おデブ姫ケーキを食べる
一度書いた原稿が消えてしまいました
ハル姫はケーキを手掴みでムシャムシャと頬張っていた。顔中クリームだらけにして見られた姿ではなかったが。
幸せそうな顔を見るとチンは注意できなかった。
まあ頑張ったしな。
ケーキをヤーニンが取ったなどと嘘もついたし。
「姫様、食べ方はさすがにお行儀が良くないです」
マナが注意した。
「ムシャムシャムシャムシャ」
食べながらしゃべったので何言ってるかわからなかったが。
「姫様。食べながら話してはいけません」
マナがさらにトーンを上げて注意する。
「だってまな。本当に頑張ったのよ」
やっと飲み込んでハルは話す。
「本当に姫様は良くされました。マナ感激いたしました」
「そうでしょう」
姫は更に手掴みでケーキを取ろうとして。マナに取り上げられる。
「しかし姫様の頑張りと食事の無作法は別物です」
とうとうとマナが注意を始めた。
こうなったらマナは止まらない。
今迄の条件反射でハルも静かに静聴した。
少しでも口を挟むと長いのだ。
ここは黙るに限る。
この姿があの怪獣デブゴンだとは誰が思うだろう!そう本当にハッパは不運だった。
チンに嵌められた。
食べ物の怨みは怖いのだ。
帝国の伝説にいや言い伝えに
いやいや禁止事項に
怪獣の食べ物を取り上げると死罪。
という規定が盛り込まれた。
ハッパの戦死を受けてこれをあえて破ろうとする強者はこのあと現れなかった?
と思いたい。
帝国軍5万人はほうほうの呈で退散した。
ハル姫が退治したのは計10万人。
帝国の歴戦の中で100人の兵に10万の軍が破れるなど史上初の事だった。
それも皇帝が殺されるなど考えられなかった。
そしてこのまま帝国軍が放っておくことなどあり得なかった。
「おのれデブ姫め。やりすぎなのだ。
このままではハレルヤは帝国軍に蹂躙されてしまう」
宰相のバークリック・メーキンは頭を抱えていた。
「父上。何を悩んでおられるのですか?
帝国軍が来ればまたデブゴンを差し向ければ宜しいではないですか?」
娘で王の妃のシリラットが言う。
「それはそうだがいつまでもデブゴンが勝つとは思えまい。」
「そうなったときは降伏すれば良いのです。
娘の王女シリポーンを差し出せば悪いようにはしないでしょう。
帝国の若様は野獣王に似ず眉目麗しいお方であるとか。
旨くいけばお父様の曾孫が帝国を継ぐことになるかもしれませんのよ」
「成る程。その手があったか」
宰相は手をうって喜んだ。
しかしおデブ姫のパワーが宰相の手の中に収まるわけは無かった。
「うーん美味しい」
ある程度腹も脹れたのでハルはフォークでケーキを食べていた。きちんとマナーを守って。
本当に幸せそうに食べるな。
チンもにこやかにハルが食べるのを見ていた。
その目尻が下がっているのを本人以外は気持ち悪いものを見るように見ていたが
本人は知らなかった。
しかしつかの間の平和は長くは続かなかった。
遂に帝国の大軍現る
次はチンの新作巨大デブゴンです。
火を吹くかも