召喚された……違うか?」
「大正解! 凄いな〜流石だな〜。あれ一才君、君どうしたのそんなに笑顔になって」
「悪い悪い、これが神かと思ってしまってな」
「え、なになに失望した? こんなおちゃらけた神で」
「違う。俺の格上の存在に会って笑ってしまった、ワクワクしてしまっている」
私は体が躍動している。こんなに興奮しているのは初めてだ。俺より格上の存在こいつは……いい。
「そんな一才君に朗報だよ! そのワクワクが楽しめるとしたらどうする?」
「どういうことだ?」
「場所は剣と魔法が溢れるファンタジー世界、世界には勇者、魔王、賢者、君より強いものしかいない。しかも君は全ての才能を失う。そして圧倒的欠点付きで転生させよう。どう聞いただけでワクワクしない?」
「ははははははははははははは! その話を聞いたら目ん玉が飛び出そうだ」
先程の魔法陣で分かった、この世には魔法がある。そして私は才能がない状態で転生が出来る。
私は天才だ、宇宙には他に人類が居るとは思っていたが……魔法を使えるというのがこれまた一興だ。
「へぇ〜、君ぐらい天才だと僕を疑うかと思ったけど」
「疑う? 純粋な少年の顔をしていて、ドス黒い悩みを持って悩んでいる貴様の気持ちは察している。だから、今は邪魔をしてこない。だが、邪魔をしてくるんだろ?」
「あはははは、よく分かってるね。君も僕と同じ気持ちをしていたのかな?」
この神は腐っている、それが俺は分かってしまう。
この神は俺と一緒だ。頂点に君臨するのは気分がいい。
だがどうだろうか? 努力もしないで圧倒的な頂点をとり、誰からも蹴落とされない。
そんな生き甲斐はいらない。私は……努力の上で勝取った物が欲しい。私より強い強者をみたい。
「君なら見せてくれそうだ、僕の心を震わせる最高の冒険譚を」
失踪とエタりと復活を繰り返す者……犬三郎。1年間恋愛物を頑張って書いたものの原点回帰ということでファンタジーものに手を出す。
リハビリを兼ねて書いたものが勿体ないから投稿しちゃえという軽いノリでまた投稿をする。
ということはこの作品は高確率でエタる可能性がある……。
なんて馬鹿なんだ犬三郎……本当に馬鹿なんだ犬三郎……もう後書き書くの楽しい。
byこうやって昔書いてたなと思った犬三郎